【P探】プレスリリースを通して世相を探っているような気がする「プレスリリース探訪(略称:P探)」です。
「日経平均株価の下げ幅が過去最大」「南海トラフ地震臨時情報」「中国軍機が領空侵犯」…。
今年(2024年)8月の日本国内の情勢をみても、これまでになかった事案が起こって、先行きの不透明さの極まり方が半端ないです。
くもりガラスを手でふいたら明日がみえますか?…とか聞いているどころじゃないです。人生幸朗師匠もボヤくで、ほんま…わからない方は無視してください。タンス担ぎの映像が頭をよぎった方とは一献傾けたい。
不透明とはいえ、その向こう側に想定される様々なバリーエーションの光景が妙にリアルな気がするのは僕だけですか? もうピントがばっちり合って輪郭がくっきり。
そのリアルさが不安を増幅するけど、どれに行き着くかがわからないし、全く想定外の事態が招かれるかもしれません。
「これって、今後どうなるの」という疑問がとめどなく湧き出て「?」マークの詰め合わせの大盛りどころか、サービス満点感いっぱいに容器から溢れてるような有り様で呆然とするしかない。
「喉元(のどもと)過ぎれば熱さ忘れる」といいますが、常に何かが喉に引っかかっていて、忘れても忘れてもキリがない。
問題が渋滞して、なかなか通り過ぎてくれず、いつも熱くて、とにかく冷やして癒やしてくれる便利なものがないか?とキョロキョロしてしまいました。
で、目についたのが書籍系デジタルメディア「日経BOOKプラス」の「人生が生きやすくなる 一度は読んでおきたい、悩み別・哲学の古典」という記事です。
複雑で不確実な時代を切り開くためのツールとして、近年注目されている「哲学」。『 哲学を知ったら生きやすくなった 』(日経BP)の著者で哲学者の小川仁志さんに、今回は、「読むと人生が生きやすくなる、悩み別のおすすめ哲学書」を挙げてもらいました。
…という書き出しにもあるように「哲学」が複雑で不確実な時代を切り開くためのツールとして注目されているというではありませんか!
哲学が喉元の熱さを緩和するするだけじゃなく、この不透明な時代を生きていくアイテムになりそうな期待に胸が膨らんで「いざっ出陣!!」という気分。
…というわけで、そんな“武器”を求めてプレスリリースを探訪してみました。
まず見つけたのが、このプレスリリース↓
【オーディオブック8月人気ランキング】 AI時代到来で「哲学」に脚光! 『父が息子に語る 壮大かつ圧倒的に面白い哲学ぶ書』が単品購入ランキング1位を獲得
オトバンク(本社:東京都文京区)が運営するオーディオブック配信サービス「audiobook.jp」の「月間ランキング8月付」(2024年7月1日~同31日)の発表です。
プレスリリースによると…
AI時代の到来で「自分の頭で考えること」の重要性が高まり、ビジネスパーソンの間で「考えること」の本質を問う「哲学」への関心が高まっています。
単品購入ランキング1位は、18カ国でベストセラーになっている『父が息子に語る 壮大かつ圧倒的に面白い哲学の書』。小さな子どもとの対話を切り口に、「自分とは何か?」から「宇宙の終わり」まで深く考察する作品です。
…とのこと。
「哲学」への関心が高まっている背景に「AI時代の到来」があると説明していますね。
「AI」というのは、この場合、歌手のAI(あい)さんのことではなく「Artificial Intelligence」(人工知能)の略です、念のため…と、とりあえず使い古されたボケをかましてみました。
歌手じゃないほうのAIは世の中の課題の迅速な解決が期待される一方で、本物と見紛うようなフェイク動画が作れてしまうなど、社会をややこしくする要素のひとつとも考えられているようです。
AIによって、これまで人間が「アーでもない」「コーでもない」と手間暇をかけてやってきたことが簡単にできて便利になる一方で、「自分の頭で考えること」を怠けていると足元をすくわれるかも、という危機感も高まっているわけですね。そこで落語でたとえると難題に頭を悩ませた長屋の住人たちがポンを手を打って物知りのご隠居さんの存在に光を見たように「ここは哲学さんに一肌脱いでもらおうやないか」というわけですかね。ちょっと違うか…。
それはともかく「じゃあ、AIが哲学を学習したら…」と言い出すと、話が複雑さを増して、イタチごっこになりそうですが、それはさておき現実にAI界隈の方々にも哲学は重宝されているようで…。
シリコンバレーが求める現代を生き抜くための哲人の知恵『心穏やかに生きる哲学 ストア派に学ぶストレスフルな時代を生きる考え方』が発売!
…というプレスリリースもあります。
シリコンバレーは先端IT企業が集まっていることで知られる米・カリフォルニア州のエリア。そんなAI開発の中枢のようなところで哲学が求められているというのですからAIと哲学が相撲をとったら、どちらに軍配が上がるのかは明確です……知らんけど。
さらに…こんな本も↓
哲学が一滴のクスリのように、自分の考え方や価値観に、新しい視点と発見を与えてくれる。哲学への入り口へ、新しい扉へいざないます
青春出版社の『ひと口かじっただけでも 哲学は人生のクスリになる』(白取春彦著)という本の紹介で…
たとえ哲学の一滴だとしても、それはクスリのようにじわじわと効きはじめ、自分の考え方や価値観に、新しい視点と発見を与えてくれるのです。哲学への入り口へ、あなたを新しい扉へいざないます。
…とのことで、哲学が製薬業界のライバルになりそうな勢い。
また…
幸せを獲得するためにすべきことが詰まった「実践哲学」の書を読み解く──NHK「100分de名著」ブックス最新刊が発売!
…というのもあって、あの公共放送界隈も“参入”し『アリストテレス ニコマコス倫理学 「よく生きる」ための哲学』(山本芳久著)という本の発売をPRしていて…
天文学、生物学、詩学、政治学、論理学、形而上学などあらゆる分野の学問の基礎を確立し、「万学の祖」と呼ばれる古代ギリシャの哲学者アリストテレス(前384-前322)。彼が「倫理学」という学問を歴史上初めて体系化した書物が『ニコマコス倫理学』だ。
「幸福とは何か」を多角的に考え抜き、それを獲得する方策を説いたのが『ニコマコス倫理学』であり、現代人にとっても大切な「正義」や「欲望」、「生き方」や「友情」などの在り方について、読者がわが身に引き付けて考えるための「実践の書」なのだと、著者はいう。その発展的受容という観点から、特別章を加筆。キリスト教とギリシャ哲学を融合させたトマス・アクィナスの思想に『ニコマコス倫理学』の実践を見る。
…とのこと。
「温故知新」というか、古代ギリシャの伝説の超人がよみがえって、山積する現代社会の「悪」を退治するような壮大なロマンさえ感じます。
「そんな知恵が昔からあったのなら、今こんな情況になってることがおかしいやん」というシニカルな見方もあるかもしれません。
でも僕は今こそ機が熟して哲学が本来のチカラを発揮するときが来たのだと信じたいです。
それから哲学によって喉元が癒やされたとしても熱さは忘れないようにしたいと思いますが………今回の締めはこれでいいのかAIに聞いてみたいです。(岡崎秀俊)