真理さんのシェケレ①双子のひょうたん選び
by 丸黄うりほ
今年6月のある日のことです。何気なくフェイスブックを見ていた私は、思わずその投稿写真に目が奪われ、そこから離れられなくなりました……。
それは、色とりどりのビーズをまとったひょうたんたち。投稿者のお名前は、「坂本真理」さん。
その写真をシェアされていたのは、打楽器奏者の渡辺亮さんでした。渡辺亮さんには、2019年12月に自分が企画したひょうたんイベントに出演していただいたこともあり、その様子については「ひょうたん日記」179日目(2019年12月23日)にも書いています。渡辺さんとはその頃からフェイスブックでもつながらせていただき、いつも投稿を楽しみに読ませてもらっているのです。
渡辺さんと坂本さんはミュージシャン同士で、同じユニットで活動されることもあるようでした。
私は、リアルで会ったことのない方にはネット上であまり話しかけないように気をつけているのですが、すっかり坂本さんのひょうたんに魅せられてしまいました。
「この美しいひょうたんたちは、坂本さんが自分で作っておられるシェケレなのだそうだ……。いろんな形や大きさのものがあるけれど、いったいどうやって作ってらっしゃるんだろう? 」
そんな思いが止まらなくなり、ついその投稿に書き込みをしてしまったのです。すると、なんと坂本さんのほうから友達リクエストをくださり、すぐにつながらせていただくことができました。さらに何度かメールでやりとりをさせていただくうちに、「デイリーちくわ」の児嶋佐織さんともお知り合いだとか、坂本さんは東京にお住まいだけれど、演奏のお仕事でときどき京都に来られることもあるという情報をいただきました。「それなら今度京都に来られたときに、ご挨拶できたらいいな」と、ぼんやり思っていたのですが……。
9月になって、私は渡辺亮さんを含む3人組ユニット「楽団あまぎつね」のライブを見に京都に行く予定であることをフェイスブックに書き込みました。そのことがきっかけで、次回12月12日に開催される「楽団あまぎつね」のライブのときに「京都で会いましょう!」ということに。しかも、そのときにシェケレの作り方まで教えてくださるというのです。私にとっては思いがけない急展開でしたが、坂本さんは最初からそのつもりでいてくださっていたようです。
しかし、作り方を教わるとなると道具や材料も必要ですし、まずは場所が必要です。坂本さんと何度かやりとりをさせてもらっているうちに、シェケレを作るのは大変時間がかかることもわかってきました。それに、とても器用とはいえない私の手で、本当に作ることができるのか?
知れば知るほど奥が深く、とても難しい楽器だということもわかってきたのです。おまけにちょうど仕事が詰まってきていて、時間の余裕もあまりありません。
そんな私の不安を感じ取ってくださったのか、坂本さんは「同じくらいの大きさのひょうたんを二つ用意してください」と提案してくださいました。片方は坂本さんが東京に持って帰り、同じ材料で作って、ポイントなどをリモートで教えてくださるというのです。「楽団あまぎつね」ライブ観覧という目的があるとはいえ、京都まで来てもらうだけでも申し訳ないのに、そんな至れり尽くせりなご提案に、甘えてしまっていいものなのか……。
というわけで、私は自宅にある全ひょうたん在庫をチェックして、できるだけ似た形の「双子のひょうたん」を探しました。どんなひょうたんがシェケレに向くかもわからないので、形、サイズ、皮の厚みの異なる4組を選出。
写真③は、一昨年ベランダで栽培した大ひょうたん(百成)の「ティトゥス」の実です。皮はやや薄めですが、表面はつるつるしてきれい。写真④は3年前の大ひょうたん(百成)「ウェスパシアヌス」の実。大きさは「ティトゥス」の実と同じくらいですが、皮が厚くてしっかりしています。写真⑤はもっと前に作った千成ひょうたんで、写真⑥もだいぶ前に育てた鶴首ひょうたんです。
全員集合写真⑦を撮ったあと、私はひょうたんたちを大きな袋に入れ、電車に乗って京都へと向かいました。
(891日目∞ 12月14日)
シェケレやチェケレほか、ひょうたんで作られた楽器については【花形文化通信インタビュー|植物学者 湯浅浩史 その3/5|ひょうたんは楽器の原点】へ