暖かな春、イプのタネを待ちわびて

by 丸黄うりほ

▲小布施のユカリさんのイプ(撮影:奥田亮)

▲こちらが楽器になったイプ(宇治市植物公園にて撮影)

 

ひょうたんのタネまきに適した時期は、桜前線がひとつの目安になります。私は毎年、ソメイヨシノが散って八重桜が咲くころにタネまきをすることにしています。大阪ではだいたい4月10日頃でしょうか。

……と思っていたら、今年はなんと暖かい春なのでしょう!関西ではお彼岸の頃から桜がどんどん咲き始め、今まさにソメイヨシノが満開です。そして、おそらくこの週末に予想されている雨によって、大部分は散ってしまうでしょう。ストーブも毛布もしまおうかなと思うくらい暖かい。というか、空気がぬるいような感じすらします。

これだけ暖かいと、「ほら、タネまきの季節がきましたよ!さっさとまいてくださいよ!」とひょうたんの神様に急かされているような気がします。

私の周囲では、今年からひょうたん栽培に挑戦したいという人が何人か現れていて、その人たちはもうすでにタネまきをしたようです。彼ら新たなひょうたん仲間については、おいおいこの日記でも紹介していきますね。

昨年、リモートひょうたん活動によって私の栽培に伴走してくれた「ヒョウタン総合研究所」のふじっこさんも、今年の栽培品種を決めたようです。種苗メーカーの福井シードで「鶴首ひょうたん」と「タコ瓢」のタネをすでに購入。「鶴首ひょうたん」はふくらみが一つでフラスコの首を伸ばしたような形になる品種。「タコ瓢」というのは、「テンコマンドメント(十戒)」とも呼ばれ、ペポカボチャの一種で植物の分類上はひょうたんではありません。たぶん黄色い花が咲くと思います(ひょうたんの花は白色)。確かにタコみたいな面白い形をしていて、どんなふうに育つか楽しみですね。

あとは、養老の安田ひょうたん店で「豆ひょうたん」と「長ひょうたん」の苗を買う予定だそうです。そして、昨年実った百成から採取したタネを発芽させてみようとも思っているのだそう。

それからもう一種。ふじっこさんと私が待ちわびているのが、イプのタネです。

そうです、「ひょうたん日記」をずっと読んでくださっている方にはおなじみ、毎週月曜日の「奥田亮のでれろん暮らし」に何度か登場している、長野県・小布施のユカリさんのイプです(写真1枚目)。詳しくは、過去の日記(395日目の「でれろん暮らし」など)をお読みくださいね。

そのイプのタネを奥田さんが送ってあげようと言ってくださったので、ふたりとも「ください。欲しいです」と前から伝えているのですが、現時点ではまだ届いていません。きょうか、きょうかと待ち遠しく、マンション1階にあるポストをしょっちゅう確認に行っているのですが……。

イプというのはハワイのひょうたんの品種名で、そのまんまの「イプ」とか「イプヘケ」という名前のついた打楽器も存在します。2枚目の写真は、宇治市植物公園で昨年の春に行われた「ひょうたん展」で撮らせてもらった「イプヘケ」です。(226日目の日記

イプのタネ、早く届かないかな!あっ、でもその前にベランダをもう一度掃除して、資材の消毒もしておかなければ。土やネットも購入しなければ……。春はわくわく、そして何かと忙しい。

(486日目∞ 4月2日)

丸黄うりほ  ライター・編集者。ひょうたんをタネから育て、その実から音の出るものを自作し、演奏する楽団「ヒョウタン総合研究所」立ち上げ所員。ソロで「オール電化ひょうたん」としても活動中。ひょうたん栽培歴は15年ほどになるが、畑がないので毎年マンションのベランダでプランター栽培している。「花形文化通信」では、ほかにインタビュー記事を担当。

ふじっこさん 「ヒョウタン総合研究所」所員。ひょうたん栽培3年生。2020年は自宅の庭と畑で6種のひょうたんを栽培。2021年も丸黄への報告と写真提供でリモートひょうたん活動予定。

 

※次回487日目は奥田亮「でれろん暮らし」、45日(月)にアップ。

488日目は丸黄うりほ「ひょうたん日記」、46日(火)にアップします。