最後にご褒美のようなうれしいプレゼント

by 奥田亮

いまだにそのまま放置されているうちのIPU。

今年のユカリさんのIPU。発芽から乾燥まで。いい音がします。

12月に入って急に寒くなってきました。このあたりの今朝(3日)の予想最低気温は1℃でしたが、実際には氷点下だったようで、貯水バケツに氷が張っていました。初氷。空から白いものが舞うのも時間の問題です。収穫したIPUは、結局いまだにそのままで、寒くなってきてしまったので、水に浸けるのもなあ……、といって、底を切断して中をえぐり出すという荒技もなぜかどうしても躊躇してしまって、毎朝眺めてはう〜んどうしようと先送りにして今日に至っております。とうとうIPUの頭が黒くなってきてしまいました。ああーどうしましょう。この際バッサリやってしまってもいいかとは思いつつも、やっぱりちゃんとした形を一度は見ておきたいという気持ちを払拭できないのであります。

さて、このIPUのタネをいただいたのがユカリさんです。そのタネは丸黄さんをはじめ関西の皆様にお分けしたわけですが、当のユカリさんは今年も順調にIPUを栽培され、立派な美しいIPUを完成させておられました。先日、SNSにアップしておられた画像と動画(Instagram)をご紹介させていただきます。画像を拝見すると、できた実の先の部分をけっこう大胆にバッサリ切って水浸けされたようです。ユカリさんの場合、最初からフラダンスの打楽器としてのIPUを、タネから栽培して作りたいという思いがおありなので、この方法は理にかなっています。そうして出来上がった楽器IPUは、とてもいい音。

ユカリさんは来年、別の形のひょうたんも育ててみたいとのご意向です。IPUを育てた皆様、ぜひいろんな品種のタネをお譲りください。これはもう「ひょうたん種バンク」をやらないといけませんね、丸黄さん。

ところで、小布施町立図書館で小学生たちと栽培していたひょうたんはどうなったでしょうか。ご報告をしていませんでしたが、11月11日に収穫し、穴あけと水浸け、25日に水から出して乾燥、そして1週間後の12月2日には乾燥したひょうたんで何かを作ろうということになったのでした。ちゃんと乾燥できたのは小ぶりの千成が6個ぐらい。ランプを作りたいという子どもと、キーホルダーを作りたいという子どもがいて、それぞれに作りました。ただ、やはり1週間では中が生乾きで、穴を開けてワタと種を出すと、ぷ〜ん。うへぇ〜、くっせ〜。匂いに敏感な子は、もう無理と、早々に退散です。まあ無理もないですね。ランプはいい感じにできましたが完成品の写真を撮り忘れてしまいました。

図書館で栽培したひょうたんで小さなランプを作りました。

そんなこんなでけっこう充実の瓢活ウイーク、最後にご褒美のようなうれしいプレゼントがありました。前号でご紹介した自治会のスタンプラリーで初めてうちのお店を訪れたご婦人が、今週また訪ねてくださり、「これを……」と紙袋を手渡してくださったのです。見てみると、なんと年季の入ったいい感じのひょうたんがゴロゴロ! 先週お越しくださった折、飾ってあったひょうたんを見て私が瓢狂いだということを知り、自分の家のタンスの上に放置していたひょうたんを謹呈してくださったのでした。「昔一回だけ作ったんだけど、臭いから一回でやめちゃったのよ」とのこと。あぁそうですよねぇ、臭いですよねぇ。これいただけるんですか! ありがとうございます!

いただいたひょうたん。いい形ですね。色もいい。左の大きいのはダルマでしょうか。

褐色に変色した飛鳥美人と思しき流麗な形のぐんなりとひょうげたその姿まことにひょうたんらしく、ああ、やっぱりひょうたんはこれですよねぇとひとりほくそ笑んでおります。ひょうたんから駒ならぬ、ひょうたんからひょうたん。いや、いいものをいただきました。でれろん。

(884日目∞ 12月5日)

  • 奥田亮 ∞ 1958年大阪生まれ。中学生の頃ビートルズ経由でインド音楽に触れ、民族音楽、即興演奏に開眼。その後会社に勤めながら、いくつのかバンドやユニットに参加して音楽活動を続ける。1993年頃ひょうたんを栽培し楽器を作って演奏を始め、1997年「ひょうたんオーケストラプロジェクト」結成、断続的に活動。2009年金沢21世紀美術館「愛についての100の物語」展に「栽培から始める音楽」出展。2012年長野県小布施町に移住し、デザイン業の傍ら古本屋スワロー亭を営む。2019年還暦記念にCD『とちうで、ちょっと』を自主制作上梓。