【P探】プレスリリースを通して世相を探っているような気がする「プレスリリース探訪(略称:P探)」です。

長崎・眼鏡橋
先日、長崎を旅行した際に新地中華街近くにある音楽喫茶に入りまして⋯。
レコードジャケットを飾るピンヒール(スティレットヒール)をはいた女性の脚元が印象的な『クール・ストラッティン(Cool Struttin’)』をLPで聴かせていただきました。
1958年に出たピアニスト、ソニー・クラークのリーダーアルバム。
日本で大好評を得たというハードバップジャズの名盤ですね。
僕もCDは持っていて何度も聴いているのですが、オーディオの設備が良いと別格に格別。
アート・ファーマーのトランペットの音の“端っこ”のハスキーなヒダヒダ感が伝わってきました⋯と表現しても他人様に伝わる気がしないので、ざっくり言うと、とにかく家で聴くのとは全然違います。
それがアナログレコードの威力なのかどうか、僕にはわかりません。
しかしです。
CDに比べて何倍も大きいLP用の紙ジャケットから出されたレコード盤がターンテーブルに載せられて針が置かれてスピーカーから音が流れる。
デジタル音源の再生にはない、一連の儀式ともいえる、そんな手順が影響している気はしました。
音が出るまでの過程が助走となって聴く姿勢が整うのかもしれません、知らんけど。
そういえば昔、まだ(たぶん)CDなんてなかったころ、買ったばかりのLPレコードを家でジャケットから丁寧に取り出して初めて聴くときの独特な緊張感を思い出します。
「キズが入ってないか」という警戒と心配が入り混じった気持ちがありました。
ドキドキして心臓の音で曲が聴き取りにくかったほど、というのは冗談。
ですが⋯。
今のデジタル配信には、そんなスリルのようなものが欠けているのかもしれません。
そこで紹介したいのが、このプレスリリースです↓
タワレコのアナログレコード専門店が京都に初出店 TOWER VINYL京都店6/27オープン
デジタル音楽配信にはないスリルを求める方が増えているのか、どうかはわかりませんけれど、今年(2026年)6月27日にアナログレコード専門店「TOWER VINYL(タワーヴァイナル)」が京都・四条河原町にオープンするそうです。

TOWER VINYL京都店イメージ
「TOWER VINYL」は、「タワーレコード」が音楽ファンの間で再燃しているアナログレコード人気に応える専門店として2019年にスタート。
今回、新しくオープンする京都店が加わり、東京・渋谷と大阪・梅田の全国3カ所での展開となります。
京都店は「新品アナログレコードからニーズの高い中古レコードまで幅広くラインナップ。地元の方はもちろん、観光で訪れる国内外の音楽ファンに愛される店舗をめざします」とのこと。
アナログレコード熱が再燃しているという話は聞いたことがありましたが、その“熱さ”が僕の想像をはるか似超えていることを教えてくれるのが、このプレスリリース↓
2025年年間音楽ソフト生産実績公表~前年比105%の2,157億円
「日本レコード協会」加盟全社が集計した2025年の音楽ソフト生産実績のまとめによると⋯。
「アナログレコードは数量・金額ともに5年連続のプラス成長を記録し、金額では1988年以来37年ぶりの80億円超えと好調傾向」が続いています。
同協会が2023年1月に出したプレスリリース↓を見てみると⋯。
2022年年間生産実績公表~2019年以来3年ぶりの2,000億円超
アナログレコードの過去最低生産金額は2010年の1億7000万円で、2022年には、その約25倍の43億3600万円。
その2年後の25年にはほぼ倍増で84億円を超えたことになりますから、最低時からは15年で約50倍です。
そんな勢いが反映されているのが、このプレスリリース↓
あの昭和の銘機をデザインそのままに!Bluetooth機能を搭載し、電源は便利なUSB Type-C対応の新モデルGP-N3BT-Rが令和に誕生!Makuakeにて4月30日から1ヵ月間限定販売開始!
僕が小学生だった1970年代の学習雑誌などの付録の定番だった“ソノシート”は、こんなフォルムのプレーヤーで聴いたのを懐かしく思い出します。

プレスリリースより
そういえば、こんなプレーヤーとか、がっつりした家具調ステレオとか、レコードを再生する機械を「電蓄」や「蓄音機」と呼ぶお年寄りもいたなぁ。
で、計算してみると、そのお年寄りは、今の僕よりも年下だったかも。
それはさておき⋯。
主にダイヤモンドで作られた針がレコード盤に刻まれた凹凸をなぞるという特性上、レコードは聴けば聴くほど劣化します。
なので、レコードを良い状態で長持ちさせるために曲をカセットテープに録音して、ふだんはもっぱら、そっちで再生するというのが定番のスタイルではなかったですか?
僕はそうでした。
なので、こんなプレスリリース↓に心が動かされます。
We Are Rewindより、レトロな外観とモダンなサウンドを融合した、カセットプレイヤー搭載Bluetoothスピーカー「GB-001」が登場

プレスリリースより
で、テクニクスのコンポのカセットデッキでレコードを録音して聴いていた高校生時代の1979年、ウォークマンが登場したときの衝撃は今も忘れられません。
カセットテープよりひと回りくらいの大きさしかない(と当時は感じた)本体につながったシンプルで軽いヘッドフォンから聴こえてくる音に「えっ!!こんなに小さいのに? すごっ!」と感動しました。
予想を遥かに超えていたのです。
あれから、レンタルレコード店が各地にできて、10年もしないうちにCDが主流になって⋯。
で、令和の今、また、あらたに専門店がオープンするほどにアナログレコードが多くの人々から注目されるなんて⋯。
しかも、こんなにAIが台頭してきている時代にですよ。
ん!? いや、こんな時代だからこそかな?
もしかしたら、コスパもタイパも良くない贅沢ともいえる娯楽へ熱度の高まりは“何か”に対する無意識の抵抗の現れなのかもしれません。
アナログレコードでなくてもいいのですけど、どうも、そういう不合理ともいえるものを錨のようにして持っていないと、目の前で繰り広げられる現実をただ受け容れて理不尽に呆然と流されるままになる気がします。(岡崎秀俊)









