いきなりひょうたんから始まって虚をつかれました

by 奥田亮

定植後、じっとしているひょうたん。シンキングタイム?

撮影オッケーのアンコールタイム。赤〇印のところにひょうたん笛! 吹いてくれたのに撮影間に合わず!

たくさんあったひょうたんの苗も、もらってくれる人が少しずつ見つかって、あと少しでなくなりそうです。初めて栽培に挑戦する人もあり、どんな結果になるかはわかりませんが、もらわれた先で元気に育ってくれるようお祈りしています。

定植した4つの苗は、特に変化もなく静かです。定植後の2週間ほどは、いつもなんだか静かに黙り込んでいて、「で、どうなんよ?」と声をかけたくなります。きっとこの期間、根っこが一生懸命、土や微生物と対話しながら新しい環境になじんでいっているのかな。この沈黙の期間を過ぎると、急に蔓が伸びだし、あれよあれよと大きくなるのです。

さて、先週ご紹介した五十嵐あさかさんのソロコンサート「チェロと声の音楽会〜音みる夜vol.8」に行ってまいりました。毎年、今年こそは聴きたいと願いながら、8回目の今回、ようやく来ることができました。会場はルーテル市ヶ谷センターにある、キリスト教会らしい品格とちょっとレトロで落ち着いた佇まいの小さなホール。開演前の舞台の中央にはチェロと譜面台と机が置かれています。その机の上に丸味を帯びた小さな黄土色の物体が載っているのを私は見逃しませんでした。ひょうたん笛に違いありません!

小さいギター(ギタレレ?あるいはレキント?)を持って登場した五十嵐さん、ギターを弾くと思いきや、ポケットから何か出してきてシャカシャカ振り始めました。プラスチックのお猿マラカスとひょうたんマラカス! いきなりひょうたんから始まって虚をつかれましたが、緩くて楽しい曲が笑いを誘い、会場の空気が一気に柔らかくなりました。

音楽会は、五十嵐さんがこの1年間に作曲・演奏をされた曲を中心に展開していきます。チェロ、ギター、声、歌、と緩急硬軟織り交ぜながらの展開はとても刺激的で、あっという間の75分。最近しぼみかけていた音楽への意欲が、少し甦ってくるようでもありました。もっとも、あまりの心地よさに睡魔に襲われる人も多いとか。でもそれもまた、よい音楽がもつ特性なのかも知れません。

ひょうたん笛は、ドキュメンタリー映画『日本刀の美』の挿入曲として作られた「森へ」という曲の冒頭で使われました。小鳥やフクロウの鳴き声のような音が森の情景を浮かび上がらせます。少しくぐもった素朴な音色が舞台に心地よく響きわたりました。ひょうたん、なかなかええ仕事してくれました。いや、五十嵐さんのセンス故、というのは言わずもがなですが。

会場には、なんとホーメイの和田史子さんも来られていて少しお話することができました。コンサート終了後は打ち上げに呼んでいただき、五十嵐さんとも数年ぶりの旧交を温めることができました。何かまた新しい動きが起きそうです。でれろん。

(980日目∞ 5月19日)