私の家はいま、海岸沿いに建っている……。
by 丸黄うりほ
人の心は不思議。プラシーボ効果という言葉がありますが、有効成分が含まれていない薬剤を効果があると信じて飲むことによって、症状の改善や副作用の出現がみられることがあるといいます。心は自分で自分をだましちゃう!わりと適当なんですね。
さて。私はいま自分の家が海岸沿いに建っているのだと夢想しています……。実際は、大阪市内の賑やかなところに住んでいるんですが、心の中の自分の家は、海岸線が見える、静かな白い砂浜の傍に建っています……。
波に洗われて丸くなった石ころや、きれいな色をした貝殻がたくさん海岸に打ち上げられています。なかには、ホンダワラなどの海藻も混じっています。あっ、これは魚の死体じゃないか。うーん、すごく生臭いね。でも自然の厳しさってこういうものだよね。海ってこういう臭いだよね……。
昨年末(「ひょうたん日記」12月27日)、水浸けを開始した千成ひょうたんは、約3週間たって、魚が死んでいる海の臭いで我が家をたっぷりと満たしています。
写真①は、その臭いの発生源である「ゴミ箱システム」です。ビニール袋の覆いをぱかっと外すと……(写真②)。
げっ!こんなものを見せて失礼しました。しかし、画面から臭いが伝えられないのが大変もどかしい。暴力的ともいえるこの臭いを、あなたにも感じて欲しかった……。
私は、この水の下に沈んでいるひょうたんたちを、これから洗わなければなりません。重しを外してみると、ネットに入れたひょうたんの塊がふわーっと浮いてきました。まだ十分に中身が腐っていないのかなと思いましたが、触ってみると表皮はぺろんとめくれます。日数的にももういけるはず。
ひょうたんをバケツ2つに移し、タワシで表皮をこすりとりました(写真③)。割り箸を穴につっこんで、中をぐりぐりとかき回してから、中身のタネとワタを振り出します(写真④)。
いつもは、ここでもう一度ひょうたんの中に水を流しれて、さらに振り出しを続けるんですが、なんせ今回は100個もあります。1個ずつ丁寧にそれをやっていると疲れ切ってしまう。
というわけで、とにかく1回振って、それで出てくる中身だけをひたすら出していくことにしました。
私はいま海の家にいて、海産物を洗っている……。ムール貝がいっぱい獲れたのよ。新鮮なイカも。これでペスカトーレを作りましょう!
あっ!ひょうたんくんがゲロを吐いたよ!(写真⑤)
違う違う!ここは海の家よ!海岸沿いのお家なのよ!
ひょうたんのタネとワタは、まだまだ中にいっぱい残っているようで、持ってみると重い。でも、きょうこれ以上振り出し作業を続けると、肩を傷めてしまいそうです。
私はひょうたんたちを洗濯ネットの中にもどし、再び「ゴミ箱システム」の水のなかに沈めました。(写真⑥⑦)
(911日目∞ 1月20日)
※次回912日目は奥田亮「でれろん暮らし」、1月23日(月)にアップ。
913日目は丸黄うりほ「ひょうたん日記」、1月24日(火)にアップします。