ひょうたんを頭にのせて踊る布袋さん

by 丸黄うりほ 

①大阪くらしの今昔館で開催中の企画展「商都大坂の豪商・加島屋」

②大正時代の天神祭のジオラマ。常設展は撮影OKでしたよ

③こちらは昭和初期の心斎橋筋

④明治45年の新世界。通天閣とルナ・パーク

⑤大正時代の大阪中心部

⑥松花堂昭乗「踊布袋図」を丸黄が模写してみました(お粗末)

天神橋筋六丁目にある、大阪市立住まいのミュージアム・大阪くらしの今昔館で開催中の「商都大坂の豪商・加島屋」という展覧会を見に行ってきました。「花形文化通信」の塚村編集長から、「ひょうたんがあったよー!」というリークがあったのです。というわけで、先週末、あわてて駆け込んできました。

大阪くらしの今昔館は、大阪のまち・住まいの歴史と文化をテーマにしたミュージアム。9階に江戸時代、8階に明治・大正・昭和のくらしのようすを展示しています。ただし、現在は10階展望フロアと9階が改修工事中で、見られるのは8階だけ。常設展では大阪の町並みや賑わいが、精巧な模型やジオラマで紹介されています。このゾーンは写真撮影もOKです。

写真②は大正10年の天神祭。大川沿いの建物の高さやデザインに統一感があって、今の大阪よりすっきりして美しいですね。写真③は昭和2年の心斎橋筋商店街。アーケードはないけど、モダンでかっこいい。写真④は明治45年の新世界。通天閣とルナ・パークという遊園地です。そして、写真⑤は大正時代の大阪中心部。中之島図書館と市役所の間に、ひょうたんに所縁の深い豊國神社がある。今は大阪城の近くですが、もとはここにあったんですね。

目当ての企画展「商都大坂の豪商・加島屋」は、常設展とはゾーン分けされていて、こちらは残念ながら撮影禁止でした。

加島屋・廣岡家は、堂島米市場の中心的存在だった豪商で、大同生命保険株式会社のルーツだそうです。展覧会では、当時の金融市場や米市場のようすが分かる目録などの資料や絵図のほか、加島屋の家宝である贅沢な工芸品や芸術品が多数展示されていました。

ひょうたんは……その宝物のなかに見つかりました!

それは、松花堂昭乗の墨絵「踊布袋図」です。布袋さんが、なぜかひょうたんを頭の上にのせて、団扇を片手に踊っている図です。記憶を頼りに再現してみました(図⑥)。ポーズはだいたいこんな感じ……いや、しかし実物はこんなんと違うんです、布袋さんの表情がめちゃくちゃ愛らしいんですわ……。

松花堂昭乗というのは江戸時代の僧侶ですが、書道、茶道、絵画に堪能な、当時の超一流の文化人でした。いまの「松花堂弁当」という名称も、日本料理店・吉兆の創始者がこの人に敬意を払って名付けたともいわれています。

絵の解説には次のようなこと(大意)が書いてありました。「杖を置き、ひょうたんを頭にのせた布袋。おなじみの大きな袋はどこにおいてきたのであろうか。ひょうたんで鯰をとらえる禅の公案を思い出させる」

なるほど、ひょうたんを頭にのせて踊るというのは何か禅的な含みがあるのでしょうか? 調べてみると松花堂昭乗はこの図以外にも布袋さんが楽器を演奏している図なども描いていて、なんとなく宴会で盛り上がっている布袋さん似の人を描いてみました……という感じもしなくはない。私の妄想の通りだとしたら、この布袋さんは完全な酔っ払いですが……。

企画展「商都大坂の豪商・加島屋」は、9月26日まで開催。もちろんですが、この作品以外にも名品満載。実物を見たい! という方はお急ぎくださいね!

(834日目∞ 9月20日)

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