タチアオイとひょうたん—ヤマミーさんの観察
by 丸黄うりほ
ヒョータニスト仲間のなかでも、とびきりの観察眼とユニークな発想にいつも感心させられる和泉市のヤマミーさん。そんなヤマミーさんが昨年から取り組んでいるのが、タチアオイとひょうたんの開花時間を探ること。
奈良時代から平安時代にかけて行われていた宮中行事「相撲節会(すまひのせちえ)」では、東の力士が勝つとアオイの花、西の力士が勝つとひょうたんの花をそれぞれ自分の髪にさして退場するという慣わしがあったのだそうです。アオイの花は朝咲いて夕方にはしぼんでしまう。反対に、ひょうたんの花は夕方咲いて翌朝にはしぼんでしまいます。とすると、「相撲節会」が行われていたのは、両方の花が咲いている時間帯だったのではないか?それは何時頃になるのだろう?
……その疑問を実際に両方の植物を育てて観察してみようというのが、ヤマミーさんのチャレンジでした。
ところが、昨年植えたタチアオイは花が咲きませんでした。どうやらタチアオイには一年草と二年草があり、ヤマミーさんが植えたのは二年草のほうだったらしいのです。(「ひょうたん日記」769日目、 806日目)
そんな2年越しの観察が、意外な展開となりました! 5月20日に、ヤマミーさんが庭に植えたタチアオイの花がついに咲いたのです。
前日から咲きそうな気配がしていたので、当日は早朝から待ち構えていたそうです。写真①が朝5時半のようす。まだ蕾ですね。蕾が開いてきたのは12時半ごろ。写真②は13時半ごろのようすです。そして、写真③は19時半ごろ。花がしぼんできたのは、20時15分ごろでした(写真④)。ちなみにこの日の日の出は4時52分、日の入りは18時57分。
早朝咲いて夕方しぼむと思っていたタチアオイの開花時刻は、予想とは異なる結果となりました。
さらに写真⑤をご覧ください。こちらは翌日のようすです。1日花だと思っていたタチアオイは、なんと2日たっても咲いたままでした。結局、そのままで5日間も咲き続けたそうです。
「タネから育てて2年、蕾がついて楽しみに咲くのを待っていたタチアオイ。びっくりする。開花時間思っていたのと違う。(中略)栽培してよかった。思っていたのと違うってなんて面白いんやろ。百聞は一見にしかずやわ」と、ヤマミーさん。
タチアオイの花については引き続き観察を続けていくということですが、もしも「相撲節会」が行われたのがヤマミーさんの推測通り両方の花が咲いている時間帯だとすると、今回の結果から導き出されるのは早朝ではなく夕方が有力候補になりそうですね。
さて。ここでタチアオイのライバルである、我がひょうたんたちのようすもお伝えしていきましょう。
同じく5月20日、ヤマミーさんはひょうたんの苗の定植を行いました。今年はオオナガユウガオ1苗と、百成2苗、千成2苗でスタートです。
「鹿児島県の与論島に伝わる吸いふくべ(チブルビキ)という癒しの施術に、ナガユウガオが使われていたかもしれない」
こちらもヤマミーさんのそのような推測に基づいて、去年に続いての栽培です。今年はしっかりとした木の枠がプランターの周囲に張り巡らされていて、去年以上に行き届いた準備ができています。(写真⑥)
百成と千成は、いつも通りのプランターと園芸ネットで栽培。4枚ほど出た本葉はつやつやした濃い緑色で、いかにも健康そうです。(写真⑦⑧)
苗ごとの命名はこれからだそうです。全員すくすくと育ってくれますように。
そして、今年こそタチアオイとひょうたんの花のダブル開花が見られますように!
(985日目∞ 5月26日)
※次回986日目は奥田亮「でれろん暮らし」5月29日(月)にアップ。
987日目は丸黄うりほ「ひょうたん日記」、5月30日(火)にアップします。