『Co-GIGAKU 鯰しづめ』を観てきました!
by 丸黄うりほ

①奈良市の「東大寺総合文化センター」

②『Co-GIGAKU 鯰しづめ』のパンフレット

③「鯰しづめ」の音楽に使われた楽器たち

④大鯰と、金の巨大ひょうたん!

⑤3人展「ひかりの記憶・てざわりのむこう」から。籔内佐斗司さんの伎楽面

⑥三輪途道さんのおせんべい皿シリーズの一つ。「砂糖醤油せんべい皿」
きょうは、7月5日に奈良市の東大寺総合文化センター・金鐘ホールで観覧した『Co-GIGAKU 鯰しづめ』について書き留めておきたいと思います。7月はひょうたんの成長期で、「ひょうたん日記」もこのところ栽培報告や成長記録が続いていて、すっかり遅くなってしまいました。
前に『Co-GIGAKU 鯰しづめ』について紹介したのは、今年5月21日(1451日目)の「ひょうたん日記」。NHKの『芸能きわみ堂』という番組で紹介されたのを視聴したのです。巨大な鯰と大ひょうたんが出てくるこの作品、これはぜひとも実際の公演を観たいと思いました。
当日。自由席なので、私は早めに着いて列に並び、最前列に座ることができました。
まず驚いたのが、全員に手渡されたパンフレットの豪華さです。しっかりした紙質と美しい印刷で12ページ。「そもそも伎楽とは」というタイトルで、この作品の伎楽面をつくられた彫刻家の籔内佐斗司さんが寄稿され、「鯰しづめ」の由来についても詳しく書かれています。音楽担当の東野珠実さんによる解説、作品に登場する正倉院復元楽器の紹介も詳しく、イラスト入りでわかりやすい。これは間違いなく永久保存版です。(写真②)
公演は二部構成。第一部の鼎談がはじまりました。
壇上には、東大寺長老の狹川普文さん、籔内佐斗司さん、そして今回の主催者である「一般社団法人メノキ」の三輪途道(みちよ)さん。
三輪さんは東大寺の国宝「重源上人坐像」の現状模刻をされたこともある彫刻家ですが、十年ほど前から徐々に視力を失い、数年前に全盲に。『Co-GIGAKU 鯰しづめ』の公演は、同センターの地下1階で開催されている三輪途道さん、籔内佐斗司さん、山田修さんの彫刻三人展に合わせて企画されたこと。また、三輪さんと東野さんが同級生であったことなど、さまざまな縁と情熱のもとに進められたことが話されました。
続いての出演は、落語家の桂吉坊さん。ただし、この日は籔内さん制作の鹿のツノのついた面を被り、「桂鹿坊」としての登場です。鹿坊は籔内さんの作品でおそらく最も有名な「せんとくん」によく似ていました。フルフェイスの面を被りながら、どうやって声を出しているのか。そのことがとにかく気になって仕方がなかったです。
休憩をはさんでいよいよ第二部『Co-GIGAKU 鯰しづめ』がはじまりました。舞台の向かって右側に、東野さんたち楽人三人が座られました。楽器はプログラムにも出ている大篳篥(おおひちりき)、排簫(はいしょう)、竽(う)、正倉院笛のほか、鼓、木魚、銅鑼、銅拍子なども見えます。(写真③)
『鯰しづめ』の物語はくっきりとしています。
大鯰が大暴れをすると地面が揺れて地震が起こる。しかし、ふだんは鹿島大明神と香取大明神が要石でおさえているために、おとなしくしている。ところが、二神が出雲に出かけることになり、留守を預かった恵比須のもとに、大きな金のひょうたんを抱えた客人一行が到着。ひょうたんにはお酒が入っていて、恵比須はそれを飲んで酔っ払い、眠り込んでしまう。すると大鯰が動き出して……。
三人の神様に扮しているのは子どもたち。大きな面をつけていて、顔と背丈のアンバランスがとても可愛らしい。伎楽はもともと子どもが演じるものだったそうで、本来は無言劇。この日は吉坊さんが狂言回しをしてくださったので、さらにわかりやすくなっていました。
私がひたすら耳を澄まして聴いていたのは、音楽です。珍しい楽器がどんな音を出すのか。東野さんによる新作伎楽の展開は?
恵比須が眠ってしまい、大鯰がむっくりと動き出す不穏な場面。その時に流れ出す排簫の音にぞくぞくしました。出雲から戻ってきた鹿島大明神・香取大明神と大鯰のバトルの場面に流れる音楽は躍動感にあふれていて、「最高。この音楽を全曲通して家のプレイヤーで繰り返し聴きたいわ!」と本気で思いました。
金の大ひょうたんで押さえられ、鯰がおとなしくなるラストシーンでは、ひょうたんをどうやって鯰に固定するのか。そのことが気になって、ひょうたんばかり見ていました。あれよあれよという間に落着。もっと見ていたい!聴いていたい!
大鯰のなかに入っておられたのは茂山千三郎さんだったそうで、さすがの演技でした。終演後は撮影許可が出て、鯰とひょうたんをばっちり写真に収めることもできて大満足。(写真④)
地下の会場で同時開催されていた3人展「ひかりの記憶・てざわりのむこう」も撮影OK。仏像や伎楽面も素晴らしかったですが、三輪途道さんの巨大おせんべい皿の彫刻がすごく面白かった。ユーモアって生きる力ですね。(写真⑤⑥)
(1469日目∞ 7月23日)
※次回1470日目の丸黄うりほ「ひょうたん日記」は、7月29日(水)にアップします。



