これはぜひ一度作ってみなくてはなりません
by 奥田亮
遅ればせながら、あけましておめでとうございます。新年最初の「でれろん暮らし」です。本年もよろしくお付き合いください。年末に計画した雪の下ひょうたんは、その後まとまった雪が降らず、暖かい日が続いているのでまだ実現できそうにありません。その間放置したままの刳り出しIPUは、なんだか緑が濃くなっているような気がします。何でだろう?
スワロー亭は、地域の商工会の慣わしにて、年末から紅白幕を店先に飾っております。今年は何か新味はないものかと、ひょうたんをぶら下げてみました。お約束とはいえ、おめでたい感じになりました。
そんなひょうたんに導かれて、ということでもないと思いますが、新年早々マレビトがお出ましになりました。その方は、普通にお客さんとしてお店に入って来られ、しばらく本を眺めていたのですが、漂う空気に何か近しいものを感じていました。そうしたら、「あの〜」とこちらに話しかけて来られ、聞けばホーメイなどトゥバの音楽を演奏されておられる鎌田英嗣さんという方でした。チャスチャイクスキシュというユニットやソロなどで活動されているミュージシャンです。ああ、やっぱりそっち方面の方だったんだと合点がいきました。共通の知り合いもたくさん。一気に話が盛り上がりました。しかも、肩に掛けていた細長い袋からイギルが出てきたではありませんか。
こうなるともう、ひょうたん楽器を出して来ざるを得ませんよね。他にお客さんもいなかったので、しばしの共演タイムと相成りました。イギルを弾きながらホーメイを唸っているところに、私が先日改造して生まれ変わった《べんべん》で適当に絡んでいきました。イギルのキーがDに対し、べんべんはG。微妙に合っているような合っていないような不思議な浮遊感のある共演となりました。暖かくなったらライブを企画しましょうということで楽しいひと時は終わったのでした(残念ながら写真を撮りませんでした)。またご縁がつながるのが楽しみです。
いきなり倍音音楽で始まったお正月。倍音繋がりでこじつけるようではありますが、1月13日の丸黄うりほさんの「ひょうたん日記」で紹介されていたカンボジアの一弦琴もまた、ハーモニクス奏法で倍音を駆使する不思議な楽器。ひょうたん博士の湯浅浩史先生が昨秋、現地で見つけて来られたというこの楽器、kse dievという名前らしいのですが(なんと読むのかもよくわからない)、高音の倍音をひょうたんに共鳴させてメロディを奏でるという楽器は他に見たことがないような気がします。
そういえばベトナムのダンバウもひょうたんの大きさこそ違え、倍音をひょうたんに共鳴させるという発音方法はよく似ています。どうしてアジアのあの辺りにこのような楽器があるのか、何か共通のルーツがあるのでしょうか。それはさておき、これはぜひ一度作ってみなくてはなりませんね。ちょうど去年できたUFOが、形も大きさもバッチリそうです。もっとも、いつ取り組むのかもまあ気分次第なので、そこはひょうたん的ということでお許しください。と言いつつ気が向けばすぐに取り掛かるかもしれませんが。どっちやねん、でれろん。
(907日目∞ 1月16日)