ワタの花とひょうたんの花

by 丸黄うりほ

①午前7時。アオイ科の植物、ワタの花が開きました

②同じく午前7時。ひょうたんの花はまだ咲いています

③時間が経つと、ワタの花はだんだんとピンク色に

④午後5時。ひょうたんの花はまだ咲きません

⑤翌日。ワタの花は濃いピンク色に変色(左)

⑥タチアオイは花が咲かず。どうやら二年草だったようです

8月4日は、旧暦の七夕でした。この「ひょうたん日記」をずっと読んでくださっている方はもうピンときましたよね。そうです、大阪府和泉市のヒョータニスト、ヤマミーさんの「大人の自由研究」の結果をお知らせしたいと思います。その内容については6月19日の「ひょうたん日記」に詳しく書いたのですが、ここでも少し説明しておきますと……。

ヤマミーさんは、奈良時代・平安時代の宮中行事「相撲節会(すまいのせちえ)」が、旧暦の七夕の日に行われていたこと。そして、西の力士はひょうたんの花を、東の力士はアオイの花を、勝利の花として髪に飾って退場したことを知りました。ひょうたんの花は、夕方開いて朝にしぼむ一夜限りの花。反対に、アオイは朝咲いて夕方にはしぼんでしまう1日限りの花です。それなら、「相撲節会」は両方の花がきれいに咲いている時間帯に行われていたはずです。

いったい何時ごろに行われていたのでしょうか?

その謎を解明すべく、ヤマミーさんは実際に両方の植物を育ててみることにしました。

ひょうたんのほうは、6月から花がつき始め、8月に入った今も花盛りだそうです。

しかし……。

タチアオイはなかなか花が咲かず、結局8月に入っても咲きませんでした。よく調べてみると、どうやらタチアオイには一年草と二年草があることがわかったのだそうです。そして、今年ヤマミーさんが育てていたのは二年草のほうだったらしい。なんと、「大人の自由研究」は来年に持ち越しということになってしまいました……。

しかし、このお話はこれで終わりではありません!ヤマミーさんは、タチアオイと同じアオイ科の植物が、ほかにも自宅の庭にあることに気がつきました。ワタと、オクラと、モミジアオイです。そこで、ワタの旧暦七夕の開花時間を調べてみることにしたのです。

写真①は、午前7時ごろのワタの花です。とてもきれいに咲いていますね! そして、写真②は同じく午前7時のひょうたんの花。まだきれいです!

ひょうたんの花は、午前11時ごろになると花びらが茶色くなり、正午にはすっかりしぼんでしまいました。いっぽう、ワタのほうは時間がたつとだんだんピンク色に変化してきました(写真③)。

午後5時、ワタの花はしぼんでしまいましたが、ひょうたんの花はまだつぼみのままで開いていません(写真④)。咲き始めたのは午後6時ごろ。一方、ワタの花は翌日になると濃いピンク色に変化しました(写真⑤、左)。

面白いですね。この観察からヤマミーさんがひとまず出した答えは、「午前7時ごろなら両方の花がきれいに咲いていた」ということでした。

ということは、「相撲節会」は早朝に行われていたのでしょうか?

今年はワタとひょうたんの花の比較でしたから、まだ結論とはいえません。来年は本命のタチアオイで同じ観察を続けてほしいなと思います。どんな結果となるか? 今度こそ、わくわくしながら待っていますよ!

(806日目∞ 8月9日)