【P探】プレスリリースを通して世相を探っているような気がする「プレスリリース探訪(略称:P探)」です。

さて問題です。
大阪・吹田市の千里丘陵で「日本万国博覧会(大阪万博)」が開催されたのは1970(昭和45)年ですが…。

その翌年から始まった子ども向けのテレビ番組が火付け役となって大人までも巻き込んだ現象が日本中を席捲しました。
それは何ブームと言われたでしょうか?

はい。当時、小学生だった僕と同世代のそこのアナタ、もちろんわかりますよね。

えっ!
「ボウリングブーム」?…。

確かに、中山律子さんとかがスゴい人気で、「美しきチャレンジャー」なんていうプロボウラーをヒロインにしたスポ根チックなボウリングのテレビドラマもありましたけど…。
僕が生まれ育った和歌山の田舎のスーパーのなかにボウリング場が併設されたほどでしたけど…。
ここでは話の流れの都合で不正解です。残念でした。

正解はそう!
「変身ブーム」(…ということにしてください)です。

当時の日本に変身願望が高まっていたのかどうか知りませんが、1971年に放送が始まったテレビ番組「仮面ライダー」が人気が高まって、人間が等身大のヒーローとかヒロインに変身するテレビドラマが次々に放映されたんですよね。
「人造人間キカイダー」みたいに、人間の姿をしたアンドロイド(人間型ロボット)が、中身の機械が一部シースルーのヒーローに変身するという例外もあって…結局、ロボットはロボットなのに変身する意味があるのか…何で変身すると強くなるのか、意味がちょっとわからなかったですけど、カッコ良かったなぁ。
まぁつまり変身することは強くなることだったわけですね。
当時、大人向けのテレビドラマや雑誌の特集などでも頻繁にキーワードになるほど「変身」が流行っていましたけど…。
変身ブームというのは「強くなりたいブーム」だったのかも。

「仮面ライダー」という“冠”がついた番組は令和になっても続いていますが、僕がリアルで観ていたのは「アマゾン」くらいまでなので、最近どころか、ここ半世紀近くの流れが全然わかりません。

それはさておき、(たぶん)ご存じのように仮面ライダーの1号と2号をリブートするかたちで、庵野秀明さんの脚本・監督による映画「シン・仮面ライダー」が今年3月から公開されています。

興奮します。

だって、ショッカーに捕まって仮面ライダーに改造されることを妄想して「将来なりたい職業は?」って質問されたら「仮面ライダー」って答えそうな勢いでしたもん。
カルビーの「仮面ライダースナック」っていうお菓子があって、オマケでついている仮面ライダーとか怪人のカードがほしくて、お小遣いをつぎ込みました。

「仮面ライダースナック」(カード付)Ⓒ石森プロ・東映

「仮面ライダースナック」(カード付)Ⓒ石森プロ・東映

で、やはり、こんな動きが ↓

映画『シン・仮面ライダー』とのコラボ第3弾はシン・開発の「じゃがりこ」!ビーフとチキンの肉汁感溢れる力強い味わい『シン・ジャガリコ ライダーダブル肉キック味』

プレスリリースによると…
カルビーは、50年以上前に「仮面ライダースナック」を発売し、それを原点に様々なポテト系スナックを展開してきた企業として、同映画の姿勢に共感。企業、社員間のご縁もあり、コラボレーションが決まりました。
…とのこと。

『シン・ジャガリコ ライダーダブル肉キック味』それから…。

「シン・仮面ライダー」とARTIMATIONのコラボレーションアイテムがリリース!

…というのもあって、「シン・仮面ライダー」についてのプレスリリースは枚挙に暇がないといっても過言ではなさそうなので、これくらいに。

『シン・仮⾯ライダー × ARTIMATION』のコラボアイテム

変身ブームのなかで生まれたキャラクターも枚挙に暇がないほどですが、こんな動きも↓

『ライオン丸』『タイガーセブン』『ザボーガー』昭和特撮フィルムのデジタル化プロジェクト第一弾!5月9日(火)よりスタート!

プレスリリースをざっくりまとめると…。

月刊漫画雑誌「冒険王」(1949~83刊行)を発行していた秋田書店が保管する特撮作品のポジフィルムをスキャン・デジタル化し後世に残すプロジェクトを応援するクラウドファンディングで実施するプロジェクトがスタート。
このプロジェクトの第1弾にラインナップされたのが「ピー・プロダクション」によって制作された「快傑ライオン丸」(1972〜73年放映)、「風雲ライオン丸」(1973年放映)、「鉄人タイガーセブン」(1973〜74年放映)、「電人ザボーガー」(1974〜75年放映)の4作品だそうです。

『快傑ライオン丸』で

「快傑ライオン丸」

ちなみに僕は全作品を観ています。

「昭和レトロブーム」とか、いわれてますし、もうすでに「平成レトロ」なんていう言葉も聞きますが、そんな風潮のひとつなんでしょうね。

こんなプレスリリースもありますからね↓

昭和の花柄やストライプ柄が新たなアイテムで特別復刻 タイガー魔法瓶100周年記念モデル レトロ柄復刻シリーズが登場

個人的には「懐かしい」というか、最近まで実家にあったような気が…。

タイガー魔法瓶の100周年記念モデル・レトロ柄復刻シリーズ

ちなみに…。
こんな本も出版されています ↓

アナログレコードの人気が再燃中! 専門店『ディスクユニオン』店長兼バイヤーが指南! WEBサイトの人気連載が書籍『アナログレコードにまつわるエトセトラ』として4月24日発売

本書はそのレコード市場において高値で取引されるオリジナル盤やレア盤を多数紹介しながら、「各国盤の違い」「難解な専門用語」「相場変動の歴史」「盤質の見方と補修方法」「生産番号の見分け方」などをマニアックな視点で解説した指南書的一冊です。

…とのこと。

このところAI(人工知能)を使ったチャットアプリ「Chat (チャット)GPT」が話題になっていますし、デジタル技術がますます生活のなかで存在感が大きくなってくるのは確実なようですけど、その一方で、その流れに反比例するように、アナログでレトロなものへの関心も高まっているような…。
シニア世代の回顧趣味もあるでしょうが、若い世代には新鮮であるのかもしれませんし、どこかで技術への進化への警戒感があってバランス感覚のようなものが働いているような気もします。

1970年の大阪万博のテーマは「人類の進歩と調和」でしたけど、そこで見えてきた未来に期待と不安が入り交じるなかで、当時の日本の人々に強くなって変化に適応したいと思いが強くなって「変身ブーム」につながっていったような気もします。知らんけど…。(岡崎秀俊)