一日中マスクをしていてメガネが曇りがちなことも影響しているのでしょうかねぇ。
どうも今年は季節感がボヤーッとしてピントが定まらない気分がズーッと続いていませんか?
僕は続いています。
そのせいなのか、輪郭がはっきりしているものを見聞きすると妙に感激するんです。
たとえば…。
「大阪ラプソディー」(作詞・山上路夫/作曲・猪俣公章)という歌です。
1976(昭和51)年に漫才コンビ「海原千里・万里」がリリースし約40万枚を売ったといわれるヒット曲です。
メロディーはレトロな哀愁がありながらもリズミカルでメリハリがあって覚えやすいし、朝日新聞の「天声人語」なんかと違って国語の読解試験に絶対に採用されないくらいに意味は明確。設定は「宵闇の大阪」なんですが、夜の初めのぼんやりとした暗さは感じられず、もう明確、鮮明そのものです。
歌詞のなかに登場するのは「御堂筋」のほか「道頓堀」「戎橋」「法善寺」がすべてで、数分で全部歩いてまわれそうな大阪・ミナミのほんの一部。「ザ・大阪」のイメージが凝縮されていて「グリコ」や「かに道楽」「改源」の“看板”とか「水掛(みずかけ)不動さん」「くいだおれ太郎」…が頭に浮かんできます。でも、この曲とセットだと観光向けの典型的なコテコテ感がなくなるのがいいですね。恋人同士がデートする日常の大阪の風景だという気がします。
最近、大阪の風景に、この曲を重ねたネット動画か、テレビ番組か何かを、たまたま見たんですけど、胸が熱くなって涙がこぼれるくらい感動してしまいました。
もちろんこの曲は知っていましたが、これまでは、どちらかという自分の趣味とは合わないと思っていたのに不思議です。
先行きが不透明な情勢のなかで、かつて当たり前にあった、くっきりとした風景が遠のいているせいかもしれません。
そんなことを考えているなかで、僕が興味を覚えたのは、このプレスリリースです…と、やっと本題。
プレスリリースを通して世相を探っているような気がする「プレスリリース探訪(略称:P探)」ですというわけで、
今回の最初に紹介するのは…。
上沼恵美子 シングル「時のしおり」がSTAY HOME効果で累計約4万枚のセールス突破!
…です。
タレントの上沼恵美子さんは「大阪ラプソディー」を歌った「海原千里・万里」の「千里」さんであることは、みなさんご承知だと思います。
その上沼さんが2019年11月に発売したシングル「時のしおり」が、ロングセラーを続けて出荷3.5万枚を超えるヒットとなっているという話題です。
プレスリリースを要約すると…。
「時のしおり」は、昭和、平成を回想し、令和となった今「心を繋(つな)いで 生きましょう」と熱く歌い上げる演歌。
4月上旬の緊急事態宣言で、エンタメ界全体も暗いムードに。そこで、上沼さんは自身のレギュラー番組で視聴者を元気づけようと「時のしおり」を披露するようになった。
すると、STAY HOME期間中でテレビを観ている人も多かったのか、ネット通販が伸びて、5月末に緊急事態宣言が全国的に解除されると、CDショップも営業を再開し、セールスは一気に上昇。6月15日付では「海原千里・万里」時代の「大阪ラプソディー」の最高位(24位)を上回り、自身初のオリコンTOP20入りした。
…とのことです。
この歌も、歌詞・曲ともに明解です。
(1962年、東京五輪の)「聖火台」や(1970年、大阪万博の)「太陽の塔」といった曲の言葉に触発されて、令和までの出来事がドキュメントフィルムや自分自身の写真アルバムを見ているようによみがえって、けっこう胸にじんじんきます。
そして、次は「ドライブインシアター実現プロジェクト『Drive in Theater 2020』」からのプレスリリース。
大阪 万博記念公園・千葉ニュータウンでの開催情報のお知らせ
…です。
万博記念公園といえば、大阪の「千里」にあって「時のしおり」の歌詞に出てくる「太陽の塔」があるんですけど、それはたまたま。
プレスリリースによると…
かつて関西のドライブインシアターの名所でもあった大阪 万博記念公園にてドライブインシアターを開催します。
…とのこと。
新型コロナウイルスの影響で、さまざまなイベントが中止になるなかで、クルマに乗ったまま映画を楽しんでもらおうという企画で、全国的に展開されているようです。
プレスリリースにも書かれているように万博公園は「かつて関西のドライブインシアターの名所」で、1995年から2001年まで「スターダスト千里」というドライブインシアターがありました。跡地は「源気温泉 万博おゆば」というスーパー銭湯になっています。
次は、万博公園のある吹田市の会社。企業向けPVやCM、コンサル、ミュージックビデオの制作などを手掛ける映像制作会社y4create(ワイフォークリエイト)のプレスリリースです。
大阪・関西のインディーズ音楽情報を配信するを、8月下旬リリース オリジナル情報番組やライブコンテンツの一部を7月1日よりYouTubeで先行配信中!
これもまた、コロナ情勢を踏まえた試み。コロナ禍のなかでエンターテインメントの新しいカタチを探る動きが広がっています。
今回は長くなったので、これくらいに。
(岡崎秀俊)