珍味!ひょうたんの奈良漬

by 丸黄うりほ 

▲ひょうたんの奈良漬をタテ二つに切って、富士山柄のお皿に並べてみました。

▲森奈良漬店。鹿もお客様です。

▲定番・瓜の奈良漬。パッケージの絵がひょうたんぽい。

 

「ひょうたんは食べられますか?」とよく聞かれるのですが、そのたびに私は同じことを言います。「いいえ、ひょうたんは食べられません。食べられないだけではなく、毒があります。ただし……。品種改良した食用ひょうたんというのがありますが」

そうなのです。基本的にはひょうたんは有毒。食べたら苦い。この苦味の成分がククルビタシンという毒なのです。

食用ひょうたんは、ククルビタシンを品種改良によって取り除いたもので、成りたての若くてやわらかいうちに摘んで、漬物にして食べるのが一般的です。私は柴漬けや醤油漬けを食べたこともあるのですが、きょう紹介するのは、その中でもいちばんのおすすめ。絶品の奈良漬です。

ひょうたんの奈良漬が買えるのは、奈良市の「森奈良漬店」という老舗です。東大寺南大門の近く、大仏殿に行くまでの参道にあります。奈良にあって、ザ・奈良、ザ・観光地と言いたいような立地にあり、店の中にまで鹿が入り込んでくるという濃い奈良度を誇るお店なのですが、意外にも、この店は他の商店街や百貨店などにまったく出店していません。ここの奈良漬は、この店に来るか通販でしか買えないのです。

しかも、ひょうたんの奈良漬は店頭には並んでいません。「ひょうたんの奈良漬はありますか?」と聞いた人にだけ売ってくれます。行ってみても「今はありません」と言われることも。実際、昨秋行ったときは「次にいつあるかもわかりません」と言われ、肩を落として帰ったものです。

ひょうたんの奈良漬は100グラム960円。4〜5センチくらいの小さな実が15個くらい入っています。決して安くはないけれど、食用ひょうたんの希少さを思えば当然です。そして、何といってもここを強調しておきたいのですが、本当においしい。

じつは、ここの奈良漬は秘密にしておきたいくらいの逸品なんです。さわやかな辛口で、香りがとてもよく、奈良漬がそんなに好きではない人もここの奈良漬を食べると意識が変わると思います。奈良出身の私が自信をもっておすすめできる数少ない奈良グルメ。いきなりひょうたんはハードルが高いので、まず瓜から買い求めてみるのもいいと思います。

森奈良漬店はこちら。

 

※次回189日目は1月14日()にアップします。