堂々たるヒョータニスト

by 奥田亮

果物王国信州は、りんごもまた格別のおいしさで、しかも時期によっていろいろな品種が次々と出てきます。〈秋映え〉〈シナノスイート〉〈シナノゴールド〉の信州りんご3兄弟に続いて、いよいよ〈フジ〉の季節到来です。〈フジ〉は甘味と酸味のバランスがよく、食感もシャキっと爽やかなので、人気の高い品種。関西にいる頃はりんごに特段の思いはなかったのですが、信州に来てから、りんごは一番好きな果物に格上げされました。しかも(他の果物や野菜もそうですが)、りんごは買うものにあらず。「りんごある?」があいさつ代わりに交わされ、「ない」と答えるとハネ出しりんごをいただけるということもしばしば。玄関先にドンと置いてあることも。ありがたいことです。

去年このあたりのりんごは、最盛期に台風の水害で泥をかぶり、大きな被害にあったのですが、今年は出来具合もよく、農家の方々の安堵の声が聞こえてきます。皆さま、りんごを買うなら信州産を!とちょっと宣伝させていただきます。

乾燥中のユカリさんのイプ

さて、イプです。水漬け中だった4つも、ようやくだいたい中身が出たので、そろそろ乾燥に入ろうと思います。栽培されたユカリさんのところも順調で、先日途中経過を報告してくださいました。完全に中身を出した後、臭い消しのためのさらなる水浸けも終わり、乾燥に。秋晴れ快晴の空に燦然と輝くイプ! まるでハワイみたいですね! そして、種出しに勤しむユカリさんのお姿は、もう堂々たるヒョータニストではありませんか! 水漬けに漬物樽が大活躍しているのもさすがに信州です。余談ですが、長野のホームセンターでは時期になると店先にたくさんの味噌樽や漬物樽が陳列され、大売り出しが始まります。それだけ需要があるということで、こんなところにも土地柄が出るのですね。

種出し作業も慣れたものです

漬物樽が大活躍

そして、先日突然大阪の美佐子さんのところからやってきたUFO。未だなんの処理もせずそのままの状態ですが、この、お正月の鏡餅のような形をみたフラの先生ユウコさんから、これってイプヘケ(楽器のイプ)の上の部分になりますね! と歓喜のコメント。確かに2つを組み合わせるとイプへケになるかも。ちょっと並べてシミュレーションしてみました。イプへケというよりなんかカワイイこけしみたいにも見えます。うーん、これはこれでアリだなと思いつつも、イプへケとして使うとなると大きさも小さく、ドンという低音が十分響かないと思われます。それに、イプへケの上の部分は、UFOよりもダルマの方がいいかもしれません。

イプへケというよりこけし?

来年はこのUFOから出した種をユカリさんに託して、大きなUFOを作ってもらおうと思います。といっても本人の了解はとっていないのですが……。美佐子さんのUFOは、大阪北浜のカフェバー 「フレイムハウス」の店先で、プランター栽培されたもの。それで4つも実がなったのですから、ユカリさんの広い畑と頑丈な棚があれば、もっと大きなのがなる可能性が大きいではありませんか。いかがでしょう、ユカリさん!

ということで、今回UFOはカワイイ蔓を残して何か他のものにすることにします。まずは水漬けからですが、専用容器は大き過ぎて非効率な上に、入れる水の量も多く、冷たくて手を入れることもためらわれるので、別の方法を考えようと思います。漬物樽? そうねえ……、でれろん、でれろん。

(395日目∞ 11月16日)