バンジョーというよりもひょうたんのお話

by 奥田亮

ひょうたん、今年は6つ

表皮が残ったままのひょうたん

今年のひょうたんは、無事水浸け〜乾燥を終えました。形を保ったのはエセUFOといいながら実際は小さなIPU?4つと百成2つの合計6個。何にしようかな。そのうち2つは、水浸け中に表皮をこすり取らなかったので、そのまま残っていてあまり美しくありません。まあ、サボったんだから仕方ないですね。

さて、何週かひょうたんバンジョーのことを書いてきましたが、いよいよ今回は、バンジョーというよりもひょうたんのお話です。アメリカにはひょうたんバンジョーを作る人がたくさんいて、制作プロセスを紹介するYouTubeがいっぱいあったと先週書きました

ご紹介した番組をご覧になった方がおられたら、もしかしたらお気づきになったかもしれませんが、冒頭から「あれれ?」と思うことがあったのでした。動画はまず、ひょうたんを選ぶところから始まります。ひょうたんは納屋のようなところの棚の上の方に保管してあるのですが、ずいぶん真っ黒で埃をかぶっていて、保管というより放置されていると言った方がいいような状態です。どうして真っ黒なのかというと、カビが生えているんです。そして、どこにも穴が開いていない!? つまり、水浸け〜中身だし〜乾燥、というプロセスをしていないようなんですよ。できたままで放置して乾燥させているようなんです。ということは、あの「瓢臭」に悶絶することもないということです。う〜ん。

それで、どうするかというと、乾燥してカビカビのひょうたんを一晩水に浸け、金タワシでゴシゴシとカビと表皮をこすり取っていくんですね。そうすると、カビが黒く残っているところもありますが、けっこうきれいになるんですよ。

アメリカ式ひょうたんの乾燥方法

この方法は、「The Fast and Easy Way to Clean a Gourd」(YouTubeへ) とか、「How to clean the inside of your Gourd」(YouTubeへ)とか、ひょうたんをきれいにする方法を紹介しているサイトで詳しく教えていたりします。けっこう需要があるってことなんでしょうね。

YouTubeには、ひょうたんバンジョー以外にも、たぶんアメリカのひょうたんクラフト作家らしき人たちの活動もたくさん紹介されていて、上述のひょうたんの加工方法は、そんな作家たちがアップしているのでした。広大な畑でひょうたんを栽培し、収穫したひょうたんは、そのまま山積みにして乾燥させているようで、ホコリまみれカビだらけで、廃棄するのかと思うような放置ぶり。何やら文化が違います。

日本式ひょうたんの乾燥方法

東アジアのひょうたんは、神仙思想などと相まって、姿・形を愛でる文化が醸成され、人肌のような一点の傷も汚れもついていない美しい出来栄えを競います。栽培中から虫に食われないように気をつけ、瓢臭に耐えて極上の姿を完成させるのが、ひょうたんの王道とされるのです。でも、そこまで求めなければ、瓢臭という通過儀礼は必要ないのかもしれません。

さて、では実際、乾燥させてから水に浸けると表皮はきれいに取れるのでしょうか。今年の皮付きひょうたんで実験してみましょう。結果は来週ご報告。でれろん。

(1116日目∞ 12月11日)