北野天満宮の節分①追儺狂言にひょうたん!

by 丸黄うりほ 

①梅の枝を持った神職さん登場!

②枝に茶筅がぶら下がっています!

③金色のひょうたんと棒が……?

④確かにひょうたんです!(撮影:ながれ牛さん)

⑤金のひょうたんを叩いています!

⑥茶筅売りは銀のひょうたん叩き!

⑦鬼が登場!

⑧福部の神、現る!(撮影:ながれ牛さん)

⑨鬼はわりとあっさり降参

京都の節分は忙しい! 御所の北東の吉田神社、南東の八坂神社、南西の壬生寺、そして北西の北野天満宮に四方詣りをしなければなりませんからね。鬼はまず鬼門である北東に現れてそこを追われ、次に南東、南西へと追い払われて、最後に北西にある北野天満宮にやってくるらしいです。

その北野天満宮で、毎年節分の日に行われるのが「北野追儺狂言」。茂山千五郎社中によって演じられます。この追儺狂言にひょうたんが出てくる?という情報を得て、さっそく出かけてまいりました!

「北野追儺狂言」は13時からと聞いていましたが、11時ごろに行くと神楽殿の前にはすでに人がかなり集まっていました。毎年見に来ているという方(ながれ牛さん)によると、昨年はコロナで中止になり、一昨年までは全員立ち見だったそうですが、今年は観客席として長椅子が並べられている。けれど、写真を撮るには立ったままのほうがいいと教えていただき、私も立ったままじっと待つことにしました。寒かったですが、これもひょうたんのためです。

13時少し前になると、神職さんによって「北野追儺狂言」と、その後に行われる上七軒の舞妓さんによる日本舞踊の奉納と豆まきについての説明がありました。「北野追儺狂言」に出てくる「福の神」は、主祭神の菅原道真ではなくて、摂社「福部社」に祀られている神様なのだそうです。そう、福部、ふくべ=ヒョウタンであります!

さて、いよいよ舞台に梅の枝を捧げ持つ白装束の人物が登場! さらに、梅の枝に茶筅をぶら下げた人物たちもぞろぞろと出てきました。総勢10名ほど。白装束は神職さん、茶筅をぶら下げた人々は茶筅売りで、そろって北野天満宮に参詣に来たという設定のようです。

……と、黒子によって神職の横に金色のひょうたんと棒が置かれました!

茶筅売りたちには銀色のひょうたんが配られます!

全員が立ち上がり、ひょうたんをリズミカルに棒で叩きながら謡い、踊りだしました。ひょうたんのかわりに鉦を持っている人もいます。ええっ、これは踊念仏ではないのか?私は以前、中京区の空也堂で見た「歓喜踊躍念仏」を思い出しました(「ひょうたん日記」417日目)。その時は事情によりひょうたんを叩いている人がいなかったのですが、きょうは集団で、おおっぴらにひょうたんを叩いています!音の大きさとしては鉦のほうが勝っているんですが、耳に聞こえてくるのは作り物ではなく本物のひょうたんの響きです!

ひょうたんの表面には金色銀色の和紙が張られているのか、または塗料が塗られているのか?結構動きが早く、また銀色の人たちは奥にいて見えにくく、そこまではわかりませんでした。しかし、この演目に本物のひょうたんが大量に出てきた……というだけで、私の心中では「やったー!やったー!」という喜びの声が激しくこだましていました。茶筅売り=鉢叩き=ひょうたん叩き。もう、これは間違いないですね。

踊念仏が盛り上がっているところに真っ赤な髪をした鬼が登場!一瞬、場は静まります。鬼はいきって、観客に見得を切る。しかし、そこにふわ〜っと「福の神」が現れると、べつに何をされたというわけでもないのに、へろへろと負けてしまいます。最後にはみんなに豆をぶつけられて退散。

何なん?この鬼弱いな……。というより、「福の神」が強すぎる!

「福の神」の顔は、「おたふく」でした。そして、「おたふく」の輪郭は……まさに、ひょうたん型ではないですか!「おたふく」って、もともとはひょうたんに顔を描いた面だったんじゃないのかな?

(691日目 ∞ 2月8日)

(*明日に続きます)