千姿万態、自由すぎるハイブリッドひょうたん
by 丸黄うりほ

①形も色もさまざまな実!ともきちさんのハイブリッド瓢「へうたーん」

②表皮の色が薄い緑色で、形も標準型に近い実もあれば……

③濃い緑色に白い斑入りのひょうたんも

④上のふくらみのほうが大きい「たんひょう」タイプ

⑤ふくらみがひとつだけの鶴首タイプ

⑥口部とふくらみがつながったしずく型

⑦メロンのような球形の実も

⑧口部もくびれもないラグビーボール型まで
雨の日が続いて気温が少し下がってきましたが、9月はまだまだひょうたん栽培の最盛期。先週に続いて、ヒョータニストさんたちの畑から今年の栽培状況を報告していきましょう。
先週は、中国瓢の栽培と大瓢エースの栽培を紹介しました。この2種のタネはどちらも全日本愛瓢会で有償配布していただいた血統のはっきりとしたもの。じつはひょうたんは大変交雑しやすい植物で、すぐに雑種ができてしまうのです。本気の園芸家や農家さんは、花が咲くと花びらを全部むしってしまい、虫媒による交雑を阻止するとききます。花粉の媒介をおこなう蛾たちは、暗闇に輝く白い花びらに引き寄せられてやってくるのです。純血を守るためにはそんな努力があるのですね。
では、ハイブリッドひょうたんはダメなのかというと、決してそんなことはありません。むしろ、今年のともきちさん(和歌山県田辺市)のひょうたん畑の写真を見せていただくと、雑種のほうが楽しいかも!? と思えてくるほど。
まずは、8月上旬に撮影された写真①をご覧ください。
このいろいろな形、色のひょうたんが同じタネから生まれたものとは、とても思えませんよね!
ともきちさんのひょうたんは、東大阪市のヒョータニスト、フェイ・ターンさんからもらった雑種ひょうたんのタネがルーツ。フェイさんのところでイプとユーホーが交雑。しかも、ユーホーのタネの入手先がメルカリだったということで、もともと何かのミックスだった可能性が高い。
ともきちさんはこのひょうたんに「へうたーん」と名付けて毎年自家採種し、二代目、三代目を育ててこられました。それが代をかさねるほどに、ますます色や形のバリエーションが豊富になってきて、今年はついにこんな状態になったのだそうです!
写真①の撮影から1カ月近くたって撮られた②〜⑧では、それぞれの実の形や色、大きさが定まってきたのがわかります。いやー、どれもこれも見事に似てませんね。一つずつ観察していきましょう。
写真②は、ふくらみが二つ、口部もあるひょうたん型。表皮の色は薄い緑色です。これは、日本の百成など標準的な中サイズのひょうたんに多いタイプ。
写真③もひょうたん型ですが、口部がありません。そして表皮の色は濃い緑色に、白い斑入り。この模様は台湾やアメリカなど海外のひょうたんによく見られる特徴です。
写真④は上のふくらみのほうが大きい、いわゆる「たんひょう」と呼ばれるタイプ。口部はしっかりしていて、くびれも強く、中国瓢のテイストも感じられますが、表皮は斑入り。
写真⑤は、やはり斑入りですが、ふくらみがひとつしかないフラスコ型。鶴首タイプともいいます。
写真⑥は長い口部につながった一つだけのふくらみをもつ、しずく型。カタツムリがくっついていて可愛いですね。ナメクジはひょうたんの葉をむしゃむしゃ食べてしまう害虫なんですが、カタツムリの場合は大丈夫なのかな?
そして、写真⑦になると口部(ハンドル)やくびれがまったくなくなり、球状に。まるで小さなスイカやメロンのようです。
さらには写真⑧。口部やくびれがないラグビーボール型で、一般的なひょうたん型とも、イプともユーホーとも違う雰囲気。パパイヤみたいで、あまりひょうたんらしくありません。
ここまで雰囲気が違うと逆に楽しくなってきますよね。ひょうたんはこういう形でないと……というこだわりをはずしてしまったら、このランダムさ、カラフルでミックスな味わいが魅力になってきます。
いいなあ!来年は「へうたーん」のタネをいただいて、わたしもこんな子たちを育ててみたいな(夢想)。ともきちさんの昨年の栽培を見せていただいた限りでは、「へうたーん」は大変たくましく寿命も長かったので、9月以降もまた新たな実をならしてくれることでしょう。
(1482日目∞ 9月9日)



