2月5日|でれろん暮らし|その180「 結果的に白ヘビさんに」 by 奥田亮

いっそのことヘビでなくなってもいいんじゃないの

by 奥田亮

肝心の崩壊したネックの修理はまだ方向が見えません

先週から、ひょうたん楽器《ヘビオ》の修復・改造について報告しています。《ヘビオ》はライブ中崩壊し、修復せざるを得なくなったのですが、壊れついでにいくつかの懸案事項を解決すべく改造することにしました。

修復、改造すべき問題は、 ① 崩壊したネック部分を修復するか、あるいは何か別の形にする ② 楽器が軽すぎる上に底面が丸くて安定しないので弾きにくいという点を改善する 大きくはこの2点です。さらには、 ③ あまりにも適当に仕立てた弦留めをもう少しいい感じにしたい ④ ジャワリ風に仕立てたブリッジを改良して音の伸びをきれいに長くしたい(ジャワリについてはまた次回) という2点についても、何らかの解決策を講じたいと思うのでした。

ということで、この数日は楽器を前に置いて眺めながら、あーでもないこーでもないと思案に暮れております。未だに具体的な妙案が浮かばないのに、まずは手始めにと、ヘビ部分の塗装を削り取りました。これは、③の弦留めの改善のために現状のジョイント金具を外したついでに思いついたことで、問題の解決には直接つながらないのですが、景気付け(?)にはなりました。

結果的に白ヘビさんになったのを見ていると、派手に彩色して毒ヘビにしてもいいかもと思ったり、いやいっそのことヘビでなくなってもいいんじゃないの、とも思い始めました。だからどうなん?ってことなんですが。

白ヘビさんになった《ヘビオ》のヘビ

さてその弦留め、現状はヘビの首元にジョイント金具を乱暴に取り付け、ネジ穴に弦を通して固定しています。本当はヘビの頭の、もう少し見た目の必然性が感じられる場所に取り付けたかったのですが、エレキギターの弦を採用したため、弦の長さが足りず、首元に付けざるを得なかったのです。どうしてエレキでもないのにエレキギターの弦にしたかというと、フォークギターの弦よりも細くてやわらかいような気がしたからでした。

とってもいい加減な弦留め

この《ヘビオ》、前世の《ダイブナガーイ》の時代から問題だったのは、その名の通り、長さがだいぶ長いので、通常のギターの弦では長さが足りないということでした。だいたい、市販の楽器の弦には、太さは書いてあるけれど、長さを明記しているものはありません。まあ、長さなんて必要ないですもんね。それで思い出したのがシタールの弦。ロールで販売しているんです。ということで、とりあえず通販で購入(シタールの弦を通販で買えるなんてびっくりです)。

通販で購入したシタールの弦

ついでに天板のニスも削ってみました

これで弦留めの位置に悩まなくてよくはなりそうです。とはいえ、どんな風にするかは、まだ決めていません。 そんな感じで、ヘビオの改造は、止まっているわけではありませんが、ホントに少しずつしか前に進みません。まあ、急ぐことでもないので、焦らずに、いい着地点を探しながら進めていきます。さて、来週はどんなことになっているでしょうね。少しでも前に進んでいるでしょうか? もう少しお付き合いください。でれろん。

(1139日目∞ 2月5日)

これまでの『でれろん暮らし』はこちら

  • 奥田亮 ∞ 1958年大阪生まれ。中学生の頃ビートルズ経由でインド音楽に触れ、民族音楽、即興演奏に開眼。その後会社に勤めながら、いくつのかバンドやユニットに参加して音楽活動を続ける。1993年頃ひょうたんを栽培し楽器を作って演奏を始め、1997年「ひょうたんオーケストラプロジェクト」結成、断続的に活動。2009年金沢21世紀美術館「愛についての100の物語」展に「栽培から始める音楽」出展。2012年長野県小布施町に移住し、デザイン業の傍ら古本屋スワロー亭を営む。2019年還暦記念にCD『とちうで、ちょっと』を自主制作上梓