これはもう全然違う楽器になってしまった

by 奥田亮

図書館のひょうたんの収穫と水浸け

11月も半ば。いろいろ忙しくて放置したままだった図書館のひょうたんを小学生たちとようやく収穫しました。小さな千成はもうすっかり乾燥していて、水浸けしなくてもいいぐらいでしたが、UFOとちょっと大きめの千成は穴を開けて水に浸けました。子どもたちの初瓢臭体験、どうなりますことやら。2週間後が楽しみです。

さて、先週の続き、《べんべん》の改造のその後です。どんな改造をしたのかといいますと、ボディに穴を開けて響きを変え、2弦だったのを4弦(3弦+1弦)にしたわけです。3弦+1弦というとちょっとわかりにくいですが、まず2弦を3弦(三味線風)にし、さらに1弦、高音の開放弦を付け足しています。この1弦は他の3弦とは少し離れた位置に張っています。これは、4弦バンジョーに高音の1弦を加えた5弦バンジョーを参考にしたもの。

一通り改造が終わり、あとは弦を張って弾くのみとなったのですが、さて、その弦をどうするかというところで止まってしまったのでした。というのも、元々張っていた弦は、もらいものの使い古しのお琴の弦で、余分がなかったので、別の弦にせざるを得ないのでした。

とりあえず改造が終わった《べんべん》

必要なのは、新たに追加した2本の弦。結局手持ちの弦(あるいは紐や糸)をごそごそ探した結果、3弦目は太めのナイロンのテグスに、高音はクラシックギターの1弦(E)にしてみました。弾いてみると太めのテグスは、ちょっと響きの悪いボソボソした音だったのですが、元々のお琴の弦が(使い古しということも影響しているとは思いますが)少々響きの悪い音が特徴だったので、ちょうどいいように釣り合いのとれた音になりました。もう1本の高音開放弦用の弦は、さすがにクラシックギターの弦だからでしょうか、弾いてみるとびっくりするぐらいクリアで大きな音がして、うーん、どうなんかな、良すぎて釣り合いがとれない感じです。やっぱり楽器用にちゃんと作られてるんですね、きっと。

じつはクリアな音になったのには、もう一つ原因があります。ブリッジの素材です。元々使っていたブリッジは、たぶんアガチスかなにかの柔らかめの材だったのですが、見当たらなくなってしまい、今回新たに紫檀で作り直したのです。紫檀は硬くて密度の高い材なので、アガチスに比べると硬めのクリアな音になります。たぶんアガチスのブリッジにすると、かなり音質が変わるのではないかと思います。まあこれは今後の課題ということで、今回はひとまずこれでしばらく弾いてみることにします。

ブリッジは紫檀。硬い素材は硬い音。+1弦はちょっと離しています

+1弦用の糸巻き。ちょっと中途半端な形ですね

ボディは「寿」と大国様の絵が彫られた天下一。ある方が愛瓢会の人にもらったものをいただいた

改造した結果として、これはもう全然違う楽器になってしまった、というのが正直な感想です。元はベース的に弾いていたのが、弦の数が増えた分、今までより高い音も出るようになり、さらに高音の開放弦も付け加わったので、弾きたくなる音楽も変わってしまったのです。楽器作りの参考にした、リアノン・ギデンズがひょうたんバンジョーで弾くアメリカのルーツミュージックの影響もあります。ボディに穴を開けたことで全体の音の響きも豊かになりました。

新たな楽器作りのウォーミングアップのつもりで始めた楽器改造ですが、面白くてもう少しこの世界に留まって遊ぼうかなと思い始めています。新しい楽器はいつできるでしょうか。でれろん。

(870日目∞ 11月14日)