ひょうたんには過酷大阪のマンション

by 丸黄うりほ

①午後3時。千成ひょうたんの「ネルウァ」が暑そうにしています

②安城市の杉浦こずえさんの庭。千成「ラッキー」と「クッキー」は元気です!

③今夜咲きそうな雄花たち

 

④そして、こちらはひょうたんになった雌花!

きょうも暑いです。大阪市北区にある我が家のマンションのベランダの熱気は、まるでオーブンの中にいるみたい。天気予報で最高気温35℃の日だと、午後3時ごろの我が家の西向きベランダはおそらく45℃か50℃くらいになっているんじゃないかと思います。

ひょうたんはアフリカ原産で、もともと暑いところが好きな植物なのですが、それにしてもここまでの暑さは想定外なんじゃないでしょうか。地球温暖化が言われて久しいですが、私がひょうたん栽培を始めた15年ほど前と比べると確実にヒートアップしていると思います。つまり、大阪のマンションは年々ひょうたんにとって過酷な環境になっている。

写真①は、午後3時ごろの千成ひょうたん「ネルウァ」の様子です。みているのがかわいそうになるほど暑そうにしています。でも、この状態で絶対に、絶対に水をやってはいけません。せいぜいベランダへの打ち水で我慢します。日が落ちてきた午後5時半か6時ごろになってやっと水やりOK。できるだけ冷たい水を、プランターの下から漏れ出すほど与えて熱をさましてやります。

毎年、海の日から8月10日くらいまでの一年で最も暑い時期は、私は水やりを朝夕2回にしています。4リットルじょうろで、朝は3回ほど水を与えるとプランターの下から水がにじみ出てくるのですが、夕方は5回やってもにじみ出てこない……。昨日は6回目でやっと出てきましたが、合計24リットルですよ?いかに土がカラカラになっているかがわかります。そりゃ、葉もしおれるわけです。

夕方になって水を与えると、「ネルウァ」の葉はすーっともとに戻っていきます。戻っていくとほっとします。それを見届けるまで私はまったく心が休まりません。というのは、しおれてしまった葉が戻らなくなる場合があるからなのです。

ひとつは、ひょうたんがかかる最も恐ろしい病気「つる割れ病」にかかった場合。もうひとつが、根腐れです。「つる割れ病」の原因と恐ろしさについては、この「ひょうたん日記」でさんざん書いてきましたので、きょうは根腐れについて書いておこうと思います。

根腐れは、土のなかの水の温度が上がってしまい、根をゆでたような状態になってしまうこと。土がカラカラに乾いてしまうとかわいそうなんですが、そのほうが実は根腐れしにくいのです。最も暑い時間帯にかわいそうだと思って水を与えると、水が湯になり、結果として根腐れの原因になります。

じつは……、ここで悲しいお知らせがあるのですが、杉浦こずえさんの千成「ロッキー」が枯れてしまいました。近日中に旅行のご予定があり、その予行演習を兼ねてプランターの水分が蒸発しにくいようにと、土の表面に水コケとすだれをかけてみたそうなのですが、どうやらそれが原因で根腐れしてしまったようなのです。

おそらく、土に水分がたまり、根をゆでたようになってしまったのではないかと思われます。杉浦さんも私と同じ、大阪市内のマンション住みなので、結論としては「大阪のマンションベランダはひょうたんにとって過酷な環境である」ということになるかと思います。せっかく苗を引き取り、可愛がってくださっていたのに、杉浦さんに申し訳ない気持ちでいっぱいです……。

ところが一昨日のこと。その杉浦さんから、目の前がぱぁっと明るくなるような、とてもうれしいお知らせが届きました!

写真②をご覧ください。青々とした元気な葉っぱは、杉浦さんが愛知県安城市のご実家の庭に植えてくださった千成ひょうたんの「ラッキー」と「クッキー」です。アカメガシの植え込みが、ひょうたんの棚代わりになってくれています。この2つの苗は地植えでしたので、プランター植えのように水枯れすることもなく、水が溜まりすぎることもなく、いきいきとしています。

さらに、写真③は今にも咲きそうな雄花です。そしてなんと写真④は、ひょうたんになりかけている雌花ではありませんか!

どうやら杉浦さんも知らない間に虫たちがやってきて、かわりに授粉作業を行なってくれたようです。

よかった、本当によかった。「ラッキー」と「クッキー」はたくましく育っていますね!なりかけの雌花が、無事にひょうたんになることを祈っています!

(797日目∞ 7月27日)