公益財団法人東京都歴史文化財団
中国と日本の現代写真・映像作品を紹介する展覧会。異なる視点や背景をもつ作品が同じ空間に並び、複数の視点や文化、時間、そして個人の経験が交差することで生まれる関係性や響き合いを探ります。

公式サイト:https://topmuseum.jp/exhibition/5421/

ジャン・ポンイー《Dark Addiction 1H43’24”》2013年 インクジェット・プリント 作家蔵 (C)Jiang Pengyi, Courtesy of ShanghART Gallery

fumiko imano《our first dinner spaghetti/paris/2021》〈le fumistol〉より 2021年 フォトモンタージュ(発色現像方式印画) 作家蔵 (C)fumiko imano

このたび、東京都写真美術館では、中国と日本の現代写真・映像作品を紹介する展覧会「デュエット――アジアン・コンテンポラリー」を開催いたします。本展は、「愛について アジアン・コンテンポラリー」展(2018年)に続くシリーズ第2回目の展覧会であり、三影堂厦門撮影芸術中心のエグゼクティブ・ディレクターを務めるテン・チンユン(滕青云)氏との共同企画です。国際的に活躍する写真家ユニット、榮榮&映里(ロンロン&インリ)によって2007年に北京で設立された三影堂撮影芸術中心は、写真のための複合施設として重要な役割を果たしてきました。2015年には福建省の厦門(アモイ)に新たな拠点がオープンし、中国の写真文化を国内外に発信する中心的な場となっています。
本展では、中国と日本の6名のアーティストによる写真・映像作品を紹介します。中国作家4名はいずれも日本の公立美術館で初めての紹介となり、日本作家2名も東京都写真美術館では初展示となります。国内外で活躍するアーティスト6名の多彩な写真・映像表現を一堂に展示します。
「デュエット」とは、本来二人で奏でる音楽形式を意味します。異なる声や旋律が互いに応答しながら、一つの表現を形づくるそのあり方は、本展におけるアーティストたちの対話にも重なります。本展では、この「デュエット」という言葉を手がかりに、異なる視点や背景をもつ作品が同じ空間に並び、複数の視点や文化、時間、そして個人の経験が交差することで生まれる関係性や響き合いを探ります。
企画協力:榮榮&映里(ロンロン&インリ)

みどころ

1. 日中の写真をつなぐ国際共同企画、8年ぶりのシリーズ第2弾
2018年に開催した「愛について アジアン・コンテンポラリー」展から8年、シリーズ第2回目となる本展は、中国の写真文化を牽引してきた三影堂厦門撮影芸術中心のエグゼクティブ・ディレクター、テン・チンユン(滕青云)氏と東京都写真美術館(伊藤貴弘)による共同企画です。出品作家の選定から二人の企画者が互いの提案に応答を重ねて作り上げた、展覧会そのものが「デュエット」となっています。
2. 6つの声が響き合う、日中の写真・映像表現の「現在」
東日本大震災の前と後、二つの時間の福島を通観する村越としや。歴史を静かに語り直すワン・トゥオ。『詩経』*の山河を歩くスイ・タカ。同時代の若者と向き合うルオ・ヤン。蛍の光をフィルムに直接記録するジャン・ポンイー。セルフ・ポートレイトによるコラージュで「双子」を生むfumiko imano。土地と歴史、他者と自己、メディウムそのものへ―― 6つの声が同じ空間で応え合います。
*『詩経』(しきょう):紀元前11~6世紀頃に成立したとされる中国最古の詩集。全305篇を収めた中国文学の原点。
3. シグ・プライズ受賞のワン・トゥオ、「世界で最も美しい本」銀賞受賞直後のスイ・タカ――国際的評価の高い中国作家4名、日本の公立美術館に初登場
本展出品の中国作家4名は、いずれも日本の公立美術館では初めての作品公開となります。
ワン・トゥオは香港の現代美術館M+が主催するシグ・プライズを2023年に受賞し、現代中国で最も注目される映像作家のひとりです。本展では代表作〈The Northeast Tetralogy〉から《Smoke and Fire》《Tungus》の2作品を上映します。
スイ・タカの代表作〈Odes〉はメトロポリタン美術館に収蔵されており、同シリーズの新版写真集は、2026年「世界で最も美しい本」*銀賞を受賞したばかりです。
*「世界で最も美しい本」:ドイツのブックデザイン財団が主催するブックデザイン(造本装幀)の国際コンクール。
〈Girls〉で同世代の女性たちを見つめ、2018年にBBC「100 Women」にも選出されたルオ・ヤンは、その後、被写体を広げてきました。本展では〈Girls〉に加え、1990年代後半以降に生まれた若者に迫る〈Youth〉、欧州等に生きるアジア系移民を見つめた〈Diaspora Birds〉を紹介します。
ジャン・ポンイーは、蛍の生物発光の軌跡をフィルムに直接記録するカメラレスの手法で、写真というメディウムの物質性を問い直します。
4. グウ・ゼン氏を迎える国際シンポジウムほか、多彩な関連イベント
中国を代表する写真評論家、グウ・ゼン氏(復旦大学新聞学院教授)とテン・チンユン氏を迎える国際シンポジウムのほか、手話を交えたQ&Aショーなどのインクルーシブプログラム、担当学芸員によるギャラリー・トークを開催します。

出品作家

村越としや Murakoshi Toshiya
1980年、福島県須賀川市に生まれる。2003年に日本写真芸術専門学校を卒業。2009年、東京・清澄白河に自主ギャラリー「TAP」を設立。日本写真協会賞新人賞(2011年)、さがみはら写真新人奨励賞(2015年)受賞。東京国立近代美術館、サンフランシスコ近代美術館などに作品が収蔵されている。2006年以降、故郷の福島を被写体に、人々や土地の記憶をなぞるように撮影を重ねてきた。2011年以降は、特に県内各地へ足を運び、風景を通して、変化や矛盾、知覚や認識の違いを見出そうとしている。



村越としや〈より深い静けさのために風は唱う〉より 2016年 ゼラチン・シルバー・プリント 作家蔵

ワン・トゥオ(王拓)Wang Tuo
1984年、中国・吉林省に生まれる。2007年、東北師範大学生物学科卒業。2012年、清華大学美術学院で絵画の修士号を取得。
2014年、ボストン大学でMFA(絵画)取得。2017年より、四部にわたる映像連作〈The Northeast Tetralogy〉に着手。中国東北部を起点に、歴史的出来事から現代社会の事件、民間伝承までを翻案し、再構成。登場人物たちの境遇を、時空を超えて結びつけることで、土地に刻まれた近現代中国の歴史の断層を浮かび上がらせる。



ワン・トゥオ《Smoke and Fire》2018年 シングルチャンネル4Kヴィデオ 作家蔵 Courtesy the artist and WHITE SPACE

スイ・タカ(塔可)Sui Taca
1984年、中国・山東省に生まれる。2003年、北京の中央美術学院に入学。2005年にアメリカへ渡り、2007年よりロチェスター工科大学写真学科で学ぶ。2010年、中国最古の詩集『詩経』に詠まれた中原(中国北部の黄河中下流域)の地を巡った写真シリーズ〈Odes〉で、連州国際写真年展年度写真家賞を受賞。本展の出品作品である同作は、メトロポリタン美術館にも収蔵されている。




スイ・タカ《Heaven Guards》〈Odes〉より2025年 インクジェット・プリント 作家蔵

ルオ・ヤン(罗洋)Luo Yang
1984年、中国・遼寧省に生まれる。2009年、魯迅美術学院グラフィックデザイン学科を卒業。在学中から写真を始め、2007年にスタートした、同世代の女性たちをフィルムで撮影した長期シリーズ〈Girls〉で、国際的な注目を集める。2019年より、1990年代後半から2000年代生まれの中国の若者を被写体にした〈Youth〉を開始。同年、ジメイ×アルル国際写真フェスティバル女性写真家賞を受賞。2024年には欧州等に暮らすアジア系移民のアイデンティティや各々の経験を記録した〈Diaspora Birds〉を発表した。




ルオ・ヤン《San》〈Girls〉より 2016年 発色現像方式印画 作家蔵

ジャン・ポンイー(蒋鹏奕)Jiang Pengyi
1977年、中国・湖南省に生まれる。1999年、北京芸術設計学院を卒業。2014年、中国美術学院大学院修了。2009年に第1回三影堂写真賞ティアニー・フェローシップ賞受賞。2010年、ソシエテ・ジェネラル・チャイニーズ・アート・アワード審査員大賞、2011年にアレッティ・アートヴェローナ写真賞を受賞。写真というメディアの物質性と表現の可能性を追求し、本展の出品作品〈Dark Addiction〉は、蛍の生物発光の軌跡をフィルムに直接記録するカメラレスの技法で制作されている。




ジャン・ポンイー《Dark Addiction 1H43’24”》2013年 インクジェット・プリント 作家蔵 (C)Jiang Pengyi, Courtesy of ShanghART Gallery

fumiko imano
1974年、茨城県日立市に生まれる。2歳から8歳の幼少期をブラジル・リオデジャネイロで過ごす。1997年に渡英。ロンドンのセントラル・セント・マーチンズでファインアートを学び、2001年、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションでファッションスタイリング&フォトグラフィーコースを卒業。アイデンティティへの問いからセルフ・ポートレイト写真を始め、架空の双子の姉妹を登場させるコラージュ作品を展開している。




fumiko imano《our first dinner spaghetti/paris/2021》〈le fumistol〉より 2021年 フォトモンタージュ(発色現像方式印画) 作家蔵 (C)fumiko imano

関連イベント

- シンポジウム

10月3日(土)13:00-14:30
登壇者:テン・チンユン(滕青云/本展共同企画者)、グウ・ゼン(顧錚/写真評論家・復旦大学新聞学院教授)、伊藤貴弘(本展担当学芸員)
会場:東京都写真美術館1階ホール 定員:190名 参加費:無料
情報保障:日中逐次通訳/手話通訳/文字表示支援付き
当日10:00より1階総合受付にて整理券を配布します。

- インクルーシブプログラム「手話を交えたQ&Aショー」

12月12日(土)14:00-15:00 
質問者:小笠原新也(耳の聞こえない鑑賞案内人)
会場:東京都写真美術館2階ロビー 定員:50名 参加費:無料
情報保障:手話通訳/文字表示支援付き
※プログラムの詳細は当館ウェブサイトをご覧ください。
- 担当学芸員によるギャラリー・トーク

(文字表示支援付き)10月16日(金)14:00-
(手話通訳付き)11月20日(金)、12月18日(金)各日14:00-
展覧会チケット(当日有効)をご持参のうえ、2階展示室入口にお集まりください。

開催概要

展覧会名|[日] デュエット――アジアン・コンテンポラリー
[英] Duet: Asian Contemporary
会期|2026年9月30日(水)―2027年1月17日(日)
主催|公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都写真美術館
協力|三影堂撮影芸術中心
協賛|東京都写真美術館支援会員
会場|東京都写真美術館 2階展示室(東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)
   Tel 03-3280-0099 URL https://topmuseum.jp
開館時間|10:00-18:00(木・金は20:00まで)、入館は閉館30分前まで
休館日|毎週月曜日(月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館)、年末年始(12/28-1/1)
観覧料|一般900(720)円/学生720(570)円/高校生・65歳以上450(360)円
※( )は有料入場者20名以上の団体料金
※中学生以下および障害者手帳をお持ちの方とその介護者(2名まで)は無料。第3水曜日は65歳以上無料。10月1日(木)、1月2日(土)、3日(日)は無料。TOPMUSEUM PASSPORT 2026提示者は割引または無料(回数上限あり)。
※11月5日(木)~27日(金)の木・金曜日17時~20時は夜間特別開館による割引料金(学生・高校生は無料、一般・65歳以上は団体料金。学生証・年齢が確認できるものをご提示ください)。

事業内容は諸般の事情により変更する場合があります。
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