このしっくりしない感じがいいですね!こんな楽器見たことない

by 奥田亮

先週はお休みでしたので、前回から2週間がたちました。その間に積もっていた雪もすっかり溶けてしまい、春一番のような嵐の夜もあって、なんだかもう春心地です。

1月半ばにイベントで崩壊したひょうたん楽器《へびお》の修復(改造)は、その後私にしては割と進んでおりまして、今回で完了のご報告ができるかもと思っておりましたが、ちょっとした壁にぶつかって止まってしまったりしてもう少し時間がかかりそうです。

前回は、せっかく白蛇になったヘビオの蛇を取り外して、もうヘビオである必要もなくたった、というところまでご報告しましたが、その後、まずは改造の方向として図のような3案を考えました。ウケ狙いなら断然一番上。ヘビがトカゲかイモリになって、サブ共鳴体のひょうたんを抱いているフォルムです。2番目はネックに天然の枝をそのまま使ったナチュラル志向。3番目は一層のことシンプルに楽器らしくしてしまう案。どの方向にすべきか、なかなか腹が決まりません。とりあえずハッキリ決めないまま、まずはネックの強化に取り掛かりました。

ヘビオ改造の図3案

ネックを補強する(細かいところは見ないように)

現状のネックはそれほど太くない何かの廃材を使っていていかにも弱そう。よくこんなのでもってたな。ということで、角材を継ぎ足して太くしました。ヘタクソな造作でお恥ずかしや。まあ、こんなに不器用でいい加減に作っても楽器はできるもんだと思っていただけるとうれしうございます。

サブ共鳴胴には、ヒビの入ったIPUを使うことにしました。サブだし、弦の張力が直接かかるわけではないので、ヒビが入っていても大丈夫だと判断したのです。で、実際に取り付けるべくヒビ割れのところをシゲシゲ見ておりましたら、「これはこのヒビを生かした方が面白いかも」と思ってしまい、そうなると共鳴孔を上向きにしてネックを包み込むような形にしたらどうだろうと、またまたいらんことを考えてしまいました。でも、ヒビを生かしたバリバリの孔は、洞窟っぽくて面白いではありませんか。うーん、今回はこの路線で行ってみようかな。

ヒビの入ったIPU

ヒビを生かして穴をあける

そうなると、ネックの指板は天然の枝です。何年か前に立ち枯れて切ってしまったモミジの木を使うことを思いつきましたが、木そのままだとあまりにも重たくてバランスが取れません。かといって、板状に切り出すのは至難の技です。思案しながら物置を物色していたら、以前改造した桐箪笥の廃材が出てきました。桐材は軽くて柔らかく加工もしやすいのですが、柔らかい素材は指板には向きません。本来なら使わないところですが、この旧ヘビオは、スライドギター方式なので指板といっても指や弦が触れることはありません。ということで、今回は桐材を使うことにしました。

指板は桐箪笥の廃材

紆余曲折の末、改造の全体像が見えてきました。底面が丸くて安定せず弾きにくいという問題はまだ解決しませんが、だいたい写真のような感じになる予定です。もはやヘビオではないよね。なんだかわけのわからない形。このしっくりしない感じがいいですね! こんな楽器見たことないですよね! ああ、私は見たことないようなものを作ると気持ちが上がるというどうしようもない性癖なのです。さあ、全体が決まれば次は弦を張る仕組みとブリッシ(ジャワリ)作りへと進めます。

弦を張る仕組みの制作に進んだところで早くも問題が発覚しました。うぬぬ、これはどうすればいいんだろうか…。というところで続きはまた来週。でれろん??

(1144日目∞ 2月19日)

全体像はこんな感じ。