【P探】プレスリリースを通して世相を探っているような気がする「プレスリリース探訪(略称:P探)」です。
いきなりですが、今年の「節分」は2月3日です。
節分といえば、豆まき。
「鬼はそと福はうち」というか…
「鬼わぁ~そと!福わぁ~うち!」と、豆をまきながら自分に都合のいいことを臆面もなく大声で叫ぶという風習ですね。
これは一般的なスタイルで、地域や仏教の宗派によって掛け声の内容や、風習に対するスタンスが違うようですが、「へぇそうなんやぁ!」という気づきがあったのが、このプレスリリース↓
鬼のまち福知山市のオリジナル絵本が完成!「鬼は外!」豆まき後の鬼たちを描く『節分で追い出された鬼はどこへ行く?』 物語の世界観をより一層楽しめる、読み聞かせ動画も本日から市公式YouTubeにて公開!
考えてみれば、「鬼はそと福はうち」ってことは…
もともとは鬼が「うち」に、福は「そと」にいた
…って解釈もできますよね。
プレスリリースのタイトルにもある読み聞かせ動画、そこのところの世界観が面白いのでおすすめです。
ここで、ひとつおたずねします。
「鬼はそと福はうち」の掛け声を聞いて、子供に対する親からの定番のセリフのひとつ(だと僕が信じている)…
「よそはよそ、うちはうち」が頭に浮かんでしまうのは僕だけですか?
字数と「うち」という言葉しか重なってないので、僕だけだとしても致し方なく、想定内。もし、同じような方がいたら前世で何かの縁があったかと思うほど希少な存在のような気もします。
機会があれば、「まぁお互いいろいろと大変ですけどね」と一献傾けたいほどです。
ちなみに「よそはよそ、うちはうち」と言うリズムやテンポは豆まきの掛け声とは違って、だいたい平坦で低い声で断言するほうが効果的な気がしますね。
試しに豆まき調のリズムとアクセントで「よそわぁ~よそ!うちわぁ~うち!」と言ってみました。
個人的には違和感がありますけど、節分の日だと、意外にしっくりくるかもしれません……知らんけど。
ついでに屋台のラーメン屋さんのチャルメラのメロディとリズムで、「よそわぁ~よそ♪うちわぁ~うち♪」と歌ってみると、大相撲の力士名の呼び上げに通じる陽気さもあっていいですね。
で、それはさておき…
「よそはよそ、うちはうち」が登場するのは…。
子供が親に「◯◯くんは冬休みに家族でハワイで年越ししたんやて」とか言うシチュエーションとかですかね。
でもこれは…
「うちみたいにプライベートジェットからオーロラ見物するよりも、暖かいところで、のんびりできてええねぇ。次は大型客船をチャーターしてハワイに行こか」というようなケースも想定されなくもない。
それぞれの家族の状況が千差万別ですし、時代によって、いろんなパターンが考えられます。
昭和の高度成長期の後半なら…
「◯◯ちゃんとこ、カラーテレビ、買ったんやって」とかかな。
ただ、こんな場合は、子供から、そう言われた母親が…
「えっ!そうなん!! 自家用車を持ってる△△さんとこも買(こ)うてはるし、それに、あそこはクーラーも来るそうやし…」
とワンクッションあって、視線を向けられた父親が…
「よそはよそ、うちはうち」
これは生活レベルが上には上、下には下のいろいろなパターンが思いつくわけで…。
いくつか書いてみたのですが…。
格差が広がっていると言われる社会で、けっこう生々しい話かも。昨今ではコンプライアンスの問題もあって不快感を与える可能性もあるので…。
みなさん各自でいろんなパターンを想像してみてください。
何が言いたいのかというと…。
「よそはよそ、うちはうち」っていうセリフはなかなかに深淵で含蓄が深いということです。
ネットを見ていただけば、一目瞭然ですが、啓発系のサイトや動画で挙げられている、幸福になる方法の代表例のひとつが「他人と比べない」という旨の条件。豆まきの掛け声と「よそはよそ、うちはうち」は字数と「うち」という言葉しか重なってないわけではなく、幸せを求めるという方向でもつながっているわけですよ。
英国のバートランド・ラッセル(1872~1970年)も『幸福論』(岩波文庫)で…
「他人と比較してものを考える習慣は、致命的な習慣である」(第6章「ねたみ」より)
…と断言し、続けて「何でも楽しいことが起これば、目いっぱい楽しむべきであって、これはもしかしてよその人に起こっているかもしれないことほど楽しくないんじゃないか、などと立ち止まって考えるべきではない」と戒めています。
まぁつまり、ざっくり言うと…
「よそはよそ、うちはうち」という姿勢が幸福を感じる条件のひとつだと、おっしゃってるわけで、他人と比較しないことは不幸を避ける定石の手段になっているようです。
とはいえ、ラッセルはノーベル文学賞を受賞し哲学者や数学者などとしても功績を残した誰とも比べようのない唯一無二のような人物なので…
「そりゃ、あんたはそうやわな」
…と、僕のよう自他ともに認める度量の小さいオトコは妬(ねた)みそうにはなるし、確立された鉄板の手段ってシンプルだけど、実行は難しいことが多いのも事実。
「食べすぎない」「飲みすぎない」「人の悪口を言わない」「愚痴はこぼさない」…とかね。
なので「比較しない」というのもなかなかに困難な気がします。
だいたいネットの記事でも比較の王道ともいえる「ランキング」の企画は世間の関心が高いので、よく目にするわけです。
女性に好かれる職業とか…
業種別年収とか…
年代別の金融資産額とか…
自分の相対的位置を知ることは必要だという意見もありますが、こういうのを見て僕は我が身と比べてしまい、幸福な気分になったことはないです。
確かに比較は不幸を呼ぶ。
とはいえ、当然ながら比べるってことは悪いことばかりじゃない。
ランキングっていうのは実力評価や人気度調査の側面もありますからね。
なので、たとえば、ちょっと値のはるものを買うときは同種の品物や値段など販売店のサービスを比べるのは当たり前のこと。
安全にかかわるものなどは比べないと災難を招く可能性もあります。
つまり比較そのものがダメなわけではなくて「他人」と比べて卑下したり優越感にひたったりすることが不幸の誘引となるだけの話。
ランキングの対象になる側にとってもユーザーの満足度がわかるというメリットがあります。
なのでランキングは上手に利用したいですね………と
このあとの展開の都合上、テレビに出てるタレントコメンテーターでも口にしないような紋切り型の極みともいえるようなコメントにハードランディングしてしまいました。ごめんなさい。
「よそはよそ、うちはうち」だけど、ランキングは上手に利用したい。
…というわけで、
目に止まったのがこのプレスリリース↓
【GRAVITYランキング】20代~30代女性が選ぶ!!「職場の面倒な先輩・上司の特徴 TOP10」
「やさしいSNS『GRAVITY(グラビティ)』」がユーザーにアンケート調査を行ったランキングで、結果は以下の表の通りです。(集計期間:2023年9月14~17日、有効回答数 550人)
第1位は「気分屋」で、2位が「面倒な仕事を押し付けてくる」、3位「価値観が“昭和”」などと続いてまして、昭和60(1985)年に社会人になった僕も違和感はありません。
面倒な先輩とか上司って、いつの時代も変わらないようです。
一応、管理職なんかも少し経験のある身からすると「ちょっと、やらかしてたかも」と自身を振り返りもしますから、ランキングには、自省をうながす効用もあるといえます。
この調査を実施したGRAVITY(iOS、Android版)はHiClub(東京都港区)が提供するSNSサービス。
同社が2021年10月27日に配信したプレスリリースによると…
SNSにおしゃれな写真を投稿しなければという「映え疲れ」なども取り立たされてきたなかで、匿名性を高めたうえ、プロフィールのアイコンは運営側で用意したバーターの中から選べて“映え”などを気にしなくてよい仕様にしているのが特徴だそうです。
おしゃれな写真で見栄えを気にしたり、自己ブランディングをしたりする必要をなくするなどしてしているというわけ。
つまり、あーだこーだと「比較」を気にせず楽しめることを追求しているといえそうなので、今回、とても興味を覚えました。
で、次はこれ↓
無料アカウント登録でテレビ番組の注目度が閲覧可能に!REVISIOデータ公開サイト「RE.Source」をオープン
家庭に人体認識技術を搭載した機器を設置してテレビスクリーンへの「注視」を測定しているという「REVISIO(リビジオ)」(東京都千代田区)が関西と関東での地上波テレビ番組の「REVISIO計測世帯視聴率」と「注目度」を無料で閲覧できるWEBサイト「RE.Source(リソース)」をオープンしたというリリースです。
「注目度」とは「テレビの前にいる人がどのぐらいテレビ番組を注視していたか」を測るREVISIOの独自指標だそうで…
「RE.Source」では、過去1週間の関東・関西地域での地上波6局7チャンネルのREVISIO計測番組世帯視聴率と注目度がご覧いただけます。地上波テレビの見られ方が変化しているからこそ、世帯視聴率だけではないテレビ視聴の「質」を測るデータを、広く世の中に無料公開することで、地上波テレビ番組をさまざまな観点から正しく評価することができると考え、データ公開サイトのオープンに至りました。
…過去1週間の「全番組平均注目度」や「ジャンル別注目度ランキング」の閲覧は法人所属者のみができる無料アカウント登録が必要で、テレビに広告を出す企業・団体を対象にしたサービスのようですが、REVISIOが計測した過去1週間の全番組平均世帯視聴率はアクセスすれば誰でも閲覧ができます。
これまで番組の視聴率などは一般視聴者はメディアの記事やまとめなどを通じて知ることが普通でした。
でも、テレビモニター上でネットで配信されているさまざまなコンテンツを視聴できる環境が定着してきたなかで、個人が地上波の各番組の人気度を手軽に「比較」して“ランキング”できるのが興味深く、既存のマスメディアを取り巻く環境の変化を実感します。
今後のこの数値の変化にも注目して地上波の影響力の推移を見守りたいです。
それから…
こんなランキングもありました。
年始恒例のAWAユーザーが選ぶ!2024年にくるアーティストを発表!1位は「ランデヴー」がロングヒットを続けているシャイトープ、2位はZ世代を中心に支持を集めるマルシィ
音楽ストリーミングサービス「AWA(アワ)」は、2023年12月16日から2023年12月31日までに、2024年にブレイクしそうなアーティストをテーマに、ユーザーが作成したプレイリストの採用楽曲を集計し、2024年にくるアーティストのトップ10を発表いたしました。
…というプレスリリースです。
ランキングは以下の通り。
見事1位に輝いたのは、2023年4月にリリースされた「ランデヴー」がTikTokを中心にロングヒットを記録しているスリーピースバンドのシャイトープでした。AWAのプレイリスト採用楽曲ランキングでも2023年9月以降4カ月連続でトップ5にランクインを続けており、2024年の活躍に大注目が集まっているアーティストです。
…とのことで、シャイトープ、けっこう勢いがあるみたいですが、申し訳ありません。
存じ上げません。
トップですら、認識してなかったわけですから、このランキングのラインナップは知らざることコンプリート。90度にそそりたったツルツルの壁のごとしで、取っ掛かりどころがなく、少々疎外感すら覚えるほど。
でも、最近はSNSや動画サイトで人気を集めて、いきなりメジャーに大ブレイクし僕のようなオッさんたちですら、前から知ってたような気分になるアーティストが登場する機会が増えてきていませんか?
あんまり“オトナ”がからまなくても音楽を職業にできるチャンスの裾野が広がってきているような気がして僕はとても良い傾向だと感じています。
いろいろなランキングがありますが、まぁ兎にも角にも、他人と自分を比較しそうになったら「よそはよそ、うちはうち」と“呪文”のようにとなえるのがいいかも。
「よそわぁ~よそ!うちわぁ~うち!」と叫ぶのも周囲の環境が許せば、問題ないと思います。今年の節分にいかがですか?
僕はラーメン屋さんのチャルメラのメロディでもやってみますね。
(岡崎秀俊)