YOSHIMI(OOIOO)「花形文化通信」NO.97/1997年6月号ボアダムズのドラムス、YOSHIMIがヴォーカル&ギターでステージにフロントとして立つバンド、OOIOO(オーオーアイオーオー)。楽器ができるできないに関係なく、気心知れた女友達を集めて結成したというだけあって、音楽はもちろん、そのコンセプト、ジャケやフライヤーのアート・ワーク、ヘアースタイルに至るまで……YOSHIMIの、バンドを楽しみたい!という姿勢が全面に伝わってくる。メンバー4人のうち3人がYOSHIMIの同郷、岡山出身ということもあってバンド間では誰はばかることなく岡山弁が交錯するものOOIOOならではだしね。

「OOIOOって、それを紙に書いただけでイメージが曼陀羅状に広がっていくやん。タイヤでもドロップでも何でもデザインできるし……」

何でもOOIOOはネオ・ニューウェイヴ・バンドだそうだ。YOSHIMIの考えるニューウェイヴとは?

YOSHIMI(OOIOO)

「とにかく何かに通じなきゃいうのがあるな。ちょんまげと言われてる私らのヘアースタイルにしてもピューッと頭からセンが出てる感じ。私らがヴィジュアルでサランラップを体に巻いてるのはシーナ&ロケッツの『真空パック』からとってるんやけど、シナロケってロッケンロールやんか。でも、ちょっとしたとこにニューウェイヴのウサン臭さが出る瞬間があるやん。具体的に言うてしまうとホワーンと消えていくもんやけど。それがOOIOOのニューウェイヴ道かな」なるほど。メンバー間でもそんな一部始終をきっと楽しんでいるのだろう。

「楽しむというか、演奏しとるときは必死やけど(笑)。余裕なんて全然ない。ほんまドラムって余裕あるよな。全然違うこと考えながら、その運動性の中に入っていけたりするから。いかに私の中でギターを弾きながら歌うということがわざとらしいことかというのがよぉ分かった。ボアであれだけドラム叩いて疲れへんかったりするのに、ギター弾いてると腕の筋がコんねん」

ボアダムズ以外、フリー・キトゥン、スタンディング・アース&タッチング・エアー(小山田圭吾とのデュオ)などでも活動するYOSHIMIだが、OOIOOはやはり特別のバンドのようだ。

「OOIOOでやるのは、ほんまにみんなでできる範囲の曲。なんぼアイディアが頭の中で浮かんでも、頭の中に浮かぶのは粒みたいなもんやから。『キョーコちゃん(身長183㎝あるギタリスト)、5番目の線の16コ目(5弦の16フレット)を押さえてチンチンチンチンチ―――ンてやっといて』とか、そんな感じやから。最初なんて2時間、練習にスタジオに入っても1時間45分は音が出ェへん(笑)。完全に機材にナメられとったから。でも、最近は5分くらいで音出るようになったな。一歩一歩前進してんねん」

粒、5番目の線の16コ目、一歩一歩……といったイメージがOOIOOに見事に収束されていくから不思議だ。さぁ君もOOIOOをループせよ。

取材・執筆・写真 石原基久

「花形文化通信」NO.97/1997年6月1日/繁昌花形本舗株式会社 発行)