ひょうたんがいっぱい!「創作館」/和歌山・上富田探訪(4)
by 丸黄うりほ
昨日の続きです。「創作館」の扉が開くのを、私たちヒョータニスト4人はどきどきしながら見つめていました。
まず玄関の正面に大きなひょうたんがずらりと並んでいるのが目に入りました。磨かれ、塗装仕上げされ、紐がかけられた堂々たるひょうたんたちは、すべてこの上富田町で収穫されたものだそうです(写真①②)。
その後ろには戸棚があり、中にもたくさんのひょうたんが収められていました。特にかわいくて私好みだったのは、千成ひょうたんのタヌキたち。豆絞りのてぬぐいがとってもいいな。前に並ぶ金色の招き猫もひょうたんで作られています。おそらくおばあちゃん、おじいちゃんたちが楽しみながらこれらの人形を作られたのでしょう(写真③)。
「きょうは誰もいないけど、いつもはここへみんな集まって作ってるんや」と、リアル「ひょうたんせんぱい」はおっしゃいます。
玄関横には台所があり、その次にも小部屋がありました。私たちは「せんぱい」に続いて廊下を進みました。
いちばん奥の部屋の入り口には、「口熊野かみとんだ」の名産品を描いたポスターが貼られていました。町の木ヤマモモ、町の花サクラ、コスモス園、大賀ハス、そして岡のひょうたんに、熊楠ゆかりのオカフジ。植物、花の種類がたくさん。そういえばここは南方熊楠の生誕地にも近かったことを私は思い出しました(写真④)。
奥の部屋は広く、集会場として使っておられるようで、折りたたみ机と椅子がたくさん。その奥のガラスケースにも立派な大型ひょうたんがたくさん入っています(写真⑤)。反対側にもショーケースがあり、そちらにはいろんな細工を施した工芸ひょうたんがぎっしり並んでいました(写真⑥)。
壁には、町のみなさんの寄せ書きが額縁に入れて飾られていました。そのなかにもひょうたんが……。近寄って読むと「豊かにまく人 豊かに収穫する」、ひょうたんの絵の中には「寿」「八十才」という文字と、書いた方のお名前が読めました(写真⑦⑧)
もう一つの額縁には、とても優しい形の朱色のひょうたん(写真⑨)。書かれている文言がまた優しく、ひょうたん愛が伝わってくるものでした。
「瓢には角がない 円満で和やかです
瓢には締りがある 節度があります
瓢は素朴で親しみがあり明るいです
瓢は肌ざわりよく可愛く美しいです
瓢の形に同じものは一つもない 愛嬌があり面白いです
瓢を見ているとほのぼのと楽しいです
瓢を愛した古人の心がわかります」
(1071日目∞ 10月4日)
*明日に続きます
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