オカフジ、大賀ハス、岡のひょうたん/和歌山・上富田探訪(6)

by 丸黄うりほ

①「田中神社」の鳥居と、南方熊楠ゆかりの「オカフジ」

②2000年以上前のタネから発芽した「大賀ハス」もこの町の名物

③ハスの花の見頃は7月、フジの花の見頃は5月

④ひょうたんも収穫がすんでいましたが……

⑤ところどころに実が残されていました

⑥未熟な実を残してあるのかな?

⑦実になりかけの雌花も

⑧「ひょうたんせんぱい」はこのひょうたん畑で誕生した!

さて、いよいよ今回の旅のハイライト。ヒョータニスト一行は、「田中神社」方面へ。「田中神社」は、ぽっこりとした森に囲まれた、文字通り田んぼの中の神社です。まさに日本の原風景と呼びたくなる美しさ。

この神社は南方熊楠が絶賛したというフジに覆われています。正式な品種名は牧野富太郎が命名した「ヤマフジ」だそうですが、上富田町の岡地区では、今でも熊楠が名付けた通り「オカフジ」と呼ばれています。鳥居の上に伸びる様子が本当にすばらしい。(写真①)

私たちは「田中神社」にお参りした後、その裏手に回りました。ここでは2000年以上前の縄文遺跡から出土したタネから発芽した古代ハス、あの有名な「大賀ハス」が栽培されています。池の端にはその説明文も立っていました。(写真②③)

フジの花の見頃は5月、ハスの花の見頃は7月ということで、どちらもシーズンオフ。しかし、熊楠ゆかりの「オカフジ」に、大賀博士の「大賀ハス」がひとところにあるなんて、それだけでもマニアックな植物好きにとってはたまらないですね。そして、ここにはさらにもう一つ重要な植物があります。

そう、私たちの目当てである「岡のひょうたん」です!

向かいの「創作館」を見せてくださったリアル「ひょうたんせんぱい」は、「もうひょうたんは収穫してしまった」とおっしゃっていたのですが、畑に行ってみると、まだ数個のひょうたんが残されていました!

よかった!私たちは大喜びで残されたひょうたんの写真を撮りました(写真④⑤⑥⑦)。

遅くにできた未熟な実だから蔓に残してあるのでしょうか?虫食い跡などがあるから収穫されなかったのかな?それとも、柿の木に1個だけ実を残しておく「木守り」の習慣のように、ひょうたんの実にも残しておく習慣があるのでしょうか?なぜなのかはわかりませんが、とにかく栽培中のひょうたんに会えてうれしかったです。

今年の栽培に使われていたと思しきひょうたん棚は3つほどでしたが、それ以外の場所にも金属パイプでしっかりと組まれた棚がいくつかありました。おそらく、連作障害を避けるために、年によって場所を変えて栽培しておられるのでしょう。

畑の傍には、「ひょうたんせんぱい」のイラストとともに「瓢箪と共に歩む 岡老人クラブ」という立て札もありました。

“ご存知のように、瓢箪先輩は上富田町のマスコットキャラクターとして有名です。じつは瓢箪先輩は、ここ田中神社の瓢箪畑で誕生したとされています。どうぞよろしくお願いします”

“ひょうたんせんぱいは、平成29年3月、昔からひょうたん作りが盛んな、上富田町岡地区にあるひょうたん畑で誕生しました。基本的にクールですが、みんなの悩みや意見を聞いてくれる、頼もしいせんぱいです。な、なんと頭の栓を抜いて、みんなの悩みを吸い取ってくれます。クールな見た目とは違い、上富田町を想う、心やさしいせんぱいです”

憧れの「ひょうたんせんぱい」の生誕地。ついに聖地巡礼を果たした私たちヒョータニスト4人(フェイ・ターンさん、杉浦こずえさん、コンさん、私・うりほ)の顔には、ひょうたんのようにまるく満たされた笑みが浮かびました。

(1073日目∞ 10月6日)

火曜日に続きます

*上富田の旅はこちらから

 

※次回1074日目は丸黄うりほ「ひょうたん日記」、10月10日(火)にアップします。10月9日(月・祝)の奥田亮「でれろん暮らし」はお休みです。