ひょうたん楽器作りの春が来た(その2)

by 丸黄うりほ

①中のヒダヒダが美しい!フェイ・ターンさんの「ヒメミ」

②ひょうたんの切り口にあわせて板を切るフェイさん(撮影:コンさん)

③うーん、なかなか難しい

④というわけで、方針を転換しました

⑤接着剤を塗り、結束テープとクランプでしっかりと固定

⑥カリンバのキーを調整(撮影:フェイ・ターン)

⑦もう一つのひょうたんの上に置くと、さらに響きが良くなりました(撮影:フェイ・ターン)

⑧ランプの端材でデコレーション(撮影:フェイ・ターン)

昨日の続きです。フェイ・ターンさんが手塩にかけて育てた百成ひょうたん。その実のひとつである「ヒメミ」が、家具職人・上野さんの手に委ねられ、電動ノコギリにかけられました。

ひょうたんの内側にはヒダヒダがあって、厚みが均一ではなく、ノコギリの歯に大変ひっかかりやすいのです。プロの手による電動ノコギリでの作業でも「ヒメミ」を切るのは難しく、一度ですっとというわけにはいきませんでした。フェイさんはほとんど息を止めて「ヒメミ」を見守りました。その結果……。

写真①をご覧ください!

下半身がタテに切り取られた、シンメトリーな栗型の切り口。さすがですね。フェイさんはその切り口に紙ヤスリをかけて、さらにきれいにしました。中身のヒダヒダは切りにくい原因でもあるのですが、こうやって改めて見ると本当に美しい。じつは楽器として音を美しく響かせるのも、このヒダヒダなのです。

フェイさんは「ヒメミ」を使ってカリンバを作ろうと決めていました。次に行った作業は、この切り口にあわせて板を切ること。しかし、ひょうたんの曲線には揺らぎがありますから、ぴったりの板を切り抜くのはなかなか難しい(写真②③)。

というわけで、上野さんの助言を得て方針を転換。少し大きめの円形に切り抜いた板に、ひょうたんの断面を貼り合わせることにしました。断面には接着剤をたっぷりと塗り、結束テープでしっかりとくくり、クランプで固定しました。(写真④⑤)

完全に乾くまでこの状態で固定することが大切だということで、フェイさんは、このままひょうたんを自宅へ持ち帰ることになりました。

接着剤がすっかり乾くと、カリンバのキーを調整しました。別のひょうたんの上に置いて鳴らしてみると、さらに響きが良くなったそうです。(写真⑥⑦)

そして、ランプを作った時に出た端材で上板をデコレーション。音に影響はないでしょうが、このあたりはいかにもフェイさんらしい。端材まで大切に保管しているフェイさんに、ひょうたんへの深い愛情を感じます。(写真⑧)

フェイさんは、この「ヒメミ」カリンバのほかに、ひょうたん打楽器もいくつか作る予定だとか。また、「ひょうたん日記」で、フェイさん使用のひょうたん楽器をまとめて紹介できたらいいなと思っています。

来週は、コンさんのひょうたんギターがどうなったのかを紹介しますね!

(1155日目∞ 3月14日)

*来週に続きます

※次回1156日目は奥田亮「でれろん暮らし」3月18日(月)にアップ。

1157日目は丸黄うりほ「ひょうたん日記」、3月21日(木)にアップします。