「ヒョウタン展」今年は世界のひょうたん容器が集結!(後編)
by 丸黄うりほ

①大きな球形ひょうたんをタテ二つ割にした、マリの「飾り容器」

②パプアニューギニアの「石灰入れ」

③チリの「マテ茶器」。金属で装飾を施した高級品

④カザフスタンの「馬乳酒杯」。模様に魔除けの意味が込められている

⑤台湾・ルカイ族の「ヒョウタンの神」

⑥タンザニア・ツングリ族の「呪具」

⑦ザンビアの「呪術用具」

⑧右から大船フラワーセンターの榎本浩園長、湯浅浩史先生、井村裕治さん、東野珠実さん、筆者(撮影:大船フラワーセンター・スタッフさん)
昨日の続きです。土器やプラスチックの登場までは、世界中で容器として使われていたひょうたん。水や酒などの液体を入れる容器としてのひょうたんは、形はさまざまであっても、大きさは中程度のひょうたんが多かったように思います。
写真①は、球形の巨大なひょうたんをタテに二つ割にした容器。これはマリの「飾り容器」ですが、カメルーン、ナイジェリアなどアフリカの国々には、このような形の大きなひょうたんの衣装入れがあるようです。表面には焼刻などで模様が描かれ、女性たちは嫁入りタンスのように大切にしたのだそう。また、女性はこの丸いひょうたんを頭の上に載せて運び、男性は担ぐのが作法なのだとか。
いっぽう、小さなひょうたんは嗜好品の容器にちょうど良いサイズ。第1会場にもウズベキスタンの「嗅ぎタバコ入れ」が展示されていましたが、第2会場にはパプアニューギニアの「石灰入れ」が並んでいました(写真②)。
なぜ石灰が嗜好品?という方も多いかと思いますので、少しだけ説明しておきます。台湾、インド、ソロモン諸島をつなぐ三角エリアにはビンロウヤシの実、キンマの葉、石灰をあわせて噛むタバコのような嗜好品があるのだそうです。その石灰を入れる容器として小さなひょうたんが使われています。展示品のひょうたんは貝や羽根、焼刻などで装飾され、いかにも大人の持ちものという雰囲気を醸し出していますね!
写真③は、チリの「マテ茶器」です。マテ茶は最近日本でも健康茶として飲まれるようになりましたが、もともとはブラジル、アルゼンチン、チリなどの南米諸国でよく飲まれるお茶。モチノキ科のマテチャの葉が原料ですが、ひょうたんの器で飲まれることが多いのだそう。マテ茶のマテはケチュア語のマティに由来し、マティとはもともとひょうたんを指していたそうです。「マテ茶器」にはひょうたんを切っただけのシンプルなものから、写真のように金属の台をつけたり、装飾を施した高級品まであるようです。
さて、ここまでは何らかのモノの容器としてのひょうたんを紹介してきました。最後のコーナーに展示されていたのは、湯浅先生いわく、「モノでないものを入れる容器」です。
写真④は、カザフスタンの「馬乳酒杯」。羊のツノ、植物のタネなど、富と繁栄と力の象徴を表す文様がひょうたんに描かれています。お祝いと魔除けの意味を込めて、儀式や結婚式などで使われることもあるそうです。
写真⑤は、台湾・ルカイ族の「ヒョウタンの神」。ルカイ族やパイワン族といった台湾の少数民族の間では、ひょうたんには神が宿ると考えられ、ひょうたんを使う呪術師がいたのだそう。「このひょうたんの中には開けられた穴よりも大きな神が入っていて、その神は3つの目を持っているとされています」と湯浅先生。
さらに写真⑥は、タンザニア・ツングリ族の「呪具」。貝や動物のツノで飾られた不思議な形。私はこのひょうたんを、2015年に東京・上野の国立科学博物館で開催された「世界のヒョウタン展」で見せていただいたことがあり、その時の展示物のなかでも最も印象に残ったものの一つでした。
写真⑦はザンビアの「呪術用具」。木彫りの人形がひょうたんに取り付けられ、動物の皮のようなものが間に挟まれています。
このほか、ミャンマーの「仏具」、タイ・カレン族の「占い具」、トーゴの「呪術用具」、太宰府天満宮の「厄晴れひょうたん」も展示されていました。ひょうたんには不思議なパワーがあると信じられ、世界中で呪具として使われてきたのです。
ここで私が思い出したのは、「地震を起こす鯰をひょうたんでおさえる」という物語に基づいた、『Co-GIGAKU 鯰しづめ』のことでした。『Co-GIGAKU 鯰しづめ』については「ひょうたん日記」1451日目と、1469日目で書いていますので、未読の方はぜひお読みくださいね。
じつはこの日。大船フラワーセンターの比較的ご近所にお住まいと知り、『Co-GIGAKU 鯰しづめ』の音楽を担当された作曲家の東野珠実さんを、「ヒョウタン展」見学にお誘いしていたのです。
園長の榎本浩さんも顔を出してくださり、さらには福井県から全日本愛瓢会会長の井村裕治さんもご来場。湯浅先生を囲み、ひょうたんに引き寄せられて集まった人の輪ができました(写真⑧)。
それこそ、ひょうたんの霊力を感じずにはいられない。そんな初秋の1日でした。
(1485日目∞ 9月17日)
※次回1486日目の丸黄うりほ「ひょうたん日記」は、9月24日(木)にアップします。9月23日(水・祝)はお休みです。



