ひょうたんを食べてみた〜瓢道の山場へ

by 丸黄うりほ 

①お皿にのせたのは、ひょうたんの蔓、タネ、皮、中身のワタ

②小さくて硬いひょうたんに穴を開けようとして、崩壊(涙)

③最後に残ったかわい子ちゃんの穴あけ

④ついに100個の穴開け完了!

⑤ネットにひょうたんを入れて、水浸けへ

⑥ゴミ箱にカゴとコンクリートブロックをセットして、湯を注ぎ入れます

⑦全部終わった後に、落ちこぼれのひょうたん発見

⑧この4個は、自然乾燥させることに

気がつけば「ひょうたん日記」は900日目となりました。いつも読んでくださっているみなさま、本当にありがとうございます。

888日目で煩悩の数にちょっと足らない105個の千成ひょうたんを収穫し、先週金曜日の898日目では、その穴あけ作業と人体実験を開始。ひょうたん豊作は大変うれしいものですが、同時に修行である。そのことを身をもって実感している年の瀬であります。

さて、きょうはその人体実験の続きを書いていきますね。

お皿にのせてみたのは、ひょうたんの蔓、タネ、皮、ワタの4部位でした(写真①)。まず舐めてみたのは蔓です。これは特に味がなく、硬かったので食べるのはやめました。

次に口に入れてみたのが、タネ。おそるおそる口に入れたとたん、強烈な苦味を感じました。ゴーヤやキュウリの苦味なんてもんじゃありません。舌がタネに触れたところがぴりぴりするくらいの危険な苦味でした。噛み砕く勇気はでず、舐めるだけにしました。

続いてひょうたんの皮の内側を舐めてみました。これもタネと同じ。苦味を通り越してぴりぴりとカラい! いつだったか、ひょうたんを栽培していた小学校で、毒があることを知らなかった先生が生徒にひょうたんを食べさせて中毒になったという事件がありましたが、中毒以前に、子どもにこんな苦いものを食べさせるなんて虐待なんじゃないでしょうか!? よくこれを我慢して食べましたね、子どもたち!

さて、いよいよ本命の中ワタに挑戦です。今年のひょうたんは完熟していたために、ジューシーな白い果肉はほとんどドリルについて出てきませんでした。なので、少し黄色っぽくなった硬めの果肉です。ほんの1センチほどのかけらですが、二つほど、勇気を出して……飲み込みました。

口に入れた瞬間は苦かったですが、飲み込んでしまえば苦い薬を飲むのと同じような感じ。お口直しに水を飲んでおきました。これで完了。

しかし……。

恐怖はこれからです。

ひょうたんを食べると苦味成分ククルビタシンが作用し、おなかがいたくなり、強烈な下痢になるといいます……。毒が回ってくるのは数時間後でしょう。私はふだんから胃腸が弱くて下痢気味なので、本心では怯えつつ、恐怖を紛らわすためにひょうたんの穴開け作業を続けることにしました。

ちょうどその時までに穴開けが終わっていた実は30個ほど。あとまだ70個ほどあります。すでにだいぶ疲れていましたが、そのまま放っておくとやる気がなくなりそうなので、頑張りました。

それにしても今年のひょうたんは硬い。千成ひょうたんでも大きめのものはまだドリルを通しやすいのですが、小さくて硬いものほど難しい。力を入れないと穴が開かないのに、入れすぎるとばきっと割れてしまうのです(写真②)。ああ、もったいなくて泣きそうです。

さらには手がすべってキリでぐさっと左手の指を突きました。傷は小さいけど深くてかなりの流血です。写真は自粛しますが、右手にも気がつくと3カ所に切り傷が。ドリルを力いっぱいひょうたんに押し付けていたために、右手親指の付け根には大きな水ぶくれもできてしまいました。

文字通り血と涙を流し、ぐちゅぐちゅになりながら、私はひょうたん100個の穴開け作業を続けました。変なところに力が入って、肩や腕の内側の筋肉もしびれてきましたが、ついに終わりが見えてきた!

……最後に穴を開けたのは、例のかわい子ちゃんでありました。

どこに穴を開ければいいだろうか、どこにも穴を開けたくないと迷った末、なんだか半分ヤケになってお尻にしました。(写真③)

ああ、やっとこれで全部のひょうたんに穴が開きました。(写真④)

*****

作業を始めたのは昼過ぎでしたが、すでに外は暗くなり始めていました。私は物置へ行って、去年作り上げた「ひょうたん水漬けゴミ箱システム」を引っ張り出してきました。そして、それを風呂場へ運びます。

大きな洗濯ネットにひょうたんを全部入れて、ゴミ箱の底へ(写真⑤)。そこに、ゴミ箱にちょうど合うサイズの洗濯カゴをセット。カゴの中にコンクリートのブロックを2個並べて、60℃のお湯をブロックがつかるくらいまで注ぎ入れました。こうしておけば、ひょうたんが浮き上がってくるのを押さえながら、ひょうたんを押しつぶすことなく水に浸けることができるのです(写真⑥)。

早くも、ブロックの表面にはぽこぽこと空気の泡が浮かんできました。ひょうたんの空洞に水が入っていってる証拠ですね。こうやってしばらく漬けておくと、ひょうたんは腐敗し、すさまじい臭いを出し始めます。その臭いがもれないように、二つ折りにしたゴミ袋を被せ、カゴの取っ手にひっかけて留めました。

これで全部の作業が済んだ……。次は腐敗、いよいよ瓢道の山場を待つばかりだ……と、ちょっとほっとしていたら、風呂場の床に1個、洗濯ネットに入りそびれたひょうたんが残されて、転がっていました。(写真⑦)

落ちこぼれを拾ってネットに入れてやり、再び「ひょうたん水浸けゴミ箱システム」を、がちゃん!とセット。ただし、皮の薄い小さなひょうたん4個は水浸けにせず、そのまま乾燥させることにしました。(写真⑧)

はー、やっと終わった。

空には星がまたたいていました。

ずいぶん時間がかかりました。キリで突いてしまった指と水ぶくれがとても痛みます。私は、おなかがすいてきたのに気がつきました。……あれ?下痢は?

(900日目∞ 12月27日)