新聞社に30年と半年、主に記者として在籍した。その間、プレスリリースは最も熱心に読んだ「文書」である。その習慣が抜けないというか、もう趣味になっているというか、2015年9月末に新聞社を離れてからもプレスリリースには目を通している。愛読しているといって過言でないくらいだ。ありがたいことに今は「プレス」でなくてもwebサイトなどを通して「リリース」を読めるのだ。…というわけで、膨大に配信されているなかから、興味を持ったり、気になったり、感心したりしたプレスリリースを紹介していきたい。(岡崎秀俊/プレスリリース探訪家)

100年の歴史をフォトジェニックに

地震とか猛暑とか台風とか…。おまけに警察署からの勾留中の容疑者の逃亡っていうのもあったな。いろんなことに警戒ばかりしていた2018年の夏も終わった。一時は「気温がこのまま上がっていったらクリスマスには50度くらいになるんとちゃうやろか」と、暑さでボーッとしながら、ひとりで昭和の漫才のような定番ボケをかましていたが、自然は偉大や。秋が来た。大阪で電車に乗っていると、どの路線でも車窓から、まだまだビニールシートをかぶせたままの屋根も見えて、心苦しいけれど…。

そんななかで、プレスリリースを見ていて、気になったのが大阪「ひらかたパーク(愛称:ひらパー)」で今月27日から11月25日まで行われる「新・菊人形展-DRESS-」だ。

「新・菊人形展-DRESS-」

メディアやジャンルを問わず活動するクリエイティブカンパニー「ネイキッド」が「ひらパー」とコラボした企画が「新・菊人形展-DRESS-」。海、風、空などの「自然」をモチーフにした菊人形と空間演出を掛け合わせて「フォトジェニックな写真が撮れる展示」をするらしい。つまりインスタ映えする「菊人形展」を開催するのだという。

そもそも、ひらパーの菊人形展って、かつては関西の秋の風物詩だったが、まだ続いていたのか。

今回の菊人形展のプレスリリースによると…。

「ひらかたパークの代名詞でもあった『ひらかた大菊人形』は大正から平成までおよそ一世紀にわたって地域に愛されてきた。平成17年に大規模な菊人形展は閉幕したものの、伝統技術を絶やさぬよう、小規模ながらも文化継承として展示会を行っている」。

…というわけで、続いていたようです。

「かつて昭和40年代に行われていた、舞台上で場面がいくつも切り替わっていく舞台展開の手法『段返し』をデジタルで再現することに挑戦」

菊人形の背景に「特殊なスクリーンを設置し、プロジェクションマッピングを投影する事で菊人形を含む空間が一つの劇場のように見える演出を行います」…というわけで、最先端の技術でレトロ感を演出。とにかくインスタ映えするようなので、詳細はコチラで。

「いいね」をたくさんもらえる写真の秘訣

で、「インスタ映え」といえば、20日に、JR大阪駅直結の商業施設「LUCUA1100」9階「梅田 蔦屋書店」で、インスタグラムで15万以上のフォロワーを持つ人気フォトグラファー、wacameraさんによるワークショップを開かれる。参加者自身のスマートフォンでオシャレな料理を実際に撮影してもらいながら、wacameraさんが「いいね」をたくさんもらえる撮り方や加工の秘訣を伝授するそうだ。詳細は、コチラ

wacameraさん

wacameraさん

「芸術の秋」でもあるので、「ライトアップされた紅葉とアート作品の夜間特別展示が鑑賞できるという「ザ・ナイトミュージアム」も気になる。六甲山上の11会場を舞台に開催中の現代アートの展覧会「六甲ミーツ・アート 芸術散歩2018」の一環として19日から11月11日まで「六甲高山植物園」と「六甲オルゴールミュージアム」で、興味がある方への詳細はコチラ

トリビアも絡めて宝塚公演のまさに舞台裏に迫る

…とまぁ、色々と興味をそそるものは多いのだが、「こんなこともPRするんやぁ!」と意外に感じつつ、じっくり読んでしまったのが、「『第三回 宝塚歌劇 台湾公演』今年も輸送を通じて夢と思いをつなげます!」というプレスリリースだ。

【左】コンテナに収納された大階段 【右】煌紅パネルのコンテナ詰め

【左】コンテナに収納された大階段 【右】パネルのコンテナ詰め作業

運送業務などを行っている「阪急阪神エクスプレス」が今月20日から11月5日まで、台湾の台北市と高雄市で開催される「第三回 宝塚歌劇 台湾公演」の舞台装置や衣装などを輸送するという内容。大階段やパネル、衣装など、輸送対象物の写真は、宝塚ファンでなくても見入ってしまう人は少なくないはず。

さらに作業日程のほか「各国税関で都度通関書類を作成することなく、免税扱いでの輸出入通関が可能となる」という「カルネ手帳」による通関手続きなど、国内外の輸送関係者でないと、一生、知らないであろう「手帳」の存在にもふれている。誰に向けたプレスリリースなのかがイマイチ不明なのだが、今回の公演の輸送が、ドキュメンタリードラマとして成立するような感動を覚えるほど。

そんな感じの有無を確かめたい方はコチラへ。