大人のめがね男子は、藤本由紀夫さん。アーティストです。
いま、大阪・難波の「ギャラリーほそかわ」で、林勇気さん(前回のコマまわしに登場)との、光をテーマにしたコラボ展覧会「Yuzu Muge」が開かれています。テーマは光。
「融通無碍」っていいタイトルでしょう、と藤本さん。仏教の言葉なんでしょ?融通無碍って。別々のものがとけあっているけれど、それぞれがさまたげることなく自由にいる……。
ゆらめく光は、林さんの映像作品。スマホを触る指の輪郭をトレースした光の線が重ねられていて、それが左右から正面の壁に映し出され、動いています。縦長に映る光も微細で見飽きない。
藤本さんが並べたのは、キャンバスに押しピンのようなもので穴をあけて文字を書いた作品。これまでにも発表しているけれど、今回のは裏側から光を当てているのが新しい試み。ライトボックスの上にキャンバスを置いてあるので「透かし絵」みたい。
穴をあけたキャンバスの作品は、文字を見ているとはいえ、穴を見ていることになるから、穴の向こうの暗闇の壁を見ていることになる。でも、これだと、穴の向こうから光が目に飛び込んでくる。そしてキャンバスはこんなにも「布」だったのか、とその素材感を改めて知る。
こりゃ、フォンタナもびっくりかもね。
しかし、この、電気コードを真下に垂らす展示って、ボ、ボルタンスキー!?
by 塚村真美
林勇気x藤本由紀夫展「Yuzu Muge」は6月8日まで。