終盤の追い上げがすばらしい!ユカリさん
by 奥田亮
小布施町は例年にぎわう栗のシーズンも終わり、そろそろ静かになる時期に入るのですが、今年は緊急事態宣言解除後ということもあってか、10月最終週になっても、中心街はまだたくさんの人が行き交っています。スワロー亭のあるこのあたりも、普段に比べるとそれなりに人の行き来があります。まあ、スワロー亭自体はいつも静かですが。にぎわいから逃れてしばしの安息を楽しまれる方もおられるようです。いつも静かなスワロー亭……。 丸黄うりほさんのひょうたん日記でも、各地で収穫、水漬けをされている様子が次々と紹介されていますね。信州組もそれなりにがんばっておりまして、先日、IPUのタネを分けてくださったユカリさんが、その後の様子を伝えてくださいました(前回は8月30日, 67号でご紹介)。
「2つが無事中身出し〜乾燥をへて完成。現在水づけ中のものは、さすがに寒くなって腐敗に時間がかかっている様子で、残念ながら皮の薄いのは崩れたりヒビが入ったり。未だ青々とした葉っぱの下でこれから収穫できるのが8つぐらい」とユカリさん。
さすがにIPUのタネの大元だけあって(?)、終盤の追い上げがすばらしい! 合計いくつあるのかよくわかりませんが、たくさんあることは確かなようです。とにかく写真をご覧ください。見てるだけでなんだか幸せな気持ちになりますね! 残念ながら70号でご紹介したUFOは、結局腐って崩れてしまったようなので、制作予定のIPUHEKEは、他の方法で作ることになりそうです。それでも、自家栽培のIPUHEKEを使うフラダンサーは、きっと日本にはいないんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうね。
もう一つ、勝手に飛び火してひょうたんを栽培されていた篠ノ井のお店「太陽」(67号でご紹介)。先日久しぶりに訪ねると、乾燥もすっかり終えた、お肌がとってもきれいな千成ひょうたんを2つくださいました。うれしいですね。底に穴をあけ、蔓を残しているあたり、なんだか素敵なセンスを感じます。底の穴がかなり大きく開けられていたので、そこから発想して、ちょっと新手の笛ができそうです。
さて、うちのひょうたんたち、千成はだいぶ乾燥が進んでいてあと一歩というところ。百成はようやく水づけしました。おしゃれ古民家カフェの裏のUFO(74号でご紹介)も、先日収穫しに行ってきましたが、やはり未熟で、たたくとスイカのような鈍くて重たい音がします。水分がたっぷりなんですね。これは水づけすると崩れてしまう可能性が高いので、このまま風にさらして乾燥させようと思います。カビだらけになっても崩れてしまうよりはいいかなという選択です。でも、あまりに未熟だとそれでも崩れてしまうかもしれません。
最後にできた奇跡のアメリカ瓢も、葉っぱは完全に枯れてしまったのでとりあえず収穫。大きさは鶴首ひょうたん程度にしかならず、首のところを触るとぶよぶよします。これも水づけすると崩れてしまうことは目に見えていますので、このまま放置することにします。この状態ではタネも十分育っていないだろうと思われます。植物を育てるのは、収穫だけにとどまらず、タネを採って次代につなげていくということも大切なのですよね。残念ですがアメリカ瓢のタネを来年皆さんに配るのは難しいだろうな……、でれろん。
(629日目∞ 11月1日)
- 奥田亮 ∞ 1958年大阪生まれ。中学生の頃ビートルズ経由でインド音楽に触れ、民族音楽、即興演奏に開眼。その後会社に勤めながら、いくつのかバンドやユニットに参加して音楽活動を続ける。1993年頃ひょうたんを栽培し楽器を作って演奏を始め、1997年「ひょうたんオーケストラプロジェクト」結成、断続的に活動。2009年金沢21世紀美術館「愛についての100の物語」展に「栽培から始める音楽」出展。2012年長野県小布施町に移住し、デザイン業の傍ら古本屋スワロー亭を営む。2019年還暦記念にCD『とちうで、ちょっと』を自主制作上梓。