建築雑誌を買う

『ディテール』季刊—冬季号no.247
特集「階段の構法と素材」
編集協力:下坂浩和
彰国社発行

建築雑誌というものを初めて購入しました。

特集は「階段の構法と素材」。全67ページの特集のうち、プロローグの11ページを「うつくしい階段」の著者、下坂浩和さんの解説文が飾っています。つづく事例集のトップを飾るのも、下坂さんが日建設計時代に設計を担当した「大阪市立東洋陶磁美術館エントランス棟」の階段(2023年)。

建築雑誌はお高い感じがしてしまい(本体価格2,350円+消費税で2,585円)、図書館でコピーしようと思いましたが、春号が出るまでは著作権で保護されている最新号なので、それはできないのでした。15ページも下坂さんのページがあるし、きれいなデザインだし、なんといっても階段がたくさん載ってるので、これはもう記念として、そして連載の図書資料として購入したわけでした。

下坂さんの解説文のタイトルは[階段の構法と素材の「わざ」]。7つの素材によって、全部で15の階段が登場。

そのうちこれまで「うつくしい階段」に登場したのは、素材1[石]より、アカデミア美術館の階段、素材3[スチール]より、ウェスティン都ホテル京都 西館の階段、素材6[プレキャストコンクリート]より、ムンケゴー小学校の階段、素材7[木]より、ルイス・バラガン自邸の階段、の4つ。

上記4つを含む15の階段の解説文いずれも短く、一部をのぞきいずれも下坂さんの写真付き。建築設計の人向けなので、専門用語がつかわれていて一読しただけでは飲み込めないけれども、写真とキャッチタイトルだけでもなかなか面白い。

「川に迫り出すキャンティバレー階段」は八幡浜市立日土小学校の階段、「外壁から跳ね出した軽快な屋外避難階段」は、ケルンにある聖コロンバ教会大司教区美術館。「金属工芸品のようなタラップ階段」はパリにあるガラスの家(ダルザス邸)の階段。行ってみたい見てみたい歩いてみたいという思いにかられるが、それ以前に、そんな美術館や施設があるのかという情報を得ることができた。

紹介された15の階段は、すべて下坂さんが実際に体験した中から印象に残る階段ばかり。「古今東西に数多くある優れた階段のうち、その気になれば見に行くことができるものばかりを選んだ」とあり、「読者のみなさんも実物に接して、なぜこの形にしたのか、どのようにしてつくられたのか、考えをめぐらせながら体験していただければ、と思う」とある。

わたしなどは読者のメインターゲットでもなく、ルクセンブルクやメキシコまで階段のために足をのばす気にはなれないものの、それでも、こんなヒントでもなければ見ることのない場所の観光サイトをのぞいてみて、思わず旅情をかきたてられ、それはそれで楽しい気分になった。

そして、特集の本編で紹介されている階段は17。設計図と説明文、写真で各4ページずつ、タイトルに違わず詳細に紹介されている。こちらは公共のスペースだけではなく個人の事務所の階段もある。それにしても、その階段がある国内の公共施設も知らないものが多く、大阪府高槻市に立派な「高槻城公園芸術文化劇場」ができていたのも知らなかったし、大阪駅北側の「グラングリーン大阪」に巨大な螺旋階段「ゲートランタン」があるのも知らなかったし、広島県尾道市の千光寺の頂上に人工構造物「PEAK」なる展望台があるのも知らなかった。知らなさすぎる自分にあきれる。が、そういうことも、少しアップデートできたような気がする。

「稲妻状のささら桁」とか「キャンチ階段の回転変形や振動を押さえ」とか、まったくもって普通の言葉なのだろうが、それぞれの設計者の書くワードもなかなか興味をそそられた。

(2026年2月20日)
by 塚村真美

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