熱海「起雲閣」にて(2021年3月14日)花形文化通信インタビューより

巻上オフィスから、おめでたいニュースがとどきました。


巻上公一がFOUNDATION FOR CONTEMPORARY ARTS (FCA)の
2024年度芸術家助成(Grants to Artists )に選出されました。


ニューヨークのFOUNDATION FOR CONTEMPORARY ARTSの2024年度芸術家助成(Grants to Artists )に、音楽家・詩人の巻上公一さんが選出されました。昨年2023年度に、音楽家の灰野敬二さんが受賞されて話題となった賞です。

FOUNDATION FOR CONTEMPORARY ARTS (FCA)は、1963年にジャスパー・ジョーンズとジョン・ケージによって設立されたそうです。当時パフォーマンス・アートの現状を憂慮した67人の画家と彫刻家が、パフォーミング・アーティストのために展示・販売する自らの作品を寄贈したことが始まりとか。

始まりは、1962年、ジャスパー・ジョーンズ、ジョン・ケージ、ロバート・ラウシェンバーグをはじめとする画家や彫刻家たちが、マース・カニングハムと彼のダンスカンパニーがブロードウェイで公演するための資金集めのために、彼らの作品の販売を手配。その資金調達活動は大成功を収め、資金に余裕ができたので、ジャスパー・ジョーンズとジョン・ケージによってFOUNDATION FOR CONTEMPORARY ARTS が設立されたのだそうです。

いい話。以来、1000人以上のアーティストたちが絵画、彫刻、ドローイング、版画を寄贈してきて、財団の助成プログラムを支援してきたようです。アーティストのためにアーティストによって設立され、維持されている唯一の機関だそうです。

今年はダンス、音楽/音響、パフォーマンス・アート/演劇、詩、ビジュアル・アートの各分野で活躍するアーティストに一年で計100万ドル以上を授与する予定とのことで、今年は、巻上さんなど23人の現代アーティストが現代芸術財団からそれぞれ45,000ドルの無制限の助成金を受け取ります。助成金は、アーティストがあらゆる芸術的活動に取り組むための、日々の経済的重圧を軽減することが目的だそうです。ますます巻上さんは活動に力が入ることでしょう。

それにしても、昨年の灰野敬二さんといい、巻上公一さんといい、どんな風に選考されているのかと思いますが、選考方法は内密らしく、アーティストの過去何十年かの活動について半年以上かけて調査された上で決定されるということらしいです。

過去10年の日本人の受賞者には、2013年Grants to Artistsとして山﨑広太(ダンサー、コレオグラファー)、2017年Grants to Artistsとして笹本晃(ビジュアル・アート)、2018年ジョン・ケージ賞として一柳慧(作曲)、2023年ロイ・リキテンシュタイン賞として灰野敬二(音楽)ら6人がいます。

巻上オフィスによると「巻上公一は、ソロ・パフォーマンス、ヒカシューとのパフォーマンス、その他のコラボレーション・レコーディングやパフォーマンスについて、拡張されたボーカル・テクニックの革新性と、長年にわたる喉歌などの声楽の伝統を実験的なボーカル・パフォーマンスに取り入れてきた方法について評価されました」とのことです。

巻上さんからのコメントは以下の通り。
「日々スパムメールが来る中で、危うく捨てそうになったメールがFCAの受賞の知らせだった。
財団の趣旨が素晴らしく、アーティストがアーティストのために設立したということに、感動します。
そして自分の活動をどこかでみてくれて、評価してくれる人がいるということに勇気づけられます。しかもニューヨークです。
FCAには感謝です。誰かわかりませんが、推選してくれたアーティストや承認してくれた理事の皆さん、本当にありがとうございます。
日本にもこんな財団があったらいいなと思います」以上。

また、3月には受賞記念ライブが開催されるとのこと。
3月12日(火)代官山・晴れたら空に豆まいて
巻上公一:声の贅沢なソロと詩のパーティー
ゲスト:管啓次郎(詩人 比較文学者)
松丸契(サックス)

巻上さん、おめでとうございます。

by 塚村真美