【P探】プレスリリースを通して世相を探っているような気がする「プレスリリース探訪(略称:P探)」です。
日本でラジオ放送が始まってから来年(2025年)で、100年を迎えるそうです。
…と、いきなり始めてしまいましたが、「放送100年」が突然、何の前触れもなくドスンドスンと足音を響かせてやって来ることが判明したわけではありません。
NHKの前身である「社団法人東京放送局」が放送を開始した1925(大正14)年3月22日の時点で、2025年に来ることが決まっていたわけで…………………汗。
スベったような気がします。
親父ギャグのようなことを書いてしまい反省しています。もうしません、たぶん………ごめんなさい。
で、それはさておき。
もうご存じの方は多いと思いますが、そんな節目にNHKが大河ドラマの主人公として白羽の矢を立てたのが蔦屋重三郎(つたや・じゅうざぶろう、1750~1797年)。
安直に能天気な感じでGoogleが開発した対話型生成AI(人工知能) の「Gemini(ジェミニ)」に「蔦屋重三郎について100文字以内で教えて」と、お願いしたら…
江戸時代の出版界の巨匠。喜多川歌麿や東洲斎写楽といった人気浮世絵師を発掘し、洒落本や黄表紙などの出版で大きな成功を収めました。彼の出版活動は、江戸の文化を大きく花開かせました。
…と即座に答えてくれました。
ありがとう!Gemini!!
この来年1月5日から放送がスタートする大河ドラマ「べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~」の公式Webサイトでは…
天下泰平、文化隆盛の江戸時代中期。
喜多川歌麿、葛飾北斎、山東京伝、滝沢馬琴を見いだし、
日本史史上最大の謎のひとつ“東洲斎写楽”を世に送り出す──。放送100年を迎える2025年に描くのは
日本のメディア産業、ポップカルチャーの礎を築き
時に“お上”に目を付けられても“面白さ”を追求し続けた人物
…と紹介されています。
放送開始から1世紀という放送メディアの記念すべき節目に江戸時代の“メディア王”とも称される「蔦重(つたじゅう)」こと蔦屋重三郎に焦点を当てるわけですですね。
安易なのか、そうでもないのか、NHKの事情は知るよしもありませんが、脚本は、あの森下佳子さん。
テレビドラマの「世界の中心で、愛をさけぶ」をはじめ「JIN -仁-」「義母と娘のブルース」「天国と地獄~サイコな2人~」といった、綾瀬はるかさん出演の、僕も大好きな人気番組を手がけた方なので、来年の大河ドラマに注目せざるを得ません。
天下の大河ドラマですから、注目してるのは僕だけではないのはもちろんです。
この情況はプレスリリースにも反映されていて…
大河ドラマ「べらぼう」の主人公はこの男! 江戸時代の天才編集者の波乱に満ちた人生をたどる『蔦屋重三郎 江戸の反骨メディア王』(新潮選書)が10月24日に発売
2025年大河ドラマの主人公「蔦重」を知る最初の1冊に!『Pen BOOKS 蔦屋重三郎とその時代。』が10月2日(水)発売。
【2025年 大河ドラマで大注目】謎多き「江戸のメディア王」の“べらぼう”な生涯を「日本一生徒数の多い社会科講師」がわかりやすく&おもしろく解き明かす『これ1冊でわかる! 蔦屋重三郎と江戸文化 』発売
「蔦屋重三郎」「蔦屋重三郎」「蔦屋重三郎」…のオンパレード。
選挙の候補者名の連呼を思い浮かべるほどです。
出版関係のプレスリリースだけをみても盛り上がっている気がします。
Geminiも認める(?)“江戸時代の出版界の巨匠”ですから現代の出版界隈が注視するのも当然です。
ところで…
今年のノーベル物理学賞と化学賞の両部門で、AI関連の研究者の受賞が決まって話題になりました。
AIが進化し私たちの生活にさらに影響を及ぼすのは確実な情勢だということの裏づけでもありますね。
日に日にAIの存在感が増して「第4次産業革命」といわれる潮流のまっ最中にいることを実感する今。
「放送100年」の節目にお目見えする大河ドラマは「蔦屋重三郎が現代に生きていたら、どんなメディア展開をするのだろう?」と考えるヒントを与えてくれそうな個人的な期待もあるのですが、みなさんはいかがですか?
そのような時代の流れのなかで、出版に関係するAI関連のプレスリリースが毎日のように発信されています。
AIとの対話で、より魅力的な小説が書ける!『小説を書く人のAI活用術 AIとの対話で物語のアイデアが広がる』を2024年10月17日(木)に発売
生成AIと小説家の共創で紡ぐ、あなたを主人公にした物語で心をケアする『変身文庫』- トライアルの大反響を受け、本日よりクラウドファンディング開始!
…などと、中身を精読したくなるものでいっぱいです。
さらに出版以外の分野でも…
【業界初】「Metagri音楽生成AIコンテスト2024」11作品集結
…とか、音楽を生成するAI技術を農業に応用しようという試みなど「AI プレスリリース」で検索するとキリがないほど、次々と新しく興味深い情報を確認することができます。
そして、AIが進化するほどに、人間がどのように使うかが大切だという、ものすごく素朴でナイーブな思いに行き着き、AIではなく、やっぱり蔦重さん本人から意見を聞いてみたくなるのは僕だけですか?
でも、蔦屋重三郎が憑依したようなAIも出現しそうな気がして、AIに聞いているのだか、蔦重さんと脳内で対話しているのか、境界が曖昧な迷路に入ってしまいそうな予感もします。
自分のアタマで考えるというのはどういうことなのか?
創造って何なの?
…という正解が出なさそうな難問がアタマのなかをグルグルして、結局AIに聞きたくなります。
そんな情勢のもとで、僕が最近、一番気になったのが、このプレスリリースです↓
小型書店の開業をサポート 日本中の「本屋をやりたい人」へ 書店開業パッケージ『HONYAL』(ホンヤル)10月17日よりサービス開始
内容をざっくりまとめると、本屋さんの経営に伴う条件のハードルを下げて小型書店の開業を後押ししようというサービスです。
飲食店や公共施設、一般企業など幅広い分野のスペースでの兼業による本の販売も視野に入れており、本と人とのリアルな接点を増やしていこうとわけですね。
書店と本業の“二刀流”みたいな感じもあり、というか、二刀流大歓迎という感じですね。
本屋さんは減っていく一方のようですが、こんな試みから現代の蔦屋重三郎が誕生しそうな予感がします、知らんけど…
先行きが不透明な今こそ、大河ドラマのタイトルにもなっている“べらぼう”な発想が必要なのは言うまでもないことで、そこはAIには依存したくないなぁ、というのは淡くて甘い砂糖菓子のような期待なんでしょうか?
ねぇGemini、そこんとこ、どう思う?……………汗再び。
ベタな〆(しめ)で、またスベったような気がしますので、今回はこのへんで。(岡崎秀俊)