天満宮と「福部社」の謎 (前編)

by 丸黄うりほ

①北野天満宮「福部社」。菅原道真に仕えていた十川能福が祀られています

②太宰府天満宮「福部社」。菅原道真の漢詩の先生、島田忠臣が祀られています

 昨年の節分は京都の北野天満宮へお参りし、毎年節分の日に行われる「北野追儺狂言」の主人公である福の神が、摂社「福部社」に祀られている神様であることを知りました。北野天満宮の「福部社」に祀られているのは、菅原道真に仕えた舎人(牛車を引く牛の世話役)であった十川能福という人です。「ふくべ=ひょうたん」というわけで、「福部社」は、まさにひょうたんの神様のお社だと言っていいと思います。(「ひょうたん日記」691日目692日目693日目

その後、私は4月に福岡県の太宰府天満宮にもお参りしました。太宰府天満宮にも「福部社」があり、その社の横には「厄晴れひょうたん」を吊るすための掛け所が設けられていて、やはりこちらも「ふくべ=ひょうたん」のお社であることがわかりました。(「ひょうたん日記」722日目〜727日目

ただし、太宰府天満宮の「福部社」に祀られているのは、菅原道真の漢詩の先生であった島田忠臣という実在の人物で、北野天満宮の「福部社」に祀られている十川能福とは別人だということもわかりました。

そこで、私はふと思ったのです。天満宮・天神社は全国にたくさんあるけれど、他の天満宮にも摂社の「福部社」があるかもしれない。日本三大天神といえば、北野、太宰府は必ず入るとして、三つ目はどこなのかな?

これが諸説あるようなんですね。山口県の防府天満宮という説が最も有力とされているようですが、私の地元の天神様である大阪天満宮であるという説もあります。

そこで、まず防府天満宮のウェブサイトを調べてみますと、現在の境内には「福部社」はないようでした。ただし、中世の防府天満宮には「福部社」があったという論文を見つけることができました。(平瀬直樹/「中世防府天満宮の社坊について」PDF

大阪天満宮にも「福部社」はありません。全国の天満宮を検索してみても、なかなか「福部社」は見つからず、西宮市の松原天満宮にあるらしいというのが唯一のヒットでした!(松原天満宮には近いうちに行けたらいいなと思います)

しかし、いろいろ調べているうちに私はあることに気がついたのです。

太宰府天満宮の「福部社」の隣にある「老松社」には、菅原道真の父母が祀られているのですが、北野天満宮の「老松社」には、太宰府天満宮の「福部社」に祀られている島田忠臣が祀られているのです。そして、松原天満宮の「福部社」の隣には「老松社」が並んでいるようです。

「老松社」と「福部社」にはなんらかの関連がある?

そこで、大阪天満宮について調べてみると、何と「老松社」が境内に二つあることがわかりました!

(923日目∞ 2月7日)

(明日に続きます)