育ってます! 大陸の美意識を感じる中国瓢たち

by 丸黄うりほ

①東大阪市・KFさんの「盛綱」。正統派の美形中国瓢

②蔓を広げすぎずコンパクトに栽培されています

③大阪市・飯田未和さんの「ふくちゃん」

④こちらも、口部が長くウェストのしまった典型的な中国瓢

⑤『花形文化通信』編集長・塚村さんの「中ちゃん」

⑥ひょうたんと同じプランターに植えたオクラにも花と実が

⑦モリカワさんの「ひょうちゃん」の花。雌花と雄花が一体化してる?

⑧実の形もあまり中国瓢らしくありません

 先週末は東大阪市のカフェ「地球館」さんで、ひょうたん笛つくりワークショップと「オール電化ひょうたん」のライブをしました。ひょうたんに興味のある方がたくさん集まってくださったのですが、そんなとき、よくかけられる言葉があります。

「ひょうたんっていろんな形があるんですね!」
「大きさもいろいろなんですね!」

そうなんです。二つのふくらみとくびれを持つ、いわゆるひょうたん型のひょうたんだけでなく、丸いもの、長いもの、ふくらみがひとつだけの品種もある。大きい実ができる品種も小さい実ができる品種もある。そして、ひょうたん型のひょうたんだけをとってみても、品種によって微妙な形の違いがあるのです。

今年5名のヒョータニストさんたちが栽培に挑戦している中国瓢という品種の実は、25センチから30センチほどで大きさは中型なのですが、形にはっきりとした特徴があります。ちなみに、ひょうたんという植物は交雑しやすく、すぐに雑種ができてしまうのですが、ここで紹介する中国瓢はいわば血統書付き。全日本愛瓢会で有償配布していただいたタネから育った、ルーツのはっきりしたひょうたんです。

なかでも中国瓢らしい特徴をはっきりと示しているのが、写真①。東大阪市のKFさんが「盛綱」と名付けてかわいがっているひょうたんの実です。

第一の特徴は、長い口部。日本のひょうたんにも口部はありますが、ここまで長くはない。南米やアフリカのひょうたんの場合はもともと口部がないものも多いです。

そして、第二の特徴はウェスト。「ここに紐を巻いてくれ」とひょうたんのほうから言い出しそうな強いくびれ。日本の標準的なひょうたんは、もっとふんわりとした曲線のものが多いのですが、きゅっとウェストのしまった形が中国大陸の美意識なのだときいたことがあります。

以前、東洋陶磁美術館で見たひょうたん型の花瓶や酒器も、中国のものはくびれが強く、朝鮮や日本のものはゆるやかでした。植物のひょうたんとは違い、人の手でつくられたものだけに好みの違いがはっきり出ていておもしろかったです。

KFさんは「盛綱」の蔓や葉をあまり繁らせず、きれいに剪定してコンパクトに育てておられます(写真②)。「今年はこの実一つだけ」とおっしゃっていますが、これだけすっきりと育てるのは逆に難しい。見事だなと思います。

さて、次は写真③④をご覧ください。こちらは大阪市(阿倍野元町Garden Farm)の飯田未和さんが「ふくちゃん」と名付けて栽培中のひょうたんです。この実たちも、はっきりとした中国瓢の特徴を持っています。特に写真④の奥に写っているひょうたん。そのウェストの細さときたら!

飯田さんによると、「ふくちゃん」は一時期勢いをなくし、花も減り、なかなか実がつかなかったそうなのですが、8月下旬になって元気回復してきたとのこと。よかった! ④の2個はどちらも大変な美瓢なので、しぼんだりせずにこのまま頑張ってほしいですね。

続いて写真⑤は、久しぶりの「ひょうたん日記」登場。『花形文化通信』編集長・塚村さん宅の「中ちゃん」です。

緑のカーテンのように広がる葉の間から、お澄まし顔でぶら下がる形の良いひょうたん。見やすい位置にできていて、とても涼しげです。このひょうたんは口部もそれほど長くなく、比較的日本のひょうたんに近い形。

そして、ひょうたんと同じプランターに植えたオクラもきれいな花を咲かせました(写真⑥)。同じ日に撮られた写真⑤にはひょうたんの花も写っていますが、アオイ科のオクラとひょうたんの花の同日開花も実現したのでしょうか。古代の花相撲へのオマージュ、風流ですね。

さて、最後に見ていただきたいのが写真⑦⑧。オクテだったモリカワさんの「ひょうちゃん」ですが、花が続いて咲くようになってきました。ただし、あいかわらず雌花なのか雄花なのかはっきりしない花が多いようです(写真⑦)。雌花の子房の形もひょうたん型のものは少なくて、ふくらみが一つだったり、くびれがなかったり(写真⑧)。なぜなのでしょう? 同じ中国瓢のはずなのに?

おそらく、一時的に蔓ボケ状態だったため、その影響が残っているのではないかと思われます。私もひょうたん栽培を毎年していて、今までに何度も経験があるのですが、蔓がぐんぐん伸びて葉はどんどんしげるのに、花がちっともつかない。そういう状態を蔓ボケといいます。原因は肥料のチッソ成分過多。

チッソ肥料をひかえて、リン酸・カリがメインの肥料に切り替えると、しばらくすると治ってきます。しかし、治ってもすぐは雄花がほとんどで、雌花のはずなのに花粉をもっている雄花っぽい花がついたり、子房の形がよくなかったりします。

モリカワさんの「ひょうちゃん」も、もうちょっとで本来の姿を取り戻してくると思います。あきらめず、気を長くもって可愛がってやってください。応援しています!

(1480日目∞ 9月2日)

  • 丸黄うりほ ライター・編集者。ひょうたんをタネから育て、その実から音の出るものを自作し、演奏する楽団「ヒョータニスト・パーティ」のメンバー。ソロで「オール電化ひょうたん」としても活動中。ひょうたん栽培歴は15年ほどになるが、畑がないので毎年マンション(大阪市北区)のベランダでプランター栽培している。「花形文化通信」では、ほかにインタビュー記事を担当。
  • 2026年度ヒョータニスト(ひょうたん栽培&加工に挑戦中のみなさん)
  • イハリコさん(吹田市)、杉浦こずえさん(大阪市)、塚村編集長、KFさん(東大阪市)、モリカワさん、飯田未和さん(阿倍野元町Garden Farm)、佳代さん(阿倍野元町Garden Farm)、西山朝子さん(大阪市)、ヤマミーさん(和泉市)、みらいさん(大阪市)、おーさきさん(小野市)、ヤブタさん(淡路島)、純さん(大阪市)、たみさん(守口市)、ともきちさん(田辺市)、中野由紀昌さん(福岡市)、フェイ・ターンさん(瓢箪山) ※順次追加していきます。