【P探】プレスリリースを通して世相を探っているような気がする「プレスリリース探訪(略称:P探)」です。
このところ女性の落語家の活躍がめざましかったようです。
たとえば桂二葉さん。
故・桂米朝さんの孫弟子で、1972年に始まった「NHK新人落語コンクール」の半世紀にわたる歴史のなかで昨年末、初めて女性として優勝を勝ち取り、多くのメディアから注目されています。
公式サイトをみると、公演の予定がギッシリと詰まっていて、地元の関西だけでなく全国で名前を知られる人気者となっています。
もともと落語、特に古典落語は男性が演じることを前提に作られているので、女性の落語家には不利だともいわれてきましたが、情勢は確実に変化してきたようです。
そんな現状はプレスリリースにも反映されています。
たとえば…。
TVアニメ「うちの師匠はしっぽがない」より『大黒亭まめだ 1/7スケールフィギュア』『大黒亭文狐 1/7スケールフィギュア』ホビーECサイト『F:NEX』にて11月11日より予約開始!
プレスリリースによると…。
「うちの師匠はしっぽがない」とは、大正時代を舞台に大阪の街へやってきた豆狸の少女・まめだが上方落語四天王である大黒亭文狐に弟子入りし、落語家として成長する姿と、厳しくも優しい師弟愛を描いた上方落語を題材にしたレトロファンタジー作品です。2022年10月よりTOKYO MX・MBSほかにてTVアニメが放送開始され、話題となっています。
この作品に登場する「大黒亭文狐」と「大黒亭まめだ」という2人の女性落語家が1/7スケールでフィギュア化されたというわけで、ここにも落語界での女性の進出が反映されている…ような気がしますが、皆さんはいかがですか?
さらに、こんなイベントも…。
大人気の女流落語家・講談師4人が 江戸を舞台にした新作噺を披露する挑戦企画『擬古典落語の夕べ3』開催決定 カンフェティでチケット発売
タイトルにある「擬古典落語」とは「古典落語の世界観を借りた新作落語」のこと。
古典落語に登場する市井の女性といえば「ダメ亭主を支える、賢くてちょっと勝ち気なおかみさん」「夫のあきれた言動を赦す寛容な妻」「親思いでひたすら健気な娘」といったところが定番。「もっといろんなタイプの女性が加わったら“古典落語ワールド”がさらに楽しく豊かなものになるはず!」そんな思いから生まれたのが今回の企画
…とのことで、この会のために創作した4つの噺を披露。女性の視点や感性で、自然に古典の魅力が堪能できそうです。
一方で、男性落語家にも斬新な動きが…。
日本初 落語家が美少女VTuberになる。デモンストレーション版を11月14日配信
「VTuber」とは「Virtual(バーチャル)YouTuber)」の略称で、動画サイトなどを舞台に活動する2DCGや3DCGで描画されたキャラクターのことです。
「落語家が美少女VTuberになる」といいうのは唐突な気もしますので…。
順を追って説明すると…。
松竹芸能の落語家5人で構成された次世代ユニット「五楽笑人」と京都芸術大学キャラクターデザイン学科の学生が上方落語を未来に伝えるプロジェクトを立ち上げたのが、この話題の始まり(以下のリンク先のプレスリリースに詳細)。
プロジェクトは、オリジナルの構成を残しながらも設定や人物を現代風に再構築した『超訳落語』を考案し、落語のとっつきにくさの解消をめざすという試みです。
この流れのなかで、学生が男性の五楽笑人メンバーの特徴を生かしデザインした美少女VTuberのデモンストレーション版を「【LIVE配信】五楽笑人が美少女Vtuberに!?」として配信したわけです。
もともと男社会だった落語の世界で女性の台頭が著しいなか、男性の落語家が逆転現象のように女性キャラクター化して活動するという事態が起きているともいえそうです。
…というわけで、たったひとりの人間が座布団を舞台に着物姿で、森羅万象を表現する落語の魅力がさらに開拓されそうな予感。
そんな落語が次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐためのイベントにも貢献しているというプレスリリースもありました↓
”笑い”から海の現状を学ぶ「海の落語プロジェクト」長崎県大村市コラボイベント『海のご当地落語イベント』大盛況!
大がかりな装置も必要ないですし、扇子と手ぬぐいという道具があれば演じられる落語って、エコで未来を先取りしたエンターテインメントなのかもしれませんね。(岡崎秀俊)