「志賀直哉邸 サンルームにて」昭和8年 撮影・提供:飛鳥園

「志賀直哉邸 サンルームにて」昭和8年=撮影・提供:飛鳥園

奈良に足跡を残した文化人たちの活動を通じて奈良と美術の関わりを探る特別展「奈良のモダン~美術をめぐる人々」が奈良県立美術館(奈良県奈良市登大路町)で開かれている。

古くから詩歌や文学、芸術の題材となった奈良は明治時代に入って信仰と結びついた文化があらためて評価された。大正時代から昭和戦前期にかけては、奈良の歴史や文化財に関する調査や研究が進んだことで、多くの文化人が往来するようになる。このような動きは地元・奈良の人々を刺激して地域の文化の興隆につながった。

同展は、奈良に足跡を残した美術家や文学者などを「第1章 近代の息吹~對山楼たいざんろうに宿る人々」と「第2章 華開くモダン~高畑界隈の人々」の2部構成で紹介。会場では人間国宝で文化勲章受章者の陶芸家、富本憲吉の「楽焼草花模様蓋付壺」や、“鹿の画家”として知られた浜田葆光ほこうの「水辺の鹿」など約180種類の美術品や資料が展示されている。

第1章の“舞台”となる「對山楼」は江戸末期に開業した奈良の旅館。
幕末の志士で初代内閣総理大臣をつとめた伊藤博文や、俳句・和歌の近代化を成し遂げた正岡子規ら時代を彩る人々が宿泊し、奈良での活動拠点とした。その著名人のなかには日本の美術を再発見した功績で知られる岡倉天心とフェノロサの2人もいた。

第1章では對山楼の宿帖を紐解きながら、これらの人々が近代の美術行政や美術教育に携わる中で、奈良の芸術文化が果たした役割を再確認している。

第2章では大正14 (1925) 年に奈良に住まいをかまえた文豪、志賀直哉の周辺に集った芸術家たちと、その後を引き継ぐかのように形成された東大寺・観音院住職の上司海雲を中心とした芸術家サークルに着目。洋画や白樺派といった同時代の美術や文芸に刺激を受けて展開された多彩な文化活動から生まれた作品を紹介している。

同館は「美術を通じて展開されたこれら文化人たちの活動を概観することで、奈良と美術との関わりを検証すると同時に、独自の文化が華開いた近代奈良の一面に目を向ける機会となれば幸いです」としている。

会期は令和8(2026)年3月15日まで。休館日は月曜日(ただし2月23日、3月2日、3月9日は開館)と2月24日。観覧料は一般1200円、大学生1000円、小中高生及び18歳未満は無料。団体料金やその他詳細は同館ウェブサイトで。