深川製磁のワークショップでひょうたん絵付け

by 丸黄うりほ

①丸黄うりほが初めて買った深川製磁の小皿

②5色の顔料が用意されていました

③小皿は練習で、大きい方が本番です

④長ひょうたん、大ひょうたん、千成、UFO、鶴首、イプのつもり

⑤ワークショップの後にいただいたお菓子 

お友達のデザイナー・Iさんから「深川製磁の染付けワークショップがある!」と教えてもらったのが9月の下旬。じつは、私は有田焼のブランド、深川製磁の大ファンなのです。

初めて買った深川製磁のお皿は、忘れもしない。阪急うめだ本店での催事だったと思います。かわいいひょうたん柄の小皿に一目惚れ(写真①)。そこから、少しずつ集めて、佐賀県の有田にある深川製磁本店に、今は亡き母と一緒に出かけたりもしました。私のひょうたん好きの原点って、もしかしたら深川製磁のこの絵だったかもしれません。

宮内庁御用達の高級ブランドなので、一般人が参加できるワークショップがあるというだけでも驚きでした。とはいえ、絵を描くのは自分ですから、うまく描けるはずがないわぁと思い、ちょっと尻込みしていたのですが、Iさんがさくっと申し込んでくださり、参加することになりました。

会場は、大阪・中津のセレクトショップ「hitofushi」。少し前までは京町堀にあったそうで、和の小物や道具類がセンスよく並べられた素敵な空間でした。

私が参加したのは午後の部で、参加者はIさんと私を含めて5人。深川製磁のお店からきたスタッフさんが、ブランドの歴史と、その磁器の特徴について説明してくださいました。

そう、深川製磁の特徴は、その透き通るような白磁と、深川ブルーとも呼ばれる、鮮やかな藍色の染付けにあるのです。これほど美しく仕上がるのは、1350℃という焼成温度。焼き物が溶けてしまうギリギリのところまで上げた高温によって、その美が生まれるのだそうです。

そんなわけで、私は今回の染付け絵の具もブルー一色なのかなと思っていました。ところが、机の上に並べられた絵の具は5色(写真②)。この状態で見るとすべて灰色がかった色ですが、焼き上げると鮮やかな色に変化するのだそうです。

お店の方から「ワークショップに参加する前に、絵柄を考えておいてくださいね」という伝言があったので、Iさんは半紙を使って何パターンも絵柄を考えてきていました。職業柄さすがに絵が上手だし、センスも抜群です。しかし、私は「ひょうたんを描きたい」ということだけ決めていて、メモ用紙にぐちゃぐちゃと落書きした程度……。しかも、目の前の絵の具を見ていると、欲張り心がむくむく湧き上がってきて、「全色使いたい!」としか考えられなくなりました。

六瓢を描けば全色使えるな。ということで、長ひょうたん、大ひょうたん、千成、UFO、鶴首、イプ……のつもりで描いてみたのが写真③の小皿です。小皿はデザインを決める練習用に使わせてくださったのですが、「いい感じですよー」と、深川製磁の方におだてていただいて、「もうこれでいいやー」となり、そのままのノリで「えいっ」と仕上げたのが写真④でした。

うーん、とても下手ですね。練習用の小皿に描いた絵の方がまだマシだったような気もします。まあ、しかし。本物のひょうたんにだって歪なのがたくさん成りますから、リアリズムってことで……。

この私の描いた下手ひょうたん皿が、これから有田まで旅をして、深川製磁の1350℃の窯で焼成されるとは、なんだか夢のようです。

ワークショップの後には、ゴマ入りのおこしとお茶をいただき、他の参加者さんと雑談をしました。「ひょうたんが好きで」という話をすると、深川製磁の方が、私の本名をご存知だったのでびっくり!「ひょうたん好きのこんな客がいる」というデータを把握されているのですね。赤面。しかし、さすが接客のプロです。

さて。丸黄が描いた六瓢絵皿は、だいたい1カ月後に焼きあがり、「hitofushi」さんに届けられるとのことでした。どんな仕上がりになってくるのでしょうか……。どきどき。

(857日目∞ 10月25日)