【P探】プレスリリースを通して世相を探っているような気がする「プレスリリース探訪(略称:P探)」です。
7月並みの陽気になったかと思ったら真冬の寒さに逆戻り。
行ったり来たりで、ピンポンのラリーように目まぐるしい天候が続いております。
そんな、あっちこっちする気候にあわせて丁稚(でっち)になった気分。(注:わからないヒトは無視してくださって問題ありません。特に関西以外の方はご存じなくて当然です)
朝夕の寒暖の差も激しくて、外出のとき、服装選びに悩みます。
今年も猛暑日が続くまで、冬物の服をそのままにしておく言い訳にできそうです。
黄砂でモャ〜んっとする風景が世間の先行きの不透明さを象徴しているようですが、サクラの開花が各地で宣言され、一応、季節は明確に春。
進学や就職で、新しい環境での生活を始めるという方もいらっしゃるでしょう。
思い起こせば、僕が社会人生活をスタートさせたのは1985年、昭和60年の4月。
今から40年前、戦後40年の節目でした。
余談ですが、その年の3月24日に生まれ、今や国民的女優となった綾瀬はるかさんも、40歳を迎えられたそうです↓
おめでとうございます!!!
僭越ながら勝手にします。
自分が大学を卒業して就職した年に、この世に生をうけた方が「不惑」の歳なわけで、近所とか親戚のおばちゃんから、よく言われた「え〜っ、あんなチッちゃかった子が、もう、こんなに、大きなったん!! わたしも歳とるはずやわ」という常套句に今となっては激しく同意しながら、愕然としますわ、ホンマ。
馬齢を重ねて体力も落ち、「コホン」って弱々しい咳(せき)が出て「龍角散はどこ? でも、あれは、『コ』に濁点がつく『ゴホン!といえば』か?」となってしまうわけです。
歳を感じる一方で、進化をしてきたり達観の域に達したりしているという自覚はなく、もちろん、そう言ってくれる外部からの評価も聞いたことがありません。
レベルやステージが上がっている気配もないし、一時的にでも高みに到達したという記憶もありません。
アニメ「はじめ人間ギャートルズ」のエンディングテーマのように「全く何にもない」。
「双璧」の「へき」が「壁(かべ)」ではなく「完璧」の「ぺき」だと知って「死ぬまでにわかってよかった」と喜んだのが還暦の手前。
成長が遅々としすぎるにもほどがあります。
すでに今年40歳の方々に先を越されて、呆然とその背中を観ている気分なのですね。
「いや、僕はウサギの背中を見ているカメなんや!」と叫んで世間が許してくれる年齢でもありません。
つまり純粋かつ単純に前を行く人々の背中を観ているだけなわけです。
一応、視線は前向きなのだけど、気分は後ろ向き。
どう頑張っても追いつける確率はコンマのあとにゼロが銀河系の外まで続く気がするし…。
なので、いっそのこと視線も後ろ向きにして自分が社会人になった40年前を振り返ってみますね。
僕は大学を卒業して新聞社に就職、記者として神戸の支局に配属されたのです。
22歳でしたよ。

淡路島から見た明石海峡大橋。対岸が神戸・舞子側=2023(令和5)年7月撮影
フォークデュオ「風」のヒット曲「22才の別れ」がシングルレコードでリリースされたのが1975(昭和50)年ですから、ちょうど、その10年後。
歌詞のなかで「さようなら」って言って別れた当事者も、もう32歳になっている時期ですね。
お相手は、願い通りに変わらずにいてくれているのでしょうか?…と気になったものです。(注:わからないヒトはスルーしてください。試験に出ません)
当時の神戸の支局長は僕が生まれた1962(昭和37)年の入社。
そう聞くまでもなく、僕の認識機能は、潤滑油がたっぷりと満たされていることを証明するように何の抵抗も摩擦もなくスムーズに一瞬で「おじいさんに近いおじさん」と判別しました。
その支局長が、新人記者だった時代の話を聞くと、自然にセピア色の光景が頭に浮かびましたもん。
これも何の抵抗も摩擦もなし。
でも、今の僕より20歳以上も若かったんですよね。
あの頃を思い出すと、「コホン」ではなく、間違いなく龍角散の登板を要請しても問題のない「『ゴ』ホン!」という咳が出そうになります。
というのも…。
支局内にはパソコンの姿は影も形もありませんでしたが、どの机にもガラスや陶器、そして金属製の灰皿がよりどりみどり状態で当然のようにありまして、それだけでは足らず、ビールの空き缶も灰皿界隈に助っ人の常連として参入していましたね。
喫煙者がマジョリティで、男性は、そうでないほうが珍しいくらい。
僕も主にマイルドセブンを吸っていました。
銭湯の湯煙のごとく、当然の風景にように室内には紫煙が充満していた状態。
「ゴホン!」の原因の巣窟みたいだったうえ、シャツにもズボンにもタバコの臭(にお)いが染みついているのが常態でした。
今なら街なかを歩くと、すれ違う人々に「信じられない」って表情をされ、電車に乗ろうとしたらビショビショになるくらいファブリーズを浴びせられる気がします。
オジサンはタバコ臭(くさ)いのがスタンダードみたいな時代だったのです。
そんなふうに喫煙率が高かったのに、5階建ての支局ビルのなかにはタバコの自販機はありませんでした。
置くスペースがないほどに、狭く小さな建物だったといこともあるでしょう。
エレベーターもなかったし…。
雀卓を囲んでいる先輩や上司が「おーい、タバコ」とか言うと、2階の編集室を出てビルの外の自販機まで買いに行くのが新人記者の役割のひとつでした。
どんな銘柄が要るのかたずねると「オレはロンピ(ロングピース)に決まっとるやろが! そんなことも知らんのか!!」とか、その理不尽さへの自覚が微塵もなく不機嫌になる先輩もいる無法状態。
買って支局に戻ってくると1000円札を渡されて…。
「(おつりの)小銭がないんですけど…」というと「そんなもんくらい用意しとけ!」って逆ギレされ、買ってきたばかりなのに別の先輩が「俺もタバコなくなったわ」…。
で、また買いに出る。
目的の銘柄が売り切れになっていると、さらに離れた自販機まで遠征しました。
面倒なので、先輩方が吸ってるタバコの銘柄を覚えて、買い置きしてスチール机の自分用の引き出しにストックしましたね。
「タバコ!」って言われると、サッと机から取り出して、ハイライトとかセブンスターとか、キャビンとか、ホープとか、キャスターとか、その先輩が吸ってる銘柄を持っていく。
で、「おー!なかなか、やるやないかい!! お前、出世するでぇ」とか感心されたわけです。
「新人記者なんて怒られるのも仕事やで。給料のうちなんや。反省してるフリだけして腹のなかで舌を出しといたらええねん」とか言われてましたし、言われるまでもなく、そうしていました。
それに、こちらも支局の新人歓迎会の席で先輩のアタマを軽く叩(はた)いて問題になったという負い目もあって…。
まぁ、それはともかく。
ほめられることなんて全くといっていいほどなかったので、「やるやないかい」と評価された気になって満面の笑みという健気な22歳でした。
でもです。
翌日くらいに「タバコ!」っていわれて引き出しを開けると、すべてのストックが、まさに煙にように消えていました。
代金なんて置かれていません。
僕は「タヌキでも木の葉くらいは残しておくで」と
…………笑いました。
で、後日、キチンと仕返しはさせていただきましたけどね。
その件は別の機会があれば書くかもしれません。
面白くて陽気な時代だったような気がします。
いろいろな批判もあるでしょうし、全面的に肯定はしませんけど、思い出して笑えることがたくさんあります。
あれから40年。
時事ドットコムニュースの記事(2025年1月15日付)が「大手企業の間で、初任給引き上げの動きが加速している。業界を問わず人手不足が深刻化する中、優秀な若手を確保するのが狙いだ。大卒で月30万円台に乗せる企業も相次いでおり、人材獲得競争が一段と激しさを増してきた」と伝えています。
一方、厚生労働省のまとめ「企業規模、性、学歴別初任給額の推移(産業計)」によると、1985年の大卒男性の初任給の平均は14万円。
30万円と14万円。
それぞれの数字の質が異なりますし生活様式の変化に伴って消費構造も違ってきていますので、変化への評価は様々でしょうけど、何か、モヤッとした気分はします。
こんなプレスリリースがありました↓
2025年2月の国内景気は2カ月連続で悪化、物価高じわり 個人消費や観光産業が低迷、建設・製造も振るわず
帝国データバンクが全国2万6815社を対象として2025年2月の国内景気動向を調査・集計した結果を発表していて…
景気DI(景気動向指数)は…
前月比0.1ポイント減の43.5となり、小幅ながら2カ月連続で悪化した。国内景気は、物価上昇や寒波の影響により個人消費が低迷したほか、建設、製造の悪化が目立った。今後の景気は、賃上げによる個人消費の回復に期待がかかるものの、輸出産業に対する海外リスクが重荷となり、横ばい傾向が続くと見込まれる
とのこと。

2025年2月の動向 : 小幅に悪化
また…
【アンケート】野菜の価格が「高くなったと感じる」人は全体の87.1%。それでも週1回以上購入している人は全体の70.3%

…とか
1年前と比べて「食品」の値上がりを感じる世帯は8割超!生活総合情報メディア【ヨムーノ】「食費」に関する最新の意識調査を実施
…といったプレスリリースがあって…

プレスリリースより
生活総合情報メディア「ヨムーノ」が20代から70代の既婚女性159人を対象にして今年(2025年)1月に行った「食費」に関するアンケート調査によると「食費を節約している」(31.4%)、「食費を節約しようと心がけている」(54.1%)と、合計85.5%が何らかの形で節約を意識していることが判明。

過半数が食品価格の値上げに「困っている」「負担を感じる」とも回答しています。
初任給を30万円台に上げる企業が相次ぐ一方で、食品価格を中心とする物価の上昇によって生活が圧迫されていると感じるヒトが多いのは確かなようです。
「確かなようです」というか、個人的な感覚では、生活への圧迫感を覚えないほうが不思議。
感じないヒトたちって、霞(かすみ)でも食ってるのかしらんと首をかしげるほどです。
とはいえ、物価上昇と経済の発展は切り離せないのも確か。それはデフレが続いてきたなかでの経済の停滞で痛感している方が多いでしょう。
「昭和100年」で、「戦後80年」。
「大阪・関西万博」が開催される今年2025年は社会のこれからの姿の大きな分岐点となるような気配を感じるのは僕だけですか?
大阪市博物館機構が市立の美術館、東洋陶磁美術館、科学館などの収蔵品合計200万点以上の中から、大阪の魅力を体感できる代表品として選定した「大阪の宝」120点をWebサイト「デジタル大阪ミュージアムズ」で公開を開始したそうです↓
見る、聞く、動かす…、バーチャルな体験で「大阪の宝」を楽しむスペシャルコンテンツ「大阪の宝バーチャル体験展示室」を公開!
本当の幸せは身近にあると教えてくれるといわれるメーテルリンクの童話「青い鳥」に重ねれば、大阪で暮らす自分としては、足元にある「宝」に未来を明るくするヒントが見つかるかもと期待しています。
いや、きっとあるに違いありません。
社会人となって40年。
過去を後ろ向きに懐かしむのではなく、今一度、前向きに過去を見つめ直して進む方向を間違えないようにしたいとも考えています…というキレイごとめいたことも申し上げまして今回はこれくらいかな?
ちなみに僕がタバコをやめたのは40歳のときだったことを思い出しました。
喫煙はカラダにはよくないということを理解できるくらいには成長していたのかもしれません。
それまではモノや習慣を「足す」ことに気が向いていたのが「引く」ことに意識を向ける大切さに目が向く分岐点だったとも言えるんですかね。知らんけど。(岡崎秀俊)