サマルカンドはひょうたんの主要な産地

by 丸黄うりほ 

①カフィル・カラ遺跡から出土した「木彫板」

②ソグド人をモデルにしたといわれる伎楽面

③ウズベキスタンほか、中央ユーラシアの民族楽器。

④「かぎたばこ売り」の紹介コーナー

⑤ひょうたん製の「かぎたばこ入れ」

⑥陶人形にも「ウリ売りのおじさん」が

⑦塗り絵コーナーにもおじさんがいました! 

「特別展  シルクロードの商人(あきんど)語り  サマルカンドの遺跡とユーラシア交流」という展覧会を見に、大阪府吹田市の国立民族学博物館に行ってきました。会期は6月2日まででした。ギリギリ滑り込みセーフでした。

というのも、複数の方から「展覧会にひょうたん出てますよ!」というメールや写真をいただいたのです。国立民族学博物館の本館には世界の諸民族の衣食住にまつわる生活道具や、祭礼などに使われる道具や飾りなどが常設展示されていて、そのなかにはひょうたん製のものもたくさんあることは知っていたのですが。特別展には会期がある、なんとか期間内に行かなくては!

そんなわけでしたが、本当に行けてよかった。というより、ひょうたん愛好家を自認するなら決して見逃してはいけない展覧会でした。

特別展示館の1階では、ウズベキスタンの古都・サマルカンドのカフィル・カラ遺跡から出土した「木彫板」(写真①)など、イラン系ソグド商人の活躍した時代の遺物や、商人が運んだものを展示。たとえば、シルクロードを通って奈良の東大寺にも伝わった伎楽面のモデルがソグド人なのだそうです(写真②)。

2階では、現在のウズベキスタン、サマルカンド周辺に受け継がれてきた暮らしのアイテムを展示し、サマルカンドのバザールのようすを映像や写真で紹介。特に楽器のコーナーは大充実していて、珍しい楽器が大好きな私はうきうきしました。たくさんの弦楽器の中に、ひょうたん製のものはないかと探してみましたが、木製のものが多かったです。もしかしたら、元はひょうたんで作られていたものもあったのかもしれませんが……(写真③)。

では、ひょうたんはどこにあったのでしょうか!?

それは「かぎたばこ売り」の一画でした。かぎたばこを量り売りしている写真パネルの前に、商売で使う分銅や秤、紙幣などど一緖に、ひょうたん製のかぎたばこ入れが並んでいたのです!(写真④)

写真⑤をご覧ください。涙型というか卵型というかナス型というか。くびれのある中国や日本のひょうたんとは違う形ですが、紛れもなくひょうたんです。大きさは高さ7〜10センチくらいで「千成」サイズ。金属や皮で飾りをつけ、表面にも模様が描かれています。

展示パネルにはこのような説明が付けられていました。

「タバコの葉を主な原材料とし、口に直接含んで使用するかぎたばこ(ノス)を携帯するためのひょうたん製の容器(ノスカドゥ)。サマルカンドは、ひょうたん栽培の主要な産地でもあった。今日では、ガラスやプラスチック製の小びんなどに入れて携帯するのが一般的である。」

サマルカンドはひょうたんの産地!

さらにその隣には、ウズベキスタンのバザールのようすが写真パネルで展示され、それを見ると巨大なカボチャ、スイカ、メロンのようなウリ科の果実が山積みになっていました。また、バザールで働く人々をかたどった陶人形の中にも、「ウリ売りのおじさん」がたくさんいました!(写真⑥)

ひょうたん製の「かぎたばこ入れ」そのものについては、過去の「ひょうたん日記」で、大阪市立東洋陶磁美術館の「鼻煙壺」コレクションや、湯浅浩史先生の「鼻煙壺」コレクションなどを紹介させてもらったこともありました。しかし、今回の展示で私が本当によかったと感じたのは、サマルカンドの気候がウリ科植物、ひょうたんの栽培にぴったりだという事実が、はっきりと記されていたことです。

2階展示場の最後には、絵葉書サイズの塗り絵がもらえるコーナーがあって、「おひとり1枚」と書いてあったので、私は迷いなく「ウリ売りのおじさん」をチョイスしました。(写真⑦)

(1455日目∞ 6月4日)

※次回1456日目の丸黄うりほ「ひょうたん日記」は、6月10日(水)にアップします。