2年前、大阪・弁天町で、アナログレコードプレーヤーを全客室に設置したホテルが開業したことを耳にしていました。レコード盤がシニア世代のノスタルジーではなくて、音楽を楽しむスタイルとして見直されてきたのかな、と何となく思っていたこともあって、「おっ!」と思ったプレスリリースが…。
スマホをつないで自宅でオリジナルレコードをつくれる組立キット『大人の科学マガジン トイ・レコードメーカー』通常版&Amazon限定版の発売が決定!
…です。
リリースによると…。
いま欧米や日本で「アナログ・レコード」の人気が再燃しています。日本でのレコード生産量は10年前の10倍に増え、有名なアーティストが続々とアナログ盤をリリース。往年のファンだけでなく、若い世代からもファッション性とコレクション性をあわせ持つアイテムとして注目を集めています。本商品はそんなレコードファンの誰もがあこがれる、レコードのカッティング機能を体験できる組立キットです。
…だそうです。
昭和40年代に小学生で、学研の学年誌「科学」の付録を毎月、楽しみにした思い出があり、この「大人の科学マガジン」シリーズも注目して「35mm二眼レフカメラ」も購入した僕としては…
(この組み立て式のカメラを完成させたときにネジが一つ余ったことが未解決のままですが、)
「欲しい。でも、プレーヤーを持ってない」
…と、がっくり肩を落としました。
しかし!
読みすすめると…。
レコード盤の溝には音が刻まれており、その溝を針がなぞることで音を再生します。この溝を刻む(カットする)機械のことをカッティングマシンといいます。高価でかつ入手しにくいこともあり、ファンの間では夢のマシンと呼ばれていました。「大人の科学マガジン トイ・レコードメーカー」は夢のカッティングを体験でき、さらに再生機能を追加した2 in 1キットです。
おおおおっ!!!
「再生機能を追加…」ということはプレーヤーも兼ねているわけです。
かゆいところに手が届いたような心地で、気持ちよく自分のトロンボーンの演奏を録音したレコードの制作を夢想しております。
で、「うん!『Happy Birthday to You』を吹き込んで誰かの誕生日にプレゼントしよう」という美しいアイデアも頭に浮かびました。
誰の喜ぶ顔も想像できませんし、贈られても僕のように「レコードプレーヤーがないがな」というケースも多そうです。
でも、コースターとしても使えそうなんで、まぁいいか、と問題はスッキリと解決。
補足しますと、僕は、ヘ音記号の楽譜の読み方をよく知らないレベルで、40代半ばからトロンボーンを始めました。その年に生まれた甥っ子が今年中学校に入学しているくらいには年季は入っておりまして、演奏のレベルは中学からトロンボーンを始めた吹奏楽部員が初めての中間テストを受ける時期のレベルくらいには上達していると自負しております。ちなみに、これは自慢ではなく、もちろん謙遜でもなく、僕の演奏を聴かれた方の客観的で平均的な評価です。
それはさておき、本当にアナログレコード(以下「アナレコ」と略)は、このプレスリリースに書かれているように、アナレコの人気が再燃しているのでしょうか。この点についてもプレスリリースで検証してみました。
一般社団法人日本レコード協会が12月20日に出したリリース(「2019年11月度レコード生産実績公表」)のリンクをたどると、今年11月のCD全体の生産実績は数量ベースで前年同月の68%と約3割減っているのに対し、アナレコは149%で約1.5倍となっていました。CDとは対照的に右肩上がりのようです。
で、さらにプレスリリースを探索してみると…。
「岡田有希子Mariya’s Songbook」アナログLP重量盤(完全生産限定)発売に際して、各方面からのコメントが到着!
このリリースによると…。
マスタリングエンジニアの多田氏は、アナログ盤の魅力について「生々しさ、音の揺れによる臨場感がある」ことを挙げ、國吉氏は「アナログ盤はどんどんまた聴きたくなる音だと感じました。良い演奏や彼女の歌を今の方たちに聴いてもらえる機会を得たことが本当に嬉しい」と話すなど、その魅力を語り尽くしている。
…そうです。そして…。
TM NETWORK大ヒットシングル2タイトルを7インチ・アナログレコードでリリース!ベスト盤用ファン投票サイトではDJダイノジ、nishi-kenが選んだTMNの10曲も公開!
オーダーメイド・ヴァイナル第5弾は、伝説の90年代アイドルグループ、クレアのベストアルバム、そして結成60周年の ザ・キングトーンズの名曲を初のアナログ化!
伝説のPS用ソフト『クーロンズ・ゲート』のサントラ盤、22年の時を経てアナログ盤としてリリース決定!
…と、きりがないので、これくらいにしておきますが、アナレコが復活しているのは確かなようです。
初アナログ化も含めて復刻が主のようで、楽曲のデジタル配信が音楽ソフト流通の主流となってきた流れのなか、「聴く」だけでなくモノ(パッケージ)として音楽を「所有」したいという需要がなかなか根強いというか、再燃しているといえそうです。
…というわけで、プレスリリースは世相を映す読み物でもありますね。以上、今年最後の「プレスリリース探訪(略称:P探)」でした。(岡崎秀俊)