ヒョウタンではタワシはできない
by 奥田亮
先週に引き続き、夏野菜フィーバーは絶好調。今週はナスが主力です。カレーやらナス南蛮やら、ネットで調理法を調べたりと、とにかく無駄にしないように使い切らねばなりません。これはもちろんうちに限ったことではなく、家庭菜園をやっている家はおしなべて同じ状況です。知り合いの町内の飲食店では、実家で作っている野菜がたくさんできすぎて、急遽、野菜料理を次々に出す食べ放題イベントを開催。ゴーヤのワタごと天ぷらとか、肉味噌のレタス巻とか、丸ナスのチーズ焼きとか、おいしかったです。
だいたい自給できるにはどれくらいの量の野菜を育てればいいのか、最初は見当がつかなかったのですが、最近なんとなく見えてきたような気がします。夏野菜などは採れるときには採れるのですが、今年はジャガイモが期待していたほどは採れなかったりと、思うに任せないこともあって、いきおい多めに苗を植えてしまうんですよね。なかなか加減が難しいです。でも、総体うちの規模の菜園では食べる量のすべてを自給するのは難しいのかな。ちょっとずつでも自給率を上げていくことができれば、QOLもアップしていくのでしょうけれど。
さて、そんな中のひょうたん。楽器の自給率もアップさせていきたいですね。結局一番元気なのは、やはり水場のこぼれ種千成君で、早くもいくつか実をつけています。今年の千成はちょっと大きめで、口のところがきゅ〜っと長くてちょっと面白い形。そしてどういうわけか、うぶ毛が剛毛です。このうぶ毛を見ると、もっと大きくなるのかなと思ったりもします。
ところが、こぼれ種ではなくてちゃんとプランターや地植えで育てているひょうたんが、どういうわけか調子が良くありません。プランターの2苗は、葉っぱや蔓の色が濃くて一向に雌花がつかない状態。しかも下の方の葉っぱが萎れて黄色くなっています。肥料焼け? 水不足? うーん、でも肥料なんて全くあげていないし、雨がけっこう降るので水も足りているはず。よくわからないのですが、ダメ元で一旦蔓を多めにバッサリ切ってみることにしました。これでやる気を出してくれればいいのですが。まあ、今年は欲張らず、こぼれ種千成君が採れればよしとしましょう。
図書館のひょうたんも順調です。百成だと思っていた苗は、結局やはりUFOだったようで、大きくなるにつれて、上部のでっぱりが納まってきて、UFOらしい形になってきました。千成もちょっと面長のいい形のがたくさん成っています。これは期待できそうです。
図書館の様子を見に行ったとき、軽トラモバイルハウスに乗ったTさんが来られていました。小布施の古いリンゴ箱を大量にもらい、それを使って作ったモバイルハウス。Tさんの「作りたい!」という声に賛同した人たちがワークショップ形式で作ったのだそうで、鱗のような表面のデザインなど、なんとも素敵です。Tさんはご夫妻とお母様と3人で、このモバイルハウスで日本一周を計画されておられるとか。これはぜひ実現してその道中を日記にしてほしいです。
Tさんはひょうたん栽培でも協力してくださっていて、町のカフェの裏で栽培したときも、ご夫妻で定植や棚づくりを手伝ってくださったりしたのですが(でれろん暮らし63)、今年も栽培されているとかで、
「うちのヘチマも育ってるよ!」
「あ、ヘチマなんですね?」
「あら、ヘチマじゃなくてヒョウタンね!」
「ああ、そうなんですね!」
「それで、そのヒョウタンでタワシを作ろうと思って!」
「え、ヒョウタンではタワシはできないですよ!」
「あっそうか、ヘチマか…」。
結局どっちを育てているかわからずじまいでしたが、まあ、どっちでもいいですよね! でれろん!
(800日目∞ 8月1日)
- 奥田亮 ∞ 1958年大阪生まれ。中学生の頃ビートルズ経由でインド音楽に触れ、民族音楽、即興演奏に開眼。その後会社に勤めながら、いくつのかバンドやユニットに参加して音楽活動を続ける。1993年頃ひょうたんを栽培し楽器を作って演奏を始め、1997年「ひょうたんオーケストラプロジェクト」結成、断続的に活動。2009年金沢21世紀美術館「愛についての100の物語」展に「栽培から始める音楽」出展。2012年長野県小布施町に移住し、デザイン業の傍ら古本屋スワロー亭を営む。2019年還暦記念にCD『とちうで、ちょっと』を自主制作上梓。