日比谷花壇大船フラワーセンターでひょうたんに会う(3)

by 丸黄うりほ 

①寺坂暲「三つ編みねじれ柱」

②田淵治二「扁壺」

③中国「コオロギ入れ(浮刻)」

④中国・黄金華「変形容器(鼻煙壺)」

⑤松本好生「浮き透かし」

⑥川崎彰久「仏舎利」

⑦清水久義「漆塗瓢盆」、鈴木三郎「香炉」ほか

 日比谷花壇大船フラワーセンター「ひょうたん展」で見せていただいた作品のうち、きょうと明日は湯浅浩史先生の所蔵品を紹介していきましょう。といっても、とにかく点数が多くて全部は紹介しきれません。ここにアップした写真以外にも素晴らしい作品が所狭しとひしめき合っていたことを、先にお断りしておきたいと思います。

ひょうたんの工芸品は、いくつかの種類にわけられます。まず、展示室の入り口付近に並んでいたのが、ひょうたんを栽培中に加工して作った作品群です。

写真①は、寺坂暲さんの「三つ編みねじれ柱」。上に並んでいる巾着型のひょうたんは、千成ひょうたんを紐で縛った状態で育てたもの。そして、茶色の部分は、ロングハンドルディッパーのハンドル部分3本を編みながら育てたのだそうです。栽培しながらハンドル部分を少しずつねじっていくとは、ものすごく大変なことだったでしょう。緻密な栽培計画と根気がなくてはできないですね。

写真②の田淵治二さんの「扁壺」も、びっくりするような製法です。大ひょうたんの実を2枚の板で挟んで育て、潰れないようにジャッキで少しずつ幅を調整しながら育てたのだそうです。表面の漆と螺鈿仕上げも見事。

写真③の「コオロギ入れ(浮刻)」と、④の黄金華さんによる「変形容器」は、成長途中のひょうたんの実を模様を刻んだ鋳型にはめ込み、その中で大きくして、繊細な模様を浮き上がらせたもの。中国には、ひょうたんの中でコオロギを育てる文化というのがあるのですね。④の「変形容器」は、嗅ぎタバコを入れる鼻煙壺だそうです。

続いては、収穫して乾燥させたひょうたんの実を加工した作品が並びます。

「浮き透かし」は、ひょうたんの表皮だけを削り取り、内側の皮を残すように加工する技法で、写真⑤の松本好生さんの「浮き透かし」では、一部にその技法が使われています。150本もの彫刻刀を使い分け、ひょうたんの皮を透し彫りにしているのだとか。これも気の遠くなるような作業です。

写真⑥の川崎彰久さんの「仏舎利」は、大きさの違ういくつものひょうたんを重ね合わせて作った作品。唐草模様の透し彫りが見事です。

写真⑦は、ひょうたんで作られた茶道具のコーナーです。清水久義さんや鈴木三郎さんの作品のほか作者不明のものもありますが、どれも本当に素敵です!とくに私は鶴首ひょうたんの形をそのまま生かした「煎茶瓢杓」にひかれました。「ひしゃく」がなまって、「ひさご」となり、ひょうたんの別名となったことはよく知られていますよね。

(845日目∞ 10月6日)

*明日に続きます