瓢遊さんのひょうたん茶道具コレクション

by 丸黄うりほ

①大阪歴史博物館にやってきました

②特別企画展「和菓子、いとおかし」

③ひょうたん型のお菓子の絵も

④こちらはミュージアムグッズのシール

⑤エスカレーターの踊り場にあった天神祭の図

⑥「浪花天満祭」五雲亭貞秀画、ひょうたん型に署名が

大阪歴史博物館で開催中の特別企画展「和菓子、いとおかし」を見に行ってきました。和菓子店「鶴屋八幡」の協力を得て、大阪の茶の湯と和菓子文化について紹介する展覧会なのですが、その展示品のなかに、三代目帯屋源兵衛こと宮里瓢遊さんの茶道具がたくさん出ていると聞いたのです。

瓢遊さんについては、この「ひょうたん日記」でも何度か書いたことがあるのですが、簡単におさらいしておきましょうね。

瓢遊さんは、幕末から明治にかけての動乱期に、蟹島新地(現在の北浜一丁目あたり)で料理旅館「瓢箪屋」を営んでいた人物。とにかく無類のひょうたん好きだったと伝えられています。宿で使用していた器具や調度類はもちろんのこと、ありとあらゆるひょうたんグッズを蒐集していたのだとか。茶の湯を好んだ人でもあり、ひょうたんモチーフの茶道具も数多く所有していたそうです。

特別企画展「和菓子、いとおかし」のエントランスを入ると、最初に豊臣秀吉と千利休の肖像画が掲げられていました。第1章は「大阪和菓子のはじまり」と題されています。大阪に茶の湯文化を根付かせるきっかけとなったこの二人が、最初に登場するのは当然だと思います。

その重要人物二人に続いて登場するのが、なんと瓢遊さんでした。ちょっとこの並びには私もびっくり!

瓢遊さんの茶道具には、明らかにひょうたんモチーフのものと、なんとなくひょうたん的なものがありました。もちろん瓢遊さんの好みと美意識を色濃く反映したものばかり。ぜひとも写真で紹介したいところですが、展覧会は残念ながら撮影禁止でしたので、どんなものが並んでいたのかを記憶を頼りに表現したいと思います。

まず、はっきりとひょうたんモチーフだったのが「瓢箪蒔絵雪吹形茶器」です。ひょうたんの葉を蒔絵、実を螺鈿で表現した繊細でぜいたくなもの。

「曲瓢蒔絵茶箱」は初代川端近左の作で、箱の裏に「浪花瓢遊応需 漆工川端描之(印)」とあり、瓢遊さんの注文に応じて作られたようで、前述の茶器と似通った雰囲気に仕上げられています。茶箱の中に収められていた黒釉の茶碗は、なんとなくひょうたん的なフォルム。陶器の蓋置きにもひょうたんモチーフがあしらわれていました。

幕末の大阪を拠点に活躍した指物師である竹林三右衛門による「桐棚」は、側面にひょうたんのシルエットと、葉の形がモチーフに使われています。

「竹蓋置 時鳥 千鳥」は、一応鳥の形であるということになっていますが、どう見てもひょうたん型にみえる竹の断面をいかした蓋置でした。

第2章以降の展示では、当時の和菓子のデザイン帳や、和菓子の広告、虎屋伊織や鶴屋八幡など和菓子店の賑わいを描いた版画や絵画などが賑やかに展示されていて、とても楽しい内容でした。写真②のスポットだけが撮影OKでしたので、しっかりカメラに収めてきました。よく見るとひょうたん型のお菓子もありますね!(写真③)

展示会場を出て、エスカレーターで降りていくと、踊り場に天神祭の賑わいを描いた複製画が飾られていました(写真④)。近寄ってみると、「浪花天満祭 五雲亭貞秀画」とあり、なんと、ひょうたん型に囲まれた署名が!

もしかしたら、この五雲亭貞秀さんもひょうたん好きの人物だったのでしょうか? これは調べてみなければ……!

(813日目∞ 8月19日)

特別企画展「和菓子、いとおかし」は9月4日まで(詳しくは公式サイトへ

※次回814日目は奥田亮「でれろん暮らし」、8月22日(月)にアップ。

815日目は丸黄うりほ「ひょうたん日記」、8月23日(火)にアップします。