【P探】プレスリリースを通して世相を探っているような気がする「プレスリリース探訪(略称:P探)」です。

今年(2025年)は「昭和100年」にあたるそうです。

昭和元年から起算して100年目となり、来年(2026年)12月25日は昭和となってから丸100年、つまり100周年となるわけです。

西暦でいうと1926年の12月25日から昭和となって7日間で年が変わり昭和2年を迎えていますから年齢に置き換えると…

昭和元年(と大正15年元日から12月24日まで)に生まれた方は今年、満年齢で「白寿」の99歳。

今年100歳となる方は大正14(1925)年生まれなわけですね。

ややこしいですね。

そんなややこしいことをさらに“国家レベル”でややこしくしてるように感じられるのが以下のケース。

「内閣官房」のウェブサイトに「『昭和100年』関連施策関係府省連絡会議」というページがあるのですが…

ここには

令和8年(2026年)に、昭和元年(1926年)から起算して満100年を迎えます。

「昭和100年」をきっかけとして、激動と復興の昭和の時代を顧み、将来に思いを致すことは、大変意義深いことです。

このため、「昭和100年」に向けた関連施策に関する関係府省連絡会議を開催します。

と書かれています。

つまり、内閣官房界隈の「昭和100年」は来年なのか?…ということになりますね。

「2025年の『昭和100年』をきっかけに翌26年の昭和100周年に将来に思いを致すことが意義深いという主旨と理解していただいても差し支えないと申せますし、そもそも昭和は西暦1989年の1月7日に64年で幕を閉じており、その元号に係る「100年」は存在しないといえるものと思料するものでありますから」……

というような、わかるようで、実は全く意味不明の言い訳みたいな“国家”側の官僚的な答弁が想像されますが、それはさておき。

なんで、こんなことを思って書いたのかというと、こんなプレスリリースがきっかけ↓

【三島由紀夫生誕100周年記念】新潮文庫の三島由紀夫グッズ発売!

2025年1月14日は、1925年1月14日に生まれ、1970年11月25日に亡くなった三島由紀夫の生誕100周年の節目となります。
新潮社では「三島由紀夫生誕100周年フェア」を全国の書店店頭にて開催中ですが、それに合わせ「新潮文庫の三島由紀夫」をテーマに、文庫にまつわるグッズを制作しました。

「三島由紀夫作品と旅に出る、もしくは部屋で読む時に、使うかもしれない、文庫本専用のミニトートバッグ」

「三島由紀夫作品と旅に出る、もしくは部屋で読む時に、使うかもしれない、文庫本専用のミニトートバッグ」

…このリリースを読んで思い出したのが、「三島由紀夫生誕100周年フェア」を開催している某書店内で先日、耳にした男性客同士の会話です。

その内容というのが…

「三島の生誕100周年か。そういえば2025年は『昭和100年』らしいなぁ」
「ということは三島は生きていれば100歳。昭和元年生まれやったんや」
「あっそういうことになるんかな」

恥ずかしながら僕もそのときは「あっ、そうか」と思いました。

でも帰りの電車のなかで…
「あれっ? 三島由紀夫って大正14年生まれやったなぁ。それで今年生誕100年、ということは存命なら100歳。大正15年と昭和元年は同じ年なんで…。あれ? 今年は『昭和100年』。三島が100歳。で、三島は大正14年生まれ。あれれれっ?」

数字に弱い僕の脳は空気しか入ってないゴム風船のように「パンっ」と音を立てて破裂しそうになりました。

「え~っと三島が生まれたのは大正14年やから西暦でいうと1925年。昭和元年は1926年やからぁ!?」

ここまで読んで「こいつアホやな」と鼻で笑っている方も多いでしょう。

反論しません、できません。
はい、アホです。

この記事で先に…
「今年は昭和元年から起算して100年目」と書きましたね。

落語に「百年目」という演目がありますが、
落語でも、このときは「壺算」に出てくる瀬戸物屋さんのように頭のなかがコンガラガッてパニック状態です。

(「落語はようわからん」という方は、たとえば…
Youtubeの「六代目 笑福亭松喬 落語公式チャンネル」「百年目」「壺算」を参照してみてくださいね)

で、帰宅してビールを飲んだら、そんなことは、すっかり忘れていました。

しかし…
先に書いたように、「三島由紀夫生誕100周年フェア」のプレスリリースが目に止まって某書店内のことを「はっ」と思い出し、あらためて「年齢早見表」とかをみたり、数字を指折り数えたりして…

(先に書いたのと重複しますが、)
2025年は(内閣官房を別にして)「昭和100年」で…
昭和元年(大正15年)の1926年から起算して丸99年。

2025年に100歳となるのは大正14年である1925年生まれの方。

なので来年の2026年は昭和元年から起算して満100年の「昭和100周年」。

そう確信したうえで、三島由紀夫の生まれ年について某書店内の男性客の発言は勘違いだという結論で腑に落ちたわけです。

もし、みなさんのまわりで、ここらへんのところを誤解されている方がいらっしゃったら教えてあげてくださいね。

で、あたらめて申し上げますと今年は「昭和100年」。

こんなプレスリリースがありました↓

【昭和100年、成人式/振袖事情を令和世代と昭和世代で徹底比較】振袖費用、昭和世代の約6割が「わからない」と回答令和世代の約5割が振袖選びに「コスパ」を求めていることが判明

「こども専門写真館」を中心に全国で写真スタジオを展開している「スタジオアリス」(本社・大阪市北区)が「昭和100年」を迎えるにあたって成人式に参加したことがある昭和・令和世代の女性800人に「成人式/振袖に関する調査」を実施しました。

その結果…

成人式が「必要だと思う」と回答した割合は、令和世代が76.0%であったのに対し、昭和世代では45.5%にとどまり、令和世代の方が成人式に対して前向きであることが明らかになったそうで、この結果について同社は…

実際に、令和世代からは「人生の節目として大切」「同世代とのつながりを感じられる」など、成人式が自己成長や絆を意識する機会と捉える声が多く聞かれました。

また2020年に流行した新型コロナウイルスの影響で学生時代の記念行事が実施できていないことも要因の一つとして考えられます。

…と分析しています。

Q 成人式(二十歳の集い)についてあなたの意見を伺います。成人式(二十歳の集い)は必要だと思いますか?(単一回答)

Q 成人式(二十歳の集い)についてあなたの意見を伺います。成人式(二十歳の集い)は必要だと思いますか?(単一回答)

それからこんな試みも↓

【昭和100年】「商店街まちごとスタジオ化」フィルムカメラを使って“昭和”に没入できるSEKAIHOTEL新企画

「商店街まちごとスタジオ化」フィルムカメラを使って“昭和”に没入できるSEKAIHOTEL新企画
プレスリリースの本文冒頭に

令和の7年目となる2025年。実は、昭和から数えるとちょうど100年目となるのです

…とあります。「100年目」と、きっちり書いてくれているのがニクいですね、「昭和100年って来年かも?」なんて迷い悩む必要がない。今年は昭和100年目、間違いありません。超個人的な感想ですけど…

で、「100年」といえば…厚生労働省によると…
2024年9月1日現在の住民基本台帳に基づく100歳以上の高齢者の総数は9万5119人。

100歳以上の高齢者の数は、老人福祉法が制定された1963(昭和38)年には全国で153人でしたが、1981(同56)年に1000人を超え、1998(平成10)年に1万人を突破。2012(同24)年に5万人以上となったそうです。

1963年から60年ほどで100歳以上の方々の人数が約620倍増えています。

100年生きるということが、ものすごく珍しいっていうことではありません。
そういう意味で、100年という感覚とか印象も時代によって変わってきて当然ですね。

たとえば、僕が生まれた1962(昭和37)年に100年前というと1862年。

文久2年で、日本はまだ江戸時代です。

大沢たかおさんや綾瀬はるかさんらが出演したテレビドラマ「JIN-仁-」(2009年放送)で、主人公の医師が現代からタイムスリップしたのが、この年なんですね。

ずいぶん文久2年って古色蒼然とした印象で、それからの変化が激しい気がしませんか?

僕はします。

ちなみに10年ほど前までは「生まれた年の100年前が江戸時代だった」という話を若い方に話すと、驚かれてウケたのですが、最近は「へえ、そんなもんでしょ」という顔をされます。

こんなプレスリリースもあります↓

戦後80年、「昭和100年」という節目の年にあたる2025年の1月、半藤一利さんのベストセラー「昭和史」シリーズ2冊が新版で発売!

「昭和史」シリーズ2冊さて、100年後に「現代」がどのように見えるんでしょうかね。

「昭和100年」をきっかけに、この「昭和史」を読んで、そんなことを意識して考えてみようと思います。
みなさんも御一緒にいかがですか?(岡崎秀俊)