糸島のアトリエ「迦陵頻伽(カラヴィンカ)」その1
by 丸黄うりほ
昨日の「ひょうたん日記」に書いた二見ヶ浦は、櫻井神社の宇良宮(うらみや)であり、神社の境内にある岩戸宮につながっているのだそうです。櫻井神社のご祭神は神直日神(かむなおひのかみ)、大直日神(おおなおひのかみ)、八十枉津日神(やそまがつひのかみ)で、福岡藩主の黒田氏によって創建されたのだとか。私たちは、櫻井神社にもお参りをしました。
目的地は、その櫻井神社の里山にありました。車でほんの数分走ると、曲がり角にひょうたんマークを描いた道しるべが。そこには「迦陵頻伽(カラヴィンカ)」というアトリエの名も書かれています。
海が見える高台にたつアトリエは、想像していた以上に大きくてびっくりしました。まるで外国の有名画家の邸宅のよう。広い庭には薪が積まれ、野草が可愛らしい花をいっぱいつけています。
私は、アトリエのまわりにひょうたん畑があるのかなと思って、目玉をぐるぐる動かして探してみました。その日は4月3日、少し栽培シーズンには早いけれど、棚などはもう組まれているのではないか?しかし……畑らしきものはまったく見当たりません。
「ここにあるのはアトリエだけです。畑はこの桜井地区のあちこちにあるそうですよ」と、中野由紀昌さんが駐車しながら教えてくれました。なんとなんと、この敷地だけでもかなり広いのに、ここで栽培をされているのではないのですね。私は自分の狭い家とベランダを思い出し、そのスケールの違いに一瞬めまいがしました。
緊張しながら扉を開けると、なかは驚くほど広々とした空間でした。
そして、そこには……、ひょうたん!ひょうたん!ひょうたん!
どこを見ても、どちらを向いてもひょうたんが目に飛び込んできます。しかも単独ひょうたんではなくて、ひょうたんの群れ、ひょうたんの団体が、にょきにょきとあちこちにある。
すごいすごい!すごすぎるものを見ると、人間って口がきけなくなるんですね。私は口をぽかーんと開けて「うわー、うわー」と、ほぼうわごとのような声を発していました。
ここ「迦陵頻伽(カラヴィンカ)」は、自らひょうたんを栽培し、そのひょうたんを素材に、スピーカーやランプなどを制作している龍石修さんのアトリエなのです。中野さんは以前から龍石さんと懇意にされていて、お互い顔を合わせたとたんに和気あいあいとしたムードに。大阪からやってきた私のことも、中野さんが前もって紹介をしてくださっていたようで、とても自然な感じで受け入れていただくことができました。
あまりの感激にぼーっとしていた私の頭も、スローペースで回りはじめました。このアトリエにあるひょうたんたちは、なんと美しいのだろう!形はいろいろあるけれど、どれも大きなシミなどがなく、白肌が陽の光に輝いてみえます。加工前のものと、細工を施したものが、あまり区別せずラフに並んでいるのも素敵です。
(733日目∞ 4月21日)